野良犬の子を山で発見。今ではすっかり家族の一員になりました

広島県安芸高田市(あきたかたし)の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬の「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して5年目、愛犬てんちゃんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。

野良犬から生まれた、愛犬「てん」

愛犬てん(仔犬時代)
私が初めて会ったのは動物病院から連れて帰って来た時。生後1ヶ月ちょっとくらいで、もう乳歯が生え始めていました(写真奥がてん)

「てん」は野良犬(ノラちゃん)から生まれました。ノラちゃんはとても警戒心が強くてすばしっこいため、だれも捕まえることができず、もう7年くらい前からこの地域に野良犬として住み着いています。野良犬ではありますが、畑を荒らすタヌキを仕留めたり、鹿を追い払ったりと里守り犬のような役目をしているので、いろんなところでかわいがられて生活しているようです。

 あるとき、ノラちゃんにどうやら子どもがいるらしいとわかり、母が近くの山を捜索したところ、大きなケヤキの木の下に巣穴を見つけました。すぐに近所の方と協力して、おそるおそる巣穴に手を突っ込んで…。やっと引っ張り出したのが3匹の丸々とした白い子犬の兄弟でした。

てんの兄弟
巣穴から引っ張りだした直後の写真。てんの兄弟

 田舎へ移住してからは、いつか縁があったら犬を飼いたいと考えていた水戸家。このあまりにかわいい3兄弟を前に、そのうち1匹を家族として迎え入れることはもう決定事項となっていました。家の中を走りまわる子犬たちの慣れないお世話は大変でしたが、人慣れさせるためにもいろんな方に見にきてもらい、2匹はそれぞれ同じ市内のすてきな家族のもとへ引き取られることになりました。

 こうして水戸家の犬は、ピンクの鼻に黒い「点」のある「てん」ちゃんとなったのです。

愛犬てん(仔犬時代)
名前の由来の黒い点は成長するにしたがっていつの間にかなくなった

愛犬に会うため、姉も地元に戻ってきた

愛犬てん(仔犬時代)
元気いっぱいの仔犬たち。おとなしいのは寝ている時だけ

 今となっては、家族が仲よくやっていけるのも、愛犬「てん」のおかげです。てんに会うためにしょっちゅう帰省するようになった姉も、ついに近くの親戚の家に移住しました。おばあちゃんも「てんがおってよかったね。てんがおらんとこんなにみんなで笑うこともないじゃろう」とよくいっています。本当にそのとおりで、みんなの笑顔が圧倒的に増えました。

 じつを言うと、てんは野犬の血筋があるからかとても臆病で、それゆえに凶暴な一面もあったりするのですが…。本人にはしっかりとした意思があり、いろいろと考え、悩みもあるようです。そんなところも含めて、大事な大事な家族の一員です。

愛犬てんと
あの小さかったてんちゃんが、こんなに大きくなりました

実りの季節を迎えた里山。キノコのシーズンも到来

樹齢100年を超えるイチョウの木
山梨の木と一体化するように生えている

 台風が過ぎるとまた一段と肌寒くなり、てんもくるりと丸くなって寝るようになりました。イチジク、柿、栗、銀杏、キノコ… 自然いっぱいの里山は実りの季節です。

 中でも銀杏は、毎年ものすごい量が大きな1本のイチョウの木から降ってきます。わが家のシンボルツリーでもあるそのイチョウの木は、ひいおじいさんが植えたそうで樹齢100年を超えているといわれています。

イチョウの木
見れば見るほどたくさんの実が付いている

 9月半ばの彼岸花が咲く頃になると、風が吹くたびに、たくさんの実を付けた枝が重たそうにゆらゆら揺れて実を落とします。木の下には灰屋(はんや)と呼ばれる昔灰をつくっていた小屋があるので、トタンの屋根に実が落ちてコンコンと当たる音が夜中でも聞こえてきます。

イチョウの木
落ちたばかりの実はそんなに臭いもなく、とてもきれい

 これからますます秋が深まり、キノコのシーズンの到来です。今年は大豆もたくさん収穫ができそうで、おばあちゃんは今からとても張りきっています。水戸家ではしばらく、忙しい日が続きそうです。

【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して5年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。