「うろり」は近江八幡のおいしいご飯のとも
鹿児島の「げたんは」、福井の「けんけら」など不思議なネーミングのお菓子がありますが、今回は名前だけでは正体不明のお土産シリーズ。滋賀県の「うろり」、岩手県の「かぜ水」について取り上げます。さあ、いったいどんな食べ物なのでしょう。
まずは滋賀の「うろり」から。なんとなく水菓子かな?と思ったりもしますが(「ういろう」に引っ張られてる)、滋賀県近江八幡市の「富田屋」さんから購入したのは「うろり醤油煮」。小魚の佃煮です。原材料には「ごり(琵琶湖産)」の文字が。
「うろり」の正体は「ごり」とも呼ばれる、「ビワヨシノボリ」というハゼ科の魚。固有種にあたり、琵琶湖で獲れる魚のなかでも大きさは小さい部類で、見た目はちりめんじゃこに似ているものの味が異なるんだとか。
旬は7月中旬から10月頃、地元では佃煮が一般的とのことで、さっそく白いご飯も用意して食べてみました。…これは甘辛くて、ショウガの風味もきいていて、文句なしにおいしい! とても食べやすくてご飯を食べすぎそうで危険。旬の夏場に食欲がないときでも、これならご飯がモリモリすすみそうなお土産です。
なによりばあちゃんちの味がして個人的に好みの佃煮です。……「お前のばあちゃんちの味など知るか」という声が聞こえてきそうですが、以前「堅ボーロ」の取材をしに初めて滋賀県長浜市へ訪れたところ、ばあちゃんちこと石川県に町並みや食べ物の味つけが似ていて驚いたことがありまして。まあ滋賀県と石川県はそこまで距離があるわけではないので、文化圏が似ていても不思議はないのですが、滋賀の味つけはなじみを感じるわけです。
「かぜ」は岩手のとある海産の方言
閑話休題。「うろり」の謎が解けたところで次は岩手県の「かぜ水」。「風水」?「風邪水」? とにかく聞き慣れない言葉なのでどんな水なのか予想もつきませんが、ペットボトルに入った黄色い、ややとろみのついた液体。これが「かぜ水」です。
ラベルに「ウニの水の万能調味料」とあるように、「かぜ」とはこの地方のウニの呼び名。塩ウニをつくる過程で網目をくぐって塩水に留まったエキスのことを「かぜ水」と呼ぶようです。本来なら捨ててしまうものを商品化したのだとか。
おしょうゆ代わり、そうめんのつけダレ、炊込みご飯、 ドレッシングなどの利用法がHPには書かれていましたが、今回はボトルに記載のあるパスタに挑戦。ゆでたパスタをオリーブオイルで炒め、かぜ水とおしょうゆであえます。ペペロンチーノのニンニク唐辛子抜き版みたいな……?(それはペペロンチーノなのか?)ともかく青ジソも散らして完成です。
さてお味のほうは…。はるか彼方にウニを感じる、おいしい和風パスタという感じ。とくに魚介好きの夫は「磯の風味がしておいしい」と喜んでいたので、イカや貝なんかを具材で入れたらさらにおいしいかもしれません。珍しいもの好き、料理好きの人には喜ばれそうなお土産です。
しかしほのかなウニ風味により、「パスタに焼きウニ乗せたい」「というかウニ丼食べたい」と「ウニ欲」が刺激されてしまいます。取り扱いにはご注意ください。
そんなわけで謎のお土産「うろり」「かぜ水」いかがでしたでしょうか? 今後もどんどん「変わった名前のお土産ハンター」として謎を究明していきたいと思います。よかったら皆さんも食べてみてくださいね。
富田屋
『うろり醤油煮』
100g 500円(税込)
日持ち ★★★★★
配りやすさ ★★☆☆☆
ご飯が進む度 ★★★★★
株式会社 宏八屋
『かぜ水』
300ml 1,000円(税込)
日持ち ★☆☆☆☆
配りやすさ ★★☆☆☆
ほのかなウニ風味 ★★★★★
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。