―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(10)]―
女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、都内アンテナショップで見つけた「ご飯のとも」やご当地調味料を使ったおいしいレシピを紹介します。
料理からせんべいまで使われる、うま味たっぷりの白エビ
富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」で探したのは、富山湾ならではの名産、白エビです。
白エビは富山湾でも限られた地域で漁獲される、体長5~8㎝ほどの身の白い小エビで、濃厚な甘味が特徴。小さなエビなのでその身を傷めることなく、新鮮なうちに素早く殻をむく作業がとても難しく、熟練の技が必要で、白エビ専門店があるほど。
お刺身はもちろん、から揚げや白エビせんべいなどもおいしいのですが、料理にいろいろ使える調味料を探したところ、ありました!「しろえびだし」(756円税込/ 360m トナミ醤油株式会社)。
白エビのうま味と甘味をいかし、北海道の帆立貝柱の粉末、魚醤(富山湾のいかのいしる)を使用した、添加物(合成保存料、着色料)なしの白だしとあります。これならいつもより、ちょっとぜいたくな和風味が手軽に楽しめそうです。
しろえびだしで白身魚と帆立の和風カルパッチョをつくろう
「しろえびだし」は、濃厚な風味と自然の甘味があります。濃縮率は、うどんのつゆや煮物で1:1と表示されていて、塩分率は3.6%、倍に薄めると1.8%。東京の普通のめんつゆは、食品成分表によると、約2.5%なので、おだやかな塩味と認識して使うことにしました。ちなみにしょうゆは塩分約16%ですから、しょうゆ感覚で使うなら、塩分をプラスして調節するといいと思います。まずは、オリーブオイルと組み合わせて、お刺身をおしゃれな和風カルパッチョに。
しろえびだしでカルパッチョ
白エビと帆立のだしなので、お刺身は帆立やえび、白身魚が合うようです。カルパッチョにするときは、お刺身でいただくときより、薄く切るのがポイント。あとは、オリーブオイルとレモンなどのかんきつ類があるといいのですが、ないときは酢やすし酢でも大丈夫。ほんのり酸味をプラスするとさっぱりと仕上がります。白ワイン、日本酒、ハイボールなどの肴に。しょうゆは風味付けなので、お好みで。
【材料】2~3人分
刺身用鯛…半身(サク)
刺身用帆立貝柱…2~3個
長ネギの白い部分…1/2本分
カイワレ…適量
「しろえびだし」…大さじ1
おろしワサビ…少々
レモン汁…大さじ1
エキストラバージンオリーブオイル…大さじ1と1/2
塩・しょうゆ…各少々
【つくり方】
1 鯛は全体に薄く塩をして、ラップで包み、冷蔵庫で10分以上おいてから水気をふいて斜め薄切りにする。帆立貝柱も薄切りにする。
2 ネギは5㎝長さの細切りにする。カイワレ菜は根元を切る。
3 器に帆立貝柱を盛り、鯛はネギを巻いて盛りつける。上から、軽く塩をふり、「しろえびだし」にわさび、レモン汁、しょうゆ混ぜてかける。仕上げにオリーブオイルを全体に回しかける。
しろえびだしで、ふんわりジュワッのだし巻き卵
この「しろえびだし」は、卵料理との相性抜群。白だしなので卵の色をいかし、料理屋さんのような卵料理が誰でもつくれます。ここでは簡単なだし巻きに。茶碗蒸しもおすすめです。
しろえびのだし巻き卵
わが家の定番卵焼きはしっかり甘めですが、ここはほんのり甘口に。甘さが不要なら、みりんをお酒に変えましょう。片栗粉を入れるとふんわりのまま、上手に巻けます。
【材料】つくりやすい分量
卵…3個
「しろえびだし」…大さじ2
みりん…大さじ1
砂糖…小さじ1
片栗粉…小さじ1
サラダ油…大さじ1/2
【つくり方】
1 ボウルに卵を割り入れ、カラザを取り、よく溶きほぐす。「しろえびだし」、みりん、砂糖を入れてよく混ぜる。片栗粉は同量の水で溶いて加え、よく混ぜる。
2 卵焼き器にサラダ油を入れて熱し、全体に回したら余分な油をペーパータオルでふき取る。①の卵液を3~4回に分けて流し込みながら巻いて、卵焼きをつくる。
3 焼きあがったら、好みの大きさに切る。
あつあつはふんわりとした仕上がりに。香ばしいエビの香りとうまみでおいしいだし巻き卵です。
ナスの揚げびたしが料亭風の上品な仕上がりに
あつあつも、冷やした状態でもおいしい、ナス揚げびたし。とろとろの揚げナスにおだしがしみて、口にいれるとじゅわじゅわっとだしのうま味が広がります。ご飯のおかずにぴったり。つくりおきおかずとしても便利なので、つくるときはナス1袋を使いきりましょう。いつもはめんつゆを使用しますが、今回は「しろえびだし」で素材の色がいきて、上品に仕上がりました。
しろえびだしのナスの揚げびたし
ポイントはナスを揚げること。もちろん、焼いたり、炒めたりしてもいいのですが、とろりとした食感は揚げたナスならでは。一緒にピーマンやパプリカを素揚げにして一緒に漬けても。
【材料】つくりやすい分量
ナス…1袋(3~4本)
●漬け汁
「しろえびだし」…100cc
水…80cc
酢…大さじ2
ネギのみじん切り…1/2本分
赤唐辛子の小口切り…1本分
揚げ油…適量
青ジソの千切り…適量
【つくり方】
1 ナスは洗って水気をふく。容器に漬け汁の材料を入れて混ぜておく。
2 ナスを1.5cm幅の輪切りにして、柔らかくなるまで揚げ、1の漬け汁に入れる。1本分ずつ揚げる直前に切って入れるようにすると、水にさらす必要がない。
ナスは両端を箸で抑えて柔らかくなれば、OK。漬け汁に入れていく。
3 冷やすときは粗熱になってから、冷蔵庫に。入れる前に全体を一度裏返すように混ぜると、全体に味がよくしみる。
氷見うどんとしろえびだしで、うま味たっぷり冷やし五目うどんに
日本三大うどんといえば、香川県の讃岐うどん、秋田県の稲庭うどんにあと1つ、どれを入れるかは諸説ありますが、その有力候補が富山県の氷見うどんです。
能登で生まれて伝統的な技法に基づく「手打ち」と「手延べ」で、のどごしのいいなめらかさとモチモチっとした食感が特徴。やはりそのよさを味わうには冷製が一番。オリジナルの冷やし五目うどんをつくってみました。
選んだ「氷見うどん」(432円税込/200g 製造者:氷見うどん海津屋)は、細麺タイプです。
しろえびだしの冷やし五目うどん
「しろえびだし」でうどんつゆをつくり、揚げナス、油揚げ、しめじ、オクラ、キュウリに温泉卵とおろしショウガをプラスした冷やしうどん。さっぱりとサラダ感覚でいただけます。ランチやお酒の後の締めに。
【材料】2人分
氷見うどん…1束(200g)
ナスの揚げびたし(前述)…適量
油揚げ…1枚
シメジ…1/2パック
オクラ…5本
キュウリ…1/2本
温泉卵…2個
「しろえびだし」…150cc
冷水…150cc
おろしショウガ…1片分
万能ネギの小口切り…適量
【つくり方】
1 うどんは表示通りゆで、水にさらして、ざるに上げる。
2 油揚げは、アルミ箔にのせてオーブントースターで5分焼き、短冊切りにする。
3 オクラはさっとゆでてヘタをとり、小口切りに。シメジも小房に分けてさっとゆでて水気をきる。
4 器にうどんと揚げナス、2、3の具、温泉卵を盛り、「しろえびだし」を分量の冷水で割り、150ccずつ注ぐ。おろしショウガを添え、万能ネギを散らす。
つるつるでコシのある細い麺に、あっさりとしながらコクのあるだし、とろりとした温泉卵、揚げナスとの相性抜群です。もちろん、揚げナスがなくても、油揚げがあればOK。ほかにゆでた豚しゃぶ肉なども合います。
●日本橋とやま館
住所:東京都中央区日本橋室町1-2-6 日本橋大栄ビル1F
TEL: 03-3516-3020 (ショップフロア〈物販〉
営業時間:10:30~19:30(*現在、臨時休館中)
和食レストラン「富山はま作」
TEL: 03-3516-3011
11:30~14:30、17:00~22:30(日・祝~21:00)
※日本橋とやま館は現在、臨時休業中です。
<取材・文・料理/坂口明子>
―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案]―
坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。