仕事と休暇を兼ねた「ワーケーション」が注目を集めていて、各地で快適なワークスペースはもちろん、楽しい体験プログラムなども用意されています。今回は、石川県の七尾市、珠洲市、加賀市、白山市をクローズアップ。石川県の特徴や魅力をはじめ、各エリアの担当者による唯一無二の、おすすめの過ごし方をお届けします!
自然や温泉にいやされる石川のワーケーション
石川県は、世界農業遺産に認定された里山里海が広がる能登地域と、日本三名山のひとつ霊峰白山の恵みに抱かれる加賀地域があります。
「能登地域では、眼前に日本海を見ながら仕事をして、地域に出かければ、磯や砂浜・イルカの群れといった自然、揚げ浜製塩や珪藻土七輪、輪島塗などの伝統的な産業や暮らしの知恵に触れることができます。また、加賀地域では、白山麓の自然の中や歴史ある加賀温泉の旅館に泊まりながら仕事をして、森林や温泉でいやされ、九谷焼や山中漆器といった伝統工芸の職人技に出会えるのも魅力です」(石川県観光戦略推進部 ・山田 瑞乃さん)
早速、各エリア別に「ワーケーション」事情、体験プログラム&宿泊施設の一部をご紹介します。
海とともに過ごすなら七尾市へ
羽田空港からのと里山空港(能登空港)までは飛行機で約1時間、能登の中心部にあるのが七尾市です。
「世界農業遺産・能登の里山里海で、そこで暮らす人から直接学べる体験プログラムも充実しています。食事は、天然の生簀・七尾湾で獲れた新鮮な海の幸を味わえます。夜間・早朝も温泉に入浴できる施設もあるため、自分タイムででもリフレッシュできますよ」(能登七尾サスティナブルツーリズム推進協議会 小山基さん)
滞在期間中のおすすめの体験プログラムは、七尾市能登島に生息している野生イルカの「イルカウォッチング」。波が穏やかなので、船酔いの心配も少ないそう。また、クルーのひとりとして操船や帆の上げ下げにも参加する「体験セーリング」も好評。晴れた日の夕暮れどきに出発する「サンセットクルーズ」は必見です。
おすすめ宿が、七尾湾を望む絶景宿「ホテル海望」。
「コワーキングスペースを備えた、能登島観光に適した宿です。七尾湾の絶景を一望できるコワーキングスペースなので、オンライン会議もできます。温泉は夜間・早朝も入浴可能。コンドミニアムタイプのカウンターキッチン付のお部屋もあり、ケータリングで料理人を呼ぶことも、自炊することもできます」と松本さん。
温泉に浸かり、海を眺めながらの仕事はリフレッシュできそう。
里山里海をいかした自然体験ができる珠洲市
能登半島の最先端に位置し、三方を海に囲まれているのが珠洲(すず)市。
「1年をとおして、季節や地域によって変わる自然と伝統文化を楽しむことができます。世界農業遺産にも認定された能登の里山里海をいかした自然体験や豊かな海の幸、山の幸を使用した地元料理、そしてそこに住む人々との交流により、心身ともに癒されながら仕事ができる環境です」(珠洲市観光交流課・前根沙紀さん)
アウトドア体験プログラムも多彩。珪藻土(けいそうど)の埋蔵量が日本一の珠洲市ならではの「珪藻土ピザ窯で焼くピザ焼き体験」のほか、別名軍艦島と呼ばれる見附島の裏側を目指し、シーカヤックで島を1周する「シーカヤック体験」。潮風や珠洲の豊かな自然を満喫する「鉢ヶ崎ウォーキング」、余生を過ごす引退競走馬と過ごす「馬との触れ合い体験」など、いやしの体験ができます。
宿泊先のおすすめは、日本の渚百選に選ばれた鉢ヶ崎海水浴場が目の前にあるリゾートホテル「珠洲ビーチホテル」と、「木ノ浦ビレッジ」。
「木ノ浦ビレッジには、国定公園特別地域に指定されている美しい木ノ浦海岸に面したコテージが8棟あります。お風呂からは全室、日本海が一望。全室にキッチンがあり、長期ステイが可能です。ピザ焼き体験やノルディックウォーキングなど、珠洲の豊かな自然の中でさまざまな体験を楽しめます。世界農業遺産に認定された能登の里山里海を堪能するのにぴったりの宿泊施設です」と前根さん。
加賀市では、無人駅がコワーキングスペースに
小松空港や金沢駅から各1時間以内と好アクセスで、全国有数の温泉地である加賀市では、温泉旅館のほか、気軽に利用できる「街なかワ―ケーション」を推進中です。
「2022年6月13日にJR大聖寺駅舎を改修し、大阪で人気のパン店が併設された複合施設『大聖寺ゲートウェイ』がオープンしました。コワーキングスペースは1人1回あたり200円で利用でき、パンなどを購入すると利用料は無料となります。焼き立てパンの香りに包まれながら、木のぬくもりあふれるコワーキングスペースで過ごすことができます。温泉街にも車で約10分と近く、温泉に浸かり、非日常的な出会いのなかで新たな発想が生まれるかもしれません」(加賀市役所産業振興部観光交流課・小中出彩歌さん)
数ある温泉旅館の中でも注目は、柴山潟の静かな湖畔に佇む、眺望が自慢の「季がさね」。
湖を展望する大浴場では、朝と夕と利用時間によって湖畔の表情が変わるのが魅力。また、館内にはコワーキングスペースがあるため、リラックスして仕事を行えます。
源泉かけ流しの天然温泉、モダンな客室、加賀野菜と日本海の新鮮魚介が堪能して1日のリセットを。
休んだり、遊んだり、学んだりできる白山市
石川県の南部で、金沢市のお隣に位置する白山市は、全域が白山手取川ジオパークでもある自然豊かなエリア。霊峰白山の山懐に抱かれた地・白山山ろくで「白山スローツー」による新たな旅を提供しています。
「春~秋は山歩き、冬はスノースポーツと雪遊び、夜にはの満天の星など、地元ガイドとともに季節折々の山の自然を楽しめます。静かにゆったり流れる時間の中で、オン・オフ、集中・いやしを感じることができるでしょう。地元の人との交流も魅力のひとつです」(白山ろくスローツーリズム研究会 事務局・中村吉成さん)
ほかにも、「白山信仰パワースポット巡り」や地元農家のおやつ「こびりづくり」など、ここでしか体験できないプログラムが用意されています。
仕事での長期滞在も大歓迎なのが、一里野温泉スキー場のゲレンデ近くに佇む、アットホームな雰囲気の温泉旅館「HOTEL牛王印(ホテルごおいん)」
「館内はWi-Fiも完備。レストランの窓からはゲレンデの四季折々の景色が楽しめ、夕食は、特製の鉄鍋で四季折々の山菜やお肉を揚げていただくオイルフォンデュが満喫できます」と中村さん
仕事の合間にウィンタースポーツを楽しみたい人には特におすすめです。
取材協力/石川県観光戦略推進部、七尾市役所産業部産業振興課、珠洲市観光交流課、加賀市役所
産業振興部観光交流課、白山ろくスローツーリズム研究会
<取材・文>寺川尚美