中国地方の定番のお土産といえば、もみじ饅頭やきびだんごなどでしたが、その顔ぶれが最近少しずつ変化しているそう。広島在住のパーティスタイリスト、浦岡裕子さんが紹介してくれました。
瀬戸内のお土産の定番がアップデートしている
かつて修学旅行で行った岡山、広島。そのとき、家族に持って帰ったお土産はきびだんごともみじ饅頭でしたが、それから十数年経ち、その地に暮らすことになって、定番お土産の情報をアップデート記事を書くことになりました。今回は、多くの人にぜひ知ってほしい、この季節に食べたい瀬戸内の新しいお土産をご紹介します。
「氷もち」は溶けないアイスキャンディのよう
まずは岡山の大好きな和菓子屋さん「今八ふたわ」の「氷もち」。県外に暮らす知人はもちろん、地元岡山の人にも喜ばれる、とっておきのお土産です。一般に「氷餅」というのはもちを水に浸し、凍らせたものを寒風にさらして乾燥させた保存食で、長野や新潟など寒冷地でつくられるものなのですが、こちらの「氷もち」は葛を丁寧に練り上げて、凍らせた和風アイスキャンディ!
アイスキャンディのような見た目なので、段々溶けていきそうですが、葛餅がベースになっており溶けても流れることはありません。ぼたぼたと溶け流れるのを気にしなくてよいので、ストレスなく子どもとも一緒に楽しむことができるのも個人的に好きなポイント!
毎年、5月末から店頭に並び始め、季節が少しずつ移ろうのに合わせて味のバリエーションも変わっていきます。シーズン1からシーズン3と晩夏まで続いていくのも面白く、その味は、岡山の「清水白桃」や「青梅」、「あまざけ」などどれも食べてみたくなるものばかり。旅行に訪れた際は、ぜひ店頭で購入して冷え冷えを召し上がれ。お土産にはクール便のお取り寄せがおすすめ!
広島のスーパーにも並ぶローカルな名品「はっさく大福」
続いて紹介するのは広島の和菓子屋「かしはら」の「はっさく大福」。むいたハッサクの果実を、白あんとミカンもちで包んだ大福です。今や定番のもみじ饅頭に加え、こちらを買っていく方も多いのだとか。しゃくっとした食感と甘味や独特の酸味のあるハッサクの発祥は、穏やかな瀬戸内海に浮かぶしまなみ海道のひとつ、因島。
その因島でつくられたハッサクですが、おいしさはお墨付きなのに傷や規格外で安く買いたたかれることも多かったのだとか。その情景を見た「かしはら」の2代目店主が、ハッサクの栽培と販路拡大に苦労してきた先人たちを思い、大福にすることを思いつき販売をはじめたそうです。
それが約30数年前のことというのではっさく大福は、新しいようで実は歴史のある名物。いくつかの地元のスーパーの一画にも置いてあって、1個160円(税抜)と手頃な価格で日常に馴染んだ和菓子でもあります。
地元に根づいたお菓子であるとともに、瀬戸内おみやげコンクール2019(菓子・スイーツ部門)で最優秀賞もとっている名品です。口にほおばると、酸味のある果汁がじゅわっとこぼれ、かむと白あんともちの甘味と合わさり、柔らかくさわやかな味を楽しめるはっさく大福は、新鮮さと共に喜ばれること間違いなし!
はっさく以外にもバリエーションがあるのも、さまざまなかんきつ類が栽培されているフルーツ王国の因島ならでは。岡山の氷もち同様、いろんな味をそろえて楽しむのがおススメです。
岡山、広島に行ったら、ぜひチェックしてみてくださいね。
<写真・文/浦岡裕子>
【浦岡裕子さん】
広島在住。パーテイスタイリスト/バースデープランナー、harenohi_factory主宰。季節の行事やパーティイベント、子どものお祝いなど生活の中にあるハレの日を、キオクとキロクに彩りスタイリングすることをテーマに、イベント装飾のアイテム製作やWEBへのコラム掲載、パーティスタイリングやアイテム製作の誌面協力、子どもと親御さん向け店舗での季節の装飾を担当するなどの活動を行う。