「あぐど」「すかふぇらいね」青森に移住して驚いた難解な津軽弁

「フランス語みたい」と言われることもある津軽弁。東京の下町育ちで2020年、青森県藤崎町に地域おこし協力隊として移住した、笠原綾子さんも津軽弁には「?」と思うことが多いそう。今回は、彼女が出会った難解な津軽弁を教えてもらいました。

まるで外国語。津軽弁でちょっとした留学気分を味わえる

青森の写真コラージュ

青森は大きく分けると青森・津軽・南部・下北の4つの地域に分けられます。日本海側の「津軽弁」と、太平洋側の「南部弁」に大別され、さらに南部弁は下北・上北・八戸三戸地域で区分されるそうです。私が移住した「藤崎町」は、津軽地域で「津軽弁」になります。

リンゴをもつ笠原さん

 青森は本当に、空気も食べ物もおいしい! そして、私が出会った青森の人々は皆さん親切な方ばかり! 今のところ困ったことはないのですが、唯一「困難」と思うことがあるとしたら、それは「津軽弁」! 同じ日本なのに、こんなに違う?という表現や、発音の言葉があります。ちょっとした留学気分を味わえます。

 私は青森に移住して、地域おこし協力隊としての活動として行っているのは主に町のPR活動。様々なSNSを利用して、写真や文章で町の魅力を伝えていますが、情報発信に重要な要素として動画は欠かせない!と思いました。そこで、移住してすぐにYouTubeにて『青森県藤崎町地域おこし協力隊かさこチャンネル』を開設したのです。

YOUTUBEかさこチャンネル

町長にインタビューして津軽弁を教わる

 番組開設当初はとにかく青森の美しい風景を伝えたい!と思い、藤崎町から見える岩木山、空、大地、自然、駅、町のお店などを紹介していましたが、もっとリアルに『人』を伝えたいと思ったときに、「そうだ! 町の人に津軽弁をしゃべってもらって、それをクイズ形式で伝えたら面白いかもしれない!」と思いついたのです。

 そして『教えて!津軽弁』というコーナーをつくり、青森の地域の人々にインタビューしながら津軽弁を教えていただきました。ときには藤崎町の町長さんにまでインタビューして、津軽弁を教えていただきました。

「あぐど」「すげね」。

 これって、皆さん意味わかりますか? 私はまったくわかりませんでした。ちなみに、答えは「あぐど」は「かかと」、「すげね」は「淋しい」という意味です。いやもうコレは標準語とはまったく違いますよね?

 ほかには「すかふぇらいね」なんて津軽弁も教えていただいたのですが、これはもう完全に外国語、フランス語ですか?という感じですよね。

「すかふぇらいね」の答えは「教えられないね!」という意味。えぇ、ほんとに日本語ですか?と思うような津軽弁。奥が深いです! 

ちょっとシャイだけど、雪国のあったかい人たち

お店の人にインタビュー

 北国の人たちは、シャイな人無口な人が多いイメージでしたが。実際に青森に移住してみて思ったことは「思ったほど無口ではない!」。YouTubeの取材協力も快く受けて下さいますし、本当にありがたいなぁ、と思います。

リンゴ農家と笠原さん

「教えて津軽弁」の撮影取材を通して、町長さんを始め多くの方と出会うことができました。リンゴ農家さん、トマト農家さん、酒屋さん、町内会連合会会長さん、レストランの料理長さん、相撲エクササイズの先生、自動車販売店員さんなどなど。皆さん本当に親切で、すてきでカッコイイ方ばかり。

剪定の手伝い

 実は、私の両親は既に他界していて、実家も処分してしまったので東京には帰る家もないし、家族もいません。ですが青森に来てからまだ半年ですが、まるで家族や親戚みたいに思える人たちに出会うことができました。これはもう本当に奇跡みたいで感謝しかありません。青森に移住していなければ出会うことができなかった人たちばかりです。

花の手入れ

 そして、そんなすてきな出会い以外にも青森に移住したからこそ出会ったのは、人、言葉、風景、食べ物だけじゃなかったのです。東京にいるときはまったく出会うことがなかったそれは『モノ』、日用品、道具です。青森という、ある意味東京の都会では使わない『モノ』。それから青森という雪国ならではの『モノ』。

 これからはそんな、東京では使わなかった日常に不可欠な『モノ』をご紹介したいと思います。

地元の人と一緒に

<撮影・文/笠原綾子>
青森県藤崎町の地域おこし協力隊員。2020年に52年間住んだ東京を離れ、移住。町のPRや情報発信に携わっている