丸ごと1尾に焼きずしも。人気のサバグルメを福井の郷土料理で楽しむ

[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.7/池田陽子]

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は「食の國 福井館」にお邪魔し、ブームのサバグルメを紹介していきます。

鯖街道、福井のアンテナショップでサバグルメ

福井の郷土料理サバグルメ
福井にはさまざまなサバグルメが存在

 近年、健康と美容にいいとされ、ブームになっている「サバ」。薬膳でも、血行を促進する優れた働きがあるとされています。現代人にとって問題となっているのが「血の巡り」の悪さ。中医学で「お血」とよばれる血が滞った状態、要は「血行不良」を引き起こしている人が多くみられるのです。

 忙しい毎日を送る現代人が陥りがちな運動不足、過労、ストレスは血流を滞らせるのも大きな原因になります。身体の末端にまで栄養が行き届かず、新陳代謝が低下して、老廃物が身体にたまりやすい状態になっていることが多いのです。

 血の巡りの悪さは当然ながら、全身の不調につながります。肩こり、関節痛、頭痛など慢性的な疼痛のほか、身体にしこりができやすく、がんなどの悪性腫瘍のリスクも大。心筋梗塞、不整脈、脳卒中、下肢静脈瘤や、慢性肝炎、肝硬変も引き起こしやすくなります。

 また、血の滞りはダイエットの大敵。ドロドロとよどんだ血液の中に、脂肪をためこみ、しまいに体脂肪に変化してメタボが加速してしまうのです。

 女性にとっては子宮筋腫、子宮内膜症や、生理痛が重いといった婦人科系トラブルの原因に。美容面でも、シミ、そばかすや、クマといった不調を引き起こします。サバは「活血」という効能があり、読んで字の如く血行を促進し、老廃物を洗い流す働きが高く、まさに、現代人にとっては欠かせない魚。ぜひ、積極的に取り入れてパワーアップを。

 サバが古来より郷土料理として身近なのが「鯖街道」を有する福井県。福井の食の幸がそろう、福井県アンテナショップ「食の國 福井館」も、じつにサバグルメのラインナップが豊富。そこで、購入できる選りすぐりのサバグルメをご紹介します。

一尾丸ごと串に刺して豪快に焼いた「浜焼き鯖」

浜焼き鯖
若狭小浜 丸海の「浜焼き鯖」。まるごと一尾の大迫力!

 福井を代表する郷土料理といえば、サバを一尾丸ごと串に刺して焼いた「浜焼き鯖」。福井で「焼き鯖」といえばこの姿が定番。スーパーにもズラリと並ぶ、まさに「福井県民のソウルフード」です。

 福井県小浜市「若狭小浜 丸海」の「浜焼き鯖」(1296円)は厳選したサバを、火の通りがよくなるように切り目を入れて串に刺し、焼き色や脂の落ち具合を確かめながらじっくりと焼き上げた逸品。黄金色のパリッとした皮目に箸を入れると、中からはホックリした身。香ばしく、ジューシーな味わいに感動! おなかのあたりのふっくらした身、背中側の骨ぎわのところについたミシッとした身、後頭部のうま味の凝縮した身と部位ごとの味わいを堪能できるのも1尾丸ごとならではです。

浜焼き鯖ほぐし身
香ばしい皮とホクホクの身にうっとり。しょうが醤油をつけてどうぞ

 食べ方は、ショウガじょうゆをつけていただくのが福井流。日本酒にも、ご飯にもピッタリです。余ったら、ほぐした身と長ねぎと一緒に煮付けたり、炊き込みご飯にするのもオススメ。

若狭梅でさわやかな味わいの「焼き鯖寿司」

焼き鯖寿司
若廣「若狭梅の焼き鯖すし」。福井館では定番の「焼き鯖寿司」も販売

 浜焼き鯖をアレンジして全国的な大ヒットとなったのが「焼き鯖寿司」。福井県小浜市・若廣の「焼き鯖すし」は、羽田空港「空弁」で、5年連続売上第1位を誇る人気商品です。

 職人の技で黄金色に焼き上げた焼き鯖と、福井県産コシヒカリが織り成す絶妙な一体感が楽しめる鯖寿司です。ほどよく脂がのってしっとり肉厚、香ばしいサバの身、ふっくらと甘いシャリが口の中に広がり、まさに「焼き鯖寿司の至福」がたっぷり味わえます。

焼き鯖寿司盛り付け
見事な黄金色の焼き鯖は、バツグンの香ばしさ。練り梅、大葉、ガリが挟み込まれていて、夏らしい見事なアクセントに

 定番の焼き鯖すしに加えて暑い時季に、おすすめなのが「若狭梅の焼き鯖すし」。梅の一大産地である若狭地方で収穫された「紅映(べにさし)梅」を練り梅にして挟み込んであります。マイルドな酸味と甘味をもつ紅映梅の風味で、鯖寿司がグッと軽やかで、さわやかに。キリリと冷えた日本酒のおともにもぴったりです。ぜひ、福井館に豊富に揃った地酒とともにどうぞ。

ワインや日本酒にぴったり! ささ漬け仕立ての「サバ燻製」

サバ燻製
パッケージもおしゃれな若狭小浜 丸海「ささ燻 サバ」(432円)

 福井館でいま注目を集めているのが、2020年2月から発売がスタートした、若狭小浜 丸海の「ささ燻 サバ」(432円)。レンコダイをおろして塩と酢で締め、笹の葉とともに杉樽に詰めた、若狭の特産品「小鯛ささ漬け」の製法をサバに応用。さらに燻製仕立てにした、ユニークなサバグルメです。

ささ燻製サバ
ささ漬けの技がいきた、サバグルメはとにかくお酒がすすむ

 新鮮なサバを三枚におろした後は、ささ漬け同様に薄塩をして米酢で浅く締めて仕込み、最後に燻製の風味をプラス。ささ漬けならではの凝縮したうま味、芳しい香りと、ほのかな酸味にスモーキー感が加わると、さらに味わいに奥行きが生まれて驚きのおいしさ。ワインや日本酒にバツグンの相性です。チーズと組み合わせたり、サバサンドに使うのもオススメ。

サバとそばが魅惑の融合。日本唯一の「焼き鯖おろしそば」

焼き鯖そば
焼き鯖おろしそば(1020円)。東京でいただけるのは福井館だけ

 福井館のイートインコーナーでもサバグルメが提供されています。イチオシは、日本唯一の「焼き鯖おろしそば」(1020円)。そばの特産地としても知られる福井。ピリッと辛みのある「越前辛味大根」のすりおろしで食べる郷土料理「越前おろしそば」に焼き鯖をのせたそばは、福井市「あみだそば 福の井」のオリジナルメニューです。

 福井県産特上そば粉を使用したこだわりの十割そばに、大根おろし、花ガツオ、ネギ、こんがり焼いた鯖をのせ、よく混ぜてからいただきます。ホクホクのサバの身、ほぐしたサバのうま味がみっしりしみでた出汁、さわやかな辛味の大根おろしがからんだ風味豊かなそばは、最高のマリアージュ! 

 古くから守り継がれてきた「在来種」にこだわっているという特徴をもつ、福井のそばとサバが融合した絶品グルメは、「かき揚げそば」の販売数を上回るという大人気! 一度食べると、ハマること間違いなしの絶品そばを、ぜひ試してみて。

[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.7/池田陽子]

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など