プリプリでコクがある絶品さつま揚げ。鹿児島産は本当においしい

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(6)]―

女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、都内アンテナショップで見つけた「ご飯のとも」やご当地調味料を使ったおいしいレシピを紹介します。《第6回》

鹿児島の名産が揃う「かごしま遊楽館」の“さつまいもの館”

 いつでも出合いたい、おいしい“ご飯のおとも”を探しに、今回は鹿児島のアンテナショップ「かごしま遊楽館」の食品販売コーナー「さつまいもの館」をチェック!

かごしま遊楽館

 こちらは、名産の芋焼酎、黒糖焼酎のほか、黒酢、黒豚肉、揚げたてのさつま揚げ、郷土菓子として有名な「かるかんまんじゅう」をはじめ、鹿児島ならではの食がいろいろそろっているので、絶えず人が訪れている人気スポットです。

魚のタンパク質がいっぱい! 鹿児島の郷土料理「さつま揚げ」

 関東ではさつま揚げ、西日本ではてんぷら、鹿児島と沖縄の一部ではつけ揚げと呼ばれる、さつま揚げ。魚のすり身を揚げた料理でその歴史は古く、その名のとおり鹿児島の名産品です。

 もともとは、琉球から伝えられた中国料理の「揚げる」技法と伝統のかまぼこつくり製法が合体して、現在のさつま揚げができたといわれています。琉球のチキアーギがなまって鹿児島では「つけあげ」と呼ばれたとか。魚のすり身を揚げることで保存性もよく、手軽に魚製品が食べられるという栄養的価値で、全国にさつま揚げとして広まっています。

 私も出張で九州に行ったときには、空港でよくさつま揚げを買っていたので、そのおいしさは知っています。プリプリしていて、魚のコクと甘味があり、スーパーで購入するさつま揚げとはひと味違うのです!

「さつまいもの館」には、鹿児島の数軒のお店の商品がそろっています。なんといっても魅力的なのは揚げたてを販売していること。そんな揚げたてコーナーから、有村屋さんの「さつま揚げ詰め合わせ」(6枚入り 400円/税抜 保存方法:要冷蔵 製造者:株式会社有村屋)を購入しました。

さつま揚げ詰め合わせ

 有村屋さんは創業大正元年(1912年)のさつま揚げの老舗です。今回は詰め合わせを購入してみました。魚肉(タラ、エソ、イトヨリダイ、イワシ)に野菜などを組み合わせたいろいろな味のさつま揚げが6枚入っています。

さつま揚げ

 ニンジン天、ゴボウ天、五目揚げ天、イモ天、特揚げ棒天2本。電子レンジやオーブントースター、フライパンなどで温めて、ショウガしょうゆを添えれば、それだけでご飯のおともになります。

 切ると野菜がよく分かります。ニンジンもゴボウもイモも食感が残っていてそれぞれの味がするので、飽きずにいただけます。

ニンジン天、ゴボウ天、五目揚げ天、イモ天、特揚げ棒天2本

さつま揚げをヘルシーカツ丼風に!

 そのままでも十分おいしいさつま揚げですが、おでんのような煮物に、八宝菜のような中華炒めに、また細切りにして野菜炒めに入れてもおいしいのが魅力です。しかもほとんど魚なので、ヘルシー素材。冷凍しておくと、なにもない!と困ったときに役立ちます。

 ここでは、カツ丼風に卵とじどんぶりにしました。鶏肉以外でつくる親子どんぶり、「他人丼」の1種です。かまぼこでつくると「木の葉丼」、天かすでつくると「たぬき丼」(これは関東だけかもしれません)。揚げてあるので、カツ丼に近いかな~。

●アレンジレシピ「さつま揚げのカツ丼風

 市販のめんつゆを使います。どんぶり用の水の希釈で100mlつくってください。個人的にはカツ丼は甘めが好きなので、みりんなどを少し入れますが、さつま揚げはそれ自体に甘味があるので、プラスは不要。

 卵は2個使うのがポイント。最初の1個は具の下にまで入れてちゃんと火をとおします。仕上げに残り1個を軽く溶いて流し入れ、半熟に仕上げます。軽く溶くのも私のこだわりで、白身と黄身の固まり具合が違うので、いろいろな食感を楽しむのです。

さつま揚げのカツ丼風

【材料】1人分
さつま揚げ…2枚ぐらい(好みで適量)
タマネギ…1/4個
めんつゆ(どんぶり用に希釈)…100ml
卵…2個
万能ネギ(みじん切り)…少々
ご飯…茶碗1杯分

【つくり方】
1 さつま揚げは細切りにする。タマネギは5㎜幅ぐらいの薄切りにする。
2 丼ぶり用の鍋にめんつゆを入れ、煮立ったらタマネギを加える。続いてさつま揚げも加えて煮る。

「さつま揚げのカツ丼風」レシピ

 大きく見えますが、直径12㎝ぐらいのどんぶり用の鍋です。

3 タマネギがしんなりして、さつま揚げがあたたまったら、卵1個を溶いて加える。箸で具を持ち上げて、底のほうにも卵がいきわたるようにして、フタをする。20秒ぐらいしてフタを開け、卵にほぼ火がとおったら、2個目の卵を流し入れる。

「さつま揚げのカツ丼風」レシピ

4 フタをして10秒。好みの半熟加減にしたら、温かいご飯の上にのせ、万能ネギの小口切りを散らす。好みで七味唐辛子をふっても。

 今回はいろいろなさつま揚げを入れたのでぜいたくな仕上がりですが、普通のさつま揚げ2枚あればおいしくできます。それにしてもさつま揚げ自体がおいしければ、調味料の調整いらずです。

<撮影・文・料理制作/坂口明子>

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(6)]―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。