全国にはいくつもドライブスポットがありますが、広島県と山口県民ならみんな知っている、おいしい名物スポットがあると、パーティスタイリストの浦岡裕子さんが教えてくれました。さらにその味を自宅で楽しめる簡単メニューも紹介します
免許をとったら必ず行く。和風建築も楽しめる名物居酒屋
深い山道を進んでいくと突如見えてくる、橙色の派手なあかりと巨大な和風建築。それはまるで、千と千尋の神隠しの世界に迷い込んだかのような気持ちになります。厳かではあるけれど賑やかで明るい。その名は「いろり山賊」。昭和20年~40年頃に広島を発祥として広まった居酒屋です。山口県、広島県民には言わずと知れたドライブの名所でもあり、運転免許をとるとまずここへ行くというのが、地元の「あるある」なのだとか
とにかく広い! 見るだけでも楽しめる和風建築
この店はいわゆる食事処なのですが、まずスケールが大きいです。店舗は山口県岩国市に3店舗。今回訪れたのは、最も規模が大きいという玖珂店ですが、山賊の名にぴったりの豪快な敷地と和風建築。季節ごとにおおがかりな装飾も変わっていきます
足を踏み入れれば、いろり席や雄大な滝を見たり、川のせせらぎや鳥のさえずりを耳にしたりしながら楽しめる野外席がそろっており、どこのエリアで食べようか迷うほど。店舗の正面には和太鼓がおいてあり常にお客さんの誰かが叩いている音が聴こえ、それがBGMのようになり、まるで山賊が仕留めた獲物や財宝を担いで踊り狂っているような雰囲気。
名物「山賊焼き」がとにかくおいしい!
数ある名物メニューの中でも有名なのが「山賊焼き」。若鶏を炭火でこんがりと焼上げ、太い串に刺してどーんと出てくる豪快なメニューです。山賊焼きは信州や山口県の郷土料理なのだそう。パリパリの皮と炭火のにおいを楽しんで上品に箸で身をはがしていくも、だんだんと手でつまみ上げて食べ、最後には手づかみに、とじわじわと豪快に食らいゆく人々をたくさん発見!
ご当地ポテトチップスとして、山賊焼き味のポテトチップスが販売されたことも。そんなポテトチップスや山賊グッズが販売されているお土産エリアで、「山賊焼き」のたれを発見。実際に買ってみました
やみつきになるおつまみを自宅で!
今回はスーパーでも手軽に手に入る鶏の手羽中を使い、このたれを合わせて山賊焼きを再現してみます
【材料】(約4人分)
鶏手羽中 600g
山賊焼きのたれ 大さじ4
コショウ(黒) 適量
【つくり方】
1 味を染み込ませやすくするため、フォークで穴を適度にあけた手羽中を保存袋に入れ、山賊焼きのたれを入れもみこむ。15分~30分冷蔵庫に置く。
2 魚焼きグリルに並べ中火で両面10分焼く。
3 保存袋に残ったたれをかけて両面4分焼く。
お好みでコショウをふって完成です。
甘辛いたれが絡んだ1品はビールと一緒におつまみとしても、夕飯のおかずにもぴったり! 子どもも喜んで食べてくれますよ。紙コップなどに数本入れて、取り分けてパーティフードにもおすすめです! 山賊の建築は、初代社長が建具屋を営んでいた頃の建築様式を守り続けているそうで、貴重な和風建築の様式美や、民具にも触れられるので、グルメだけでなく建築観光としても訪れる価値があります。山口を訪れる際は、ぜひ訪れていただきたいです。
<撮影・文、料理制作/浦岡裕子>
【浦岡裕子さん】
広島在住。パーテイスタイリスト/バースデープランナー、harenohi_factory主宰。季節の行事やパーティイベント、子どものお祝いなど生活の中にあるハレの日を、キオクとキロクに彩りスタイリングすることをテーマに、イベント装飾のアイテム製作やWEBへのコラム掲載、パーティスタイリングやアイテム製作の誌面協力、子どもと親向け店舗での季節の装飾を担当するなどの活動を行う。