かわいくて上品な京都の「つまみ寿司」クール便で取り寄せできます

[ビビっとくる日本全国おみやげ日記]

ビビっと来る日本全国おみやげ日記

漫画「働きマン」にも出てくる京都のつまみ寿司

 さて、早速今回ご紹介したいのはおすしのお土産。京都府京都市にある「花梓侘(かしわい)」さんの「つまみ寿司」。このカワイイ一口大の小さなにぎりずしは、すでに有名なので見たことのある人も多いはず。

花梓佗 つまみ寿司

 私は安野モヨコ先生「働きマン」(第4巻26話75p)に1コマだけ出てきたのを「いつか食べたい」とえんえんと覚えており、今回ついに実食に至ったというわけです。漫画オタクでありつつ「漫画や小説に出てきたグルメを実食するオタク」でもあります。

 そんなアレな理由でお取り寄せしてみたつまみずしですが、シーズンごとにネタが変わり、6貫・10貫・15貫・20貫とバリエーションも豊か。今回私が購入したのは「初夏のつまみ寿司」10貫。

海が遠い京都ですしは独自の発展をとげた

 食べる前に少しおすしの歴史についてひも解いてみると、古くは紀元前の東南アジアで稲作とともに発生した魚の保存食が、中国を経由して伝わったのがすしの原型だとか。もともとは、米と肉や魚や塩を漬け込む発酵食品だったようですね。滋賀の「フナずし」のような。

花梓佗 つまみ寿司

 次第に米の発酵ではなく酢が使われるようになり、江戸湾のとれたての魚介を酢飯に乗せるようになったのが現在の江戸前「にぎりずし」。一方、大阪や京都では戦前まで押しずしや棒ずしが主流だったようです。

 特に海が遠い京都では、江戸前ずしに比べ砂糖を多めにすし飯に加えたり、日持ちすると言われていたハモやサバのすしなど、保存性の高い調理法が広まったのだそう。そして蒸したあたたかいおすし「ぬくずし」や、舞妓さんが一口で食べられるようつくられた小さな「手まりずし」などの形で発展を遂げていったのだとか。

花梓佗 つまみ寿司

花見にピクニック、新幹線でも喜ばれるつまみ寿司

 さて花梓侘さんの「つまみ寿司」に話を戻すと、見た目はまさに一口大の「手まりずし」。舞妓さんが上品に食べられるようにつくられたのがルーツなのかあ…。中学校の修学旅行で、普段めちゃめちゃ厳しかった男性教諭たちが一同に舞妓さんに鼻の下を伸ばしていて「先生も人の子なのだな」と感じた記憶のふたが開きました。

花梓佗 つまみ寿司

 お品書きも手描きでかわいいですね。〆サバ、焼きアナゴ、スモークサーモン、鯛の昆布〆、生菓子(つぶあんで栗を包んだもの)、近江こんにゃく、ハモの白焼き梅肉と、生湯葉、マグロのヅケ、若竹煮の10種。

花梓佗 つまみ寿司
 
 色とりどりでなんともかわいいおすし、この繊細で美しい彩りもまた、京ずしの特色だそう。テンション上がります。こちらのすし飯は赤酢で甘味をおさえてあるみたいですね。

花梓佗 つまみ寿司

 食べてみるとどれも比較味はしっかり濃い目に感じられ、おつまみやお弁当にもあいそう。中でも目を引く真っ赤な「近江こんにゃく」は滋賀県の近江八幡市がルーツで、唐辛子などではなく「三二酸化鉄」という着色料の色。歯ごたえもぶりぶりしていてなかなか食べごたえがあります。

 お花見やピクニックにも喜ばれるだろうし、宅飲みやおもてなし、もうなんなら帰りの新幹線でお酒と一緒に…。いろいろと活躍の幅が広そうなおすしです。

 今回このお土産を試す際に意外だったのが、クール便でお取り寄せできるということ。賞味期限は製造日より33時間とのことなので、そりゃ焼き菓子なんかのお土産に比べれば足は早いですが、冷凍でもないおすしの通販ができるというのはうれしく思えました。

 それもおそらく〆サバやスモークサーモンや鯛の昆布〆といった、比較的保存の効く食材をメインにしているから可能なのだと思いますが、単にかわいく保存の効くおすしというわけではなくて、海が近くになかった京都の人が古くから受け継いできた京ずしの伝統なのだということがわかり、より味わいが増した感じがします。

 そんなわけで、調べてみたら意外と奥深かった念願の花梓侘のつまみ寿司でした。

つまみ寿司

花梓侘(かしわい)
『つまみ寿し10貫』
2,160円(税込)

日持ち                   ★☆☆☆☆
配りやすさ                 ★★★☆☆
この寿司が通販で食べられるというだけでもう ★★★★★

[ビビっとくる日本全国おみやげ日記/第19回]

西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。