広島県安芸高田市(あきたかたし)の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬の「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して5年目、愛犬のてんちゃんとご家族で日々をにぎやかに過ごしています。安芸高田市の里山の豊かな自然と、水戸家とてんちゃんの暮らしのレポートをお送りします。
おばあちゃんが種から育てる「ハブ草茶」づくり
水戸家の畑ではおばあちゃんが、お茶にするための「ハブ草」を種から育てています。ハブ草は柔らかい葉っぱと黄色の花がたくさんついて、風で揺れるたびフワッとお茶の香りが広がります。クマンバチもこの花が大好きなようで、毎年どこからともなく集まってきます。花を一つ一つ、一生懸命回って蜜を集める様子はなんともかわいらしく、ずっと見ていられます。
8月に入ってすぐの花盛りの頃には、クマンバチに申し訳なくなりながらも収穫を始めます。葉や花を茎から外し、少し置いてしんなりしたらもんで、カラカラに乾くまで天日干し。それを、5月につくった茶の木のお茶とブレンドし、いり直したものがわが家の「お茶」となります。
小さな頃からなじんだ味ですが、こちらへ移り住んで自分もお茶づくりに参加するようになると、ますますおいしく感じられ、生活に欠かせないものになりました。
お盆は家族でかしわもちをつくります
お盆には、かしわもちをつくります。わが家では、あんこ担当といえばいつもおばあちゃん。頼むとさっとつくってくれていましたが、高齢になったこともあり、最近ではいろいろな作業を少しずつ母や私、姉が引き継ぐようになりました。おばあちゃんに火おこしを教えてもらいながら、畑で採れた小豆を七輪で煮て、サラシでこして、こしあんをつくります。
それからお墓に向かう道のあちこちに生えている「サルトリイバラ」の葉をとりに行き、米粉の生地でこしあんを包み、葉っぱで挟んで蒸します。この辺りでは、かしわもちを挟むのに漢方薬としても使われるサルトリイバラの葉を使います。久しぶりのかしわもちづくりでは、家族であれこれ言い合いになりながらも(笑)、今年もなんとかでき上がりました。
お墓に灯籠の明かりが灯ると季節は秋へ
私たちの地域では、お盆の期間である13~15日の3日間は、夜にお墓の灯籠の火を灯します。家の裏の山を少し登ったところにお墓があるので、暗くなると居間の窓からろうそくの灯りがぽつぽつと浮かんでいるのがよく見えます。お盆らしい、ほっとする光景です。
お盆が終わると、とたんに朝晩ひんやりとした風が吹きはじめました。いつの間にか咲いているクズの花やミズヒキ、イヌタデ。ヒグラシからツクツクボウシ、スイッチョンからコオロギへ。田舎で生活するようになり、季節の変化がしっかりと目に見えて感じられるようになりました。まだまだ昼間は暑いですが、もうすっかり秋の兆しです。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して5年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。