リンゴの新しい食べ方「スターカット」で栄養を残さずキャッチ

 身近なフルーツの代表格ともいえるリンゴ。 赤い実にはパワーがぎっしりつまっています。今回は薬膳アテンダントの池田陽子さんが、薬膳的な観点からリンゴの魅力をお伝えてします。

りんご
りんごは新陳代謝をアップさせ、美肌やダイエット効果もある

リンゴは薬膳では「気」を補うフルーツ

 リンゴは薬膳においても、健康と美に役立つさまざまな効能がありますが、なんといっても「気」を補う働きが高いフルーツ。気とは全身のいたるところを流れている、目には見えないエネルギーのこと。生命活動を維持するエネルギー源である気が不足すると常に疲労感、倦怠感があり、免疫力も低下します。疲労回復、免疫力アップのためには、リンゴでしっかりと気を補うことが大切です。

 また、美容面においても気を補うことは重要。気は新陳代謝においても重要な働きをもっています。リンゴは肌の代謝をアップして、ハリのある弾力肌をつくるとされます。さらに肌に潤いを与える効能もあるので、「しっとりプリプリ肌」にも。

 そのうえ、リンゴはダイエットにも心強い味方。しっかりと気をチャージすることで、基礎代謝がアップ、脂肪を燃焼しやすい身体づくりに役立つのです。

リンゴを輪切りにした「スターカット」で、おしゃれに!

 日本全体の約60%を生産する、リンゴ王国・青森県。青森リンゴの宣伝活動を行う「一般社団法人青森県りんご対策協議会」では、昨年から新たな食べ方「スターカット」をPRし、話題を呼んでいます。

 スターカットとは、リンゴを皮つきのまま横にして、数センチ幅の輪切りにするカット法。カットした断面の芯の部分が、星の形に見えることから名づけられました。

「リンゴは、皮と皮に近い部分にもっとも栄養があります」と語るのは、協議会の里村桃子さん。「スターカットにすると、皮を気にすることなく、サクサクとスナック感覚で食べられるのが魅力です」

 皮と果肉の間にある栄養をしっかりと摂取することができるうえに、ビジュアル的にもおしゃれで、ホームパーティーなどにもぴったり。「芯の部分を星型の型抜きなどでくり抜くと、さらにかわいくなりますよ」(里村さん)

スターカット
きれいにカットすれば、おしゃれな星形を楽しむことも

注目の栄養成分「プロシアニジン」をしっかり摂るなら生食がオススメ

 里村さんによれば近年、リンゴの栄養価でとくに注目されているのが「プロシアニジン」。リンゴに含まれるポリフェノールの主成分で、緑茶や赤ワインなどに含まれるポリフェノールに比べて、とくに抗酸化能力が優れているとされています。

 また、ダイエットをサポートするパワーも。「研究の結果、内臓脂肪軽減効果も報告され、『ふじ』の生果が『機能性表示食品』を取得した例もあります」と里村さん。そのほか、美白、育毛、抗アレルギー、糖代謝サポートなどさまざまな可能性も、期待されています。

 プロシアニジンは熱に弱いため、そのパワーをしっかり身体に取り入れるためには生で食べるのがおすすめです。

免疫力アップに役立つ、リンゴのスターカット薬膳レシピ

 リンゴパワーをたっぷりおいしく味わえる、スターカットにしたリンゴを使って、免疫力アップにおすすめの「スターカット薬膳」をご紹介します。リンゴは、この時期スーパーにならぶ「ふじ」を使用。ふじは、ほかの品種より、プロシアニジンが多く含まれています。

●ナガイモとサーモン、枝豆のスターカットカナッペ

 リンゴと同様に、青森が生産量日本一のナガイモは、気を補うパワーに優れた野菜。サーモン、枝豆も同様の効能があります。ヨーグルトの風味がリンゴとほかの素材をさわやか&マイルドにつないだ、ワインにもぴったりのカナッペです。

ナガイモとサーモン、枝豆のスターカットカナッペ
りんごに、ヨーグルトであえたナガイモ、サーモン、枝豆をトッピング。ナガイモとりんごのダブルサクサク食感も楽しい

<材料>
リンゴ(スターカットに切る) 4切れ
ナガイモ(皮をむき、1センチ角に切る) 5㎝
サーモン(刺身 1センチ角に切る)  150g
枝豆(ゆでてさやから出す)  20粒
ヨーグルト 大さじ4
粒マスタード・塩 適量

【つくり方】
1ボウルにナガイモ、サーモン、枝豆、ヨーグルト、粒マスタードを加えてあえる
2塩で味を調える。
3リンゴにのせる。

●キノコ&ナガイモ入りスターカットバーガー

 数々のリンゴレシピを自ら開発する里村さんのイチオシは、スターカットにしたリンゴをはさんだハンバーガー。薬膳アレンジを施して「免疫力アップバーガー」に仕上げました。

 ふっくら仕上がりのハンバーグにはナガイモ、免疫力をアップするシメジを練りこんで、パワー増強。リンゴに合う赤ワインが隠し味のソースにからめて、スターカットのリンゴ、野菜と一緒にサンド。リンゴのシャキシャキ感とほどよい甘さが、肉のうま味と、ジューシーさを引き立ててさっぱりいただけます。後味もさわやか!ちょっとハマる味わいですよ。

キノコ&ナガイモ入りスターカットバーガー
シャキッとしたりんごが、ハンバーグの味わいを引き立てる。粒マスタード入りのヨーグルトソースが、隠し味

【材料】
<ハンバーグ> 2人分
あいびき肉 150g
ナガイモ(皮をむいて5ミリ各に切る) 3㎝
シメジ(みじん切り)1/4袋
タマネギ(みじん切り) 1/4個
パン粉 大さじ6
牛乳 大さじ1
溶き卵 1個分

<ハンバーグソース>
赤ワイン・ケチャップ 大さじ3
しょうゆ 大さじ1
ソース 大さじ1

ハンバーガーバンズ 2個
紫タマネギ(輪切り) 適量
レタス  適量
塩・サラダ油 適量

<ヨーグルトソース>
ヨーグルト大さじ2
粒マスタード 小さじ1
にんにく(すりおろす) 少々

【つくり方】
1ハンバーグをつくる。ボウルにパン粉を入れて牛乳を入れてふやかす。残りの材料を加えて粘りが出るまでよく混ぜたら、2等分にして平たい丸型に整える。
2フライパンに油を熱し、2を入れて両面をこんがり焼いて取り出す。
3フライパンに、ハンバーグソースの材料を入れて煮立て、2を戻し入れてソースをからめる。
3下地のバンズにハンバーグをのせ、混ぜ合わせたヨーグルトソースを塗り、レタス、紫玉ねぎをのせてバンズの上半分ではさむ。

(取材・文・撮影/池田陽子)

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など