絶品ウナギを味わいつつ料理長の話を聞く。オンラインの会が盛況

陽気が増す初夏の昨今、そろそろウナギが食べたくなる季節となりました。そんななか、いち早くオンライン上で、絶品のウナギを使ったイベントが開催され、大盛況だったとか。どんなイベントだったのか、そして気になるその絶品ウナギとは?イベントを主催したおさかなコーディネータのながさき一生さんがレポートします。

生産量も品質もトップクラス。西尾市の「一色うなぎ」

うな重
愛知県が誇るブランドうなぎ「一色うなぎ」

 愛知県西尾市は、自治体別のウナギの生産量が全国でもトップクラス。なかでも一色地区は、昔から養鰻が盛んな地区で、そこでつくられる「一色うなぎ」は知る人ぞ知るブランドウナギです。この地域一帯は、ウナギの食文化が根づき、地域の人に話を伺うと「ウナギは買ったことないよ。いつも人からもらって食べるから」という人もいるほどです。

 一色うなぎは長年、業界関係者から高い評価を受けており、2007年に商標登録されました。一色地区は養鰻の歴史が長い東海地区のなかでも生産量が多く、ほかの地区に増して養鰻の技術改良が進んでいたと言えます。

 養殖の大きな特徴は、育てる際に川の水を使用すること。通常、ウナギの養殖では地下水を使うことが一般的ですが、川の水のほうがミネラルなどの成分が自然環境に近く、ウナギがストレスなくのびのびと育つと言われています。

 また、30年近くも前から組合で「うなぎ品質検査室」を整備し、出荷するウナギの残留医薬品の検査を義務化して食の安全・安心を確保しているのです。

小伴天
今年で100周年を迎える日本料理「小伴天」

 その西尾市の隣に位置する碧南市(へきなんし)には、一色うなぎを使った料理が評判の日本料理「小伴天」があります。

 小伴天は大正9年創業、今年で100周年を迎える老舗の日本料理屋で、ミシュランガイド「愛知・岐阜・三重2019特別版」に掲載もされています。さらに、ふるさと納税返礼品のウナギの人気ランキングでは常に上位に位置し、地域だけでなく全国の方々から愛されているのです。

ウナギを食べてオンライン語る「うなぎの会」が大盛況

長田さん
お話を伺ったうなぎ部門料理長の長田英三さん

 しかし、そんな小伴天も新型コロナウイルスの影響で自粛することに。小伴天のうなぎ部門料理長の長田英三さんに4月上旬にお話を伺うと「本業のお店の営業は、1か月ほどお休みをすることになりました」とのこと。「え! 大丈夫なんですか?」ということで、急遽一緒に企画したのが、5/23に開催した「うなぎの会@web」でした。

うなぎ
うなぎの会@webでは、うなぎを焼く映像も楽しみました

 うなぎの会@webは、私が主宰する、ゆるい魚好きがつながるコミュニティ「さかなの会」が主催元となり開催しました。内容は、ウナギの蒲焼、白焼き、肝焼きを参加者にお届けしてそれを味わいつつ、料理長の長田さんから、ウナギにまつわるさまざまなお話を伺うというもの。

 当初用意した30セットは1週間たらずで売きれ、追加した10セットも2日足らずで完売という盛況ぶり。オンラインイベントも30名近くにご参加いただき、盛り上がりました。

 長田さんが語ってくれたウナギにまつわる話はじつにおもしろく、その一部をご紹介します。

「焼く面を丹念に返すことで、表面がパリッとしつつも中が柔らかくなる」。
「おいしいウナギの蒲焼は横幅が広く、皮が丸まっていないこと」。
「オムレツにバターと一緒に混ぜて食べる」。

 ユニークな裏技的な食べ方のお話まで聞きながらウナギを食べた参加者からは、「今まで食べたなかでいちばんおいしかった」という声があいつぎ、土用丑の日を前に「ウナギについていろいろと知ることができて楽しかった」といった声も聞けました。

うなぎ取り寄せ
うなぎはふるさと納税で取り寄せ可能。ECサイトも準備中

オンラインイベントで全国の魚好きとお店をつなぐ

 小伴天は、緊急事態宣言の解除後、店舗営業を再開しました。また現在、ふるさと納税のみで取り寄せ可能な小伴天のウナギですが、6月中のECサイトオープンに向けて現在準備をしています。より多くの人においしいうなぎと元気を届けるため、100周年を迎えた今も奮闘しています。

 私が主催している「さかなの会」では、今後も「うなぎの会」をはじめとした、魚にまつわるオンラインイベントを企画しており、コロナウイルスの影響で被害のあった水産事業者を支援するとともに、みなさんに魚を通じて楽しいひとときを過ごしていただく機会を提供していこうと思っています。

 今回のオンラインイベントで意義に感じられたことは、うなぎの会@webがなければ恐らくご縁がなかったであろう全国各地の方々と「小伴天」とをおつなぎできたことです。オンラインイベントの大きな魅力の1つは、ここにあるように思いました。

 これからもご縁を大切にし、コロナ渦の大変な状況をみなさんで乗り越えていけたらと思っています。

小伴天
〒447-0872 愛知県碧南市源氏神明町256
ふるさと納税でも取り寄せできます。

〈取材・文 ながさき一生〉

おさかなコーディネータ・ながさき一生さん
漁師の家庭で18年間家業を手伝い、東京海洋大学を卒業。現在、同大学非常勤講師。元築地市場卸。食べる魚の専門家として全国を飛び回り、自ら主宰する「魚を食べることが好き」という人のためのゆるいコミュニティ「さかなの会」は参加者延べ1000人を超える。

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