サウジアラビアのダーランで、日本の食や伝統工芸、アートなどを紹介する「Japan Cultural Days」が開催。イベントでは映画「カメラを止めるな!」 が上映され、上田慎一郎監督も登壇しました。日本への留学経験があり、サウジアラビアで通訳をしているアブダラさんに当日の様子を聞きました。
サウジアラビアから見た日本
世界最大級の石油輸出国として有数の富裕国であるサウジアラビア。国土は日本の約5.7倍の広さを持ち、人口3600万人が暮らしています。国土面積は日本の約6倍なのに人口は日本の約3分の1。総務省が発表している国連の資料によると、年齢の中央値は日本が49歳であるのに対し、サウジアラビアは30歳。また、日本がものづくりの国とするとサウジアラビアは石油資源の国であり、日本とは経済体系、文化、宗教などが大きく異なります。
「サウジアラビアは中東に位置し、イスラム教の聖地であるメッカとメディナを擁していて、豊かな文化と歴史をもつ国です。伝統文化と近代化が共存し、近年では映画やエンタメ産業の発展中。サウジアラビアと日本は、経済・エネルギー分野での協力関係が長く続いており、近年では文化交流の面でも接点が増えています。とくに日本のアニメや映画はサウジでも人気があり、日本映画の上映機会も開催されていますよ」(アブダラさん)
日本とアメリカで大学生活を過ごし、それぞれの国に友人が多くいるというアブダラさん。アブダラさんから見た日本はどのような国でしょうか。
「私は日本で学び、生活していたので、日本の文化や価値観を深く理解しています。日本人は礼儀正しく、時間を守る文化があり、細部にこだわる美意識がある国です。また、映画においても独自の表現力やストーリーテリングがあり、それが世界中で評価されている理由だと思います」
上田慎一郎監督が登壇、質問も多数
アブダラさんが通訳として参加したイベントでは、映画 「カメラを止めるな!」 の上田慎一郎監督を現地に迎え、上映と質疑応答も。上映会は、日本の映画がサウジアラビアでどのように受け入れられるかを探る機会にもなったそう。文化が異なる国での上映でしたが、質疑応答では想定していた時間を大幅に超えても質問が続くなど、大盛況だったといいます。
「サウジアラビアの観客には、この映画のユニークな構成は新鮮な驚きでした。前半と後半のギャップがおもしろく、観客の反応も非常によかったです。とくに、映画づくりの舞台裏が明かされる展開には、多くの人が感動していました。上映後の質疑応答では、監督も観客の反応を喜んでくれましたよ」
そして…ついに上映が終わりました!!
客席でソワソワしながら一緒に鑑賞開始…
中盤以降は笑い声に溢れ、エンドロールに入った瞬間には熱い拍手が…!
上映後のQ&Aでは質問が止まず予定の倍以上となる1時間超えに…!
カメ止め、サウジでも大好評でした!!#カメ止めサウジ旅 pic.twitter.com/46NR9flaul
— 上田慎一郎 (@shin0407) February 4, 2025
イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。日本とサウジアラビアの映画や文化において、今後の展開はどうなっていくでしょうか。両国の事情に詳しいアブダラさんは以下のように話してくれました。
「今後も、日本映画の上映イベントが増えていくことが期待されます。また、サウジアラビアでは映画産業が成長しており、日本と共同制作の機会も出てくるかもしれません。今回のようなイベントが、さらなる文化交流の架け橋となることを願っています」
【アブダラ アルゴさん】
サウジアラビア出身。日本での留学経験をもち、日本語能力試験(JLPT)N1を取得。英語・アラビア語・日本語のトライリンガル。経済学の学位を取得し、翻訳・通訳の経験をいかして国際的なイベントや文化交流の場で活躍。2025年は、大阪万博2025のサウジアラビアパビリオンで勤務。多文化理解を大切にし、映画を通じた国際交流に貢献。