全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化などさまざまな角度から地方の魅力をお届け。今回はNHK静岡放送局でキャスターを務めていた大下佳菜アナが静岡県ならではのお茶に関する情報をリポートします!
お茶どころ、静岡県でだけ発表される遅霜予報
みなさま、こんにちは。NHK長野放送局&NHK静岡放送局でキャスターをしていた大下佳菜です。落ち着かない日々が続き、日常が急に止まってしまったようですが、季節は進んでいます。私が育った静岡県ですが、今年も新茶の季節が到来しました。お茶畑は黄緑色に輝いていてとてもきれいでしたね。今回は、そんなお茶どころ静岡県で発表されている気象情報についてご紹介します。
静岡県では4月~5月初旬にかけて「遅霜予報」なるものが発表されています。遅霜予報とは、翌朝の霜の有無を予想するもの。新茶の時期に合わせて静岡地方気象台が出しています。じつはこの遅霜予報は、静岡県だけで発表されているご当地予報なんです。
下記は、とある日の予報です。
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【遅霜予報】
西部・中部の山間部で霜
<各地の翌朝の予想最低気温(℃)>
静岡市 10
浜松市 10
三島市 9
御殿場市 6
川根本町 4
菊川市 7
富士市 9
浜松市船明 6
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翌朝に【西部と中部の山沿いの地域で霜が降りる】と予想されました。霜の予想に加えて、主な産地である静岡市、浜松市、三島市、御殿場市、川根本町、菊川市、富士市、浜松市船明(ふなぎら)の予想最低気温が発表されます。農家のみなさんにとって、お茶の時期は次の日の天気よりもこの遅霜予報が大切だそうです。
どうして霜に気をつけなければならないのか? それは暖かい地方が原産のお茶は寒さに弱く、やわらかいお茶の新芽に霜が降りてしまうと新芽が枯れてしまうから。高気圧に覆われてよく晴れた日の翌朝には、放射冷却によって地面の近くが冷え込み、霜が降りることがあります。
せっかく出た新芽が霜の被害を受けてしまうと、おいしいお茶をつくることができません。だからこそ、この時期の朝の冷え込みには非常に気を遣うそうです。
お茶畑にファンを設置して霜対策
その対策に欠かせないのが防霜ファンです。温度のセンサーとタイマーで設定温度よりも気温が低下したらファンが回る仕組み。地表近くの冷たい空気と地上3メートル以上のやや暖かい空気をかくはんさせて霜を防ぎます。県外から遊びに来た友人がお茶畑を見て「お茶畑の扇風機?」と不思議そうにしていました。
静岡県での生活にお茶は欠かせません。私自身もさまざまな場所でお茶に関する取材をしました。ワインのような高級茶に、お茶畑の中に設けられた一坪のお茶席。そして茶娘の姿をしてお茶摘み体験したこともあります。
今年は、静岡茶市場で行われている初取引のセレモニーや新茶に関する催しが中止になったり、大勢がお茶畑に集まる手摘みを自粛したりするなど、新型コロナウイルスの影響を受けています。また、みんなで静岡のおいしいお茶が飲める日が1日でも早くきますように、心から願っています。<取材・文・撮影/大下佳菜(地方創生女子アナ47)>
大下佳菜さん
静岡県磐田市出身。大学卒業後、NHK長野放送局で5年間、NHK静岡放送局で4年間キャスターを務める。県内各地を訪ねるコーナーを担当し、紹介した市町村は95。地方の魅力を伝えていきたいと女子アナ47に加入。現在は育児をしながらフリーアナウンサーとして関東や静岡県で活動を広げていきたいと考えている
―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第11回:大下佳菜(静岡県)]―
地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイトも更新中