全国各地に不思議な名前の食べ物がありました
ままけは、をちこち、やせうま。急にどうかしちゃったわけでなく、これらはすべて食べ物の名前です。「ままけは」は山形のご飯のおとも、「をちこち」は愛知の棹菓子、「やせうま」は太麺にきな粉砂糖をかけて食べる大分のおやつです。
というわけで第9回のテーマは「謎の名前のお土産たち」。他県の人間が聞いてもパッとなにかは分からない、鹿児島の「げたんは」と福井の「けんけら」を食べていきます。
「げたんは」は「下駄の歯」?甘くて食べ応え十分なお菓子
まずは鹿児島の「げたんは」から。なんでしょうねえ〜げたんは……小ボケも思いつかないほど耳慣れない単語ですが、正解は黒砂糖・卵・小麦粉・重曹でつくった生地に、黒砂糖やショウガを塗った焼き菓子。
似たものとして九州地方の「黒棒」がありますが、「げたんは」の特徴はその形。
二等辺三角形または台形になっていて、これが「下駄の歯」に似ているというところが由来なようです。げたんは=げたのは、ということですね。
さっそくいただいてみると、生地からじゅわっと濃い黒砂糖味があふれ出して、なかなか食べごたえのある甘さ&サイズ。1個で結構満足感があるので、小腹がすいたときに最適なお土産だと思います。
ものすごく脱線しますが、鹿児島には曽祖父の歌碑があるらしく。会ったことはないのですが歌人だったとかで、ペンネームを「森園天涙」と言います。曽祖父もまたなんらかの創作をしていたことに対する不思議な感慨と、あんた、ペ、ペンネーム「天涙」って!!本名豊吉(とよきち)なのに!!という気持ちが去来します。いつか碑の前でつっこまねばならない。
諸説ある「けんけら」の由来。素朴なおいしさのお菓子です
さて話を戻してお次は福井の「けんけら」を。なんとなく妖怪っぽい名前の響き(例:ケンケラ!と鳴く怪鳥)ですが、実際は福井県大野市の名物干菓子なのです。大豆の粉に白ゴマ、水飴、砂糖を加えて練ったものを薄くのばし加熱、きな粉をまぶしたもので、なかなかの硬さ。
食べてみるとパリンポリンと小気味よく、素朴な水飴ときな粉の甘さがホッとする風味です。
このネーミングには
・「建径羅」という僧がつくったから
・殿様に献上したところ「うまい!堅(賢)家来と名づけてつかわそう」と言われたから
・剣で切らなければ切れないほどの固いから(剣切羅)
など、諸説あるとのこと。
ちなみに福井県出身の知人に「けんけらって食べてました?」と尋ねたところ、「なんだっけ…」「食べたことはあると思うんだけど」「おばあちゃんちで出てくるイメージ」とのことでしたので、福井県民は日常的にけんけら食(しょく)というわけではなさそうです。シブ好みの人に喜ばれるお土産ですね。
「謎の名前のお土産」いかがだったでしょうか? まだまだ世の中には「かぜ水」とか「うろり」とかなんのこっちゃ分からん食べ物が多く存在しているので、探求を進めていきたいところです。皆さんも不思議ネーミングのお土産をご存知でしたら教えてくださいね。
株式会社 南海堂『げたんは』
10枚入 257 円 (税込)
日持ち ★★★★☆
配りやすさ ★★☆☆☆
黒糖の濃厚な甘さ ★★★★★
朝日屋(朝日房子)
『元祖けんけら』
432円 (税込)
日持ち ★★★★☆
配りやすさ ★★★☆☆
軽快な歯ごたえ ★★★★★
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる「おみやげどうしよう?」を連載(全4巻)