広島県安芸高田市(あきたかたし)の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬の「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して5年目、愛犬てんちゃんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。
手づくりのキノコ園で原木栽培のキノコを味わう
こちらは朝晩すっかり冷え込むようになり、薪ストーブの出番もやってきました。父が朝いちばんに火をたいてくれているので、外の寒さを忘れるくらい部屋の中はポカポカです。「田舎暮らし」というとのんびりとしたイメージがありましたが、実際はやることもやりたいこともいっぱい。とくに実りの秋は忙しく、あっという間に日が過ぎていきます。
この秋は、子どもたちとススキのフクロウをつくったり、金木犀の花のジャムをつくってみたり。父が参加しているグループでは、キノコの勉強と料理を楽しむイベントも開かれました。どれも今の時期だからこその楽しみです。
そのグループでは、地元のメンバーが中心となって木を切り、キノコの植菌をしてホダ木をつくったりとさまざまな活動を行なっています。そのおかげで水戸家にもいつの間にかキノコ園ができあがりました。
10月に入ると、7月に土の中へ埋めたホダ木から次々とマイタケが生えはじめます。はじめは固そうな小さな赤ちゃんキノコですが、1週間くらいでぐんぐん大きくなり、美しい立派なマイタケに成長します。原木栽培のため香りもよく、収穫して持ち帰ると家の中がおいしそうなマイタケの香りに包まれます。
一見ただの木にしか見えないホダ木から、ある日突然現れるキノコは本当に不思議です。もちろん、植菌したものではなく自然に生えてくるキノコもたくさん。こんなふうに、日々暮らしの周りの自然を見ているだけで、美しいものやおもしろいものがあちこちにあって、飽きることがありません。
おばあちゃんが選別した豆はみそやあんこに
そんななか、最近のおばあちゃんは毎日、豆仕事に励んでいます。ウズラ豆や白インゲンから始まって、小豆、大豆、最後に黒豆。収穫した豆をむしろに広げてよく日に当てると、パチパチとさやが弾ける音が聞こえてきます。ときどきお手製の木槌でたたくと、より中の豆が出やすくなります。豆が全部出たら次は箕(み)を使って、さやとゴミを飛ばしていきます。ザッザッとリズムよく、昔から身にしみついた無駄のない動きです。
豆だけになるとあとは選別の作業。悪い豆が混ざらないようメガネをかけて、真剣な表情で挑みます。そんな大変な作業を、お日様の動きに合わせて場所を変えながら、いつもがんばってくれています。
毎年こうしてできた豆が、みそやあんこに生まれ変わります。なにをつくるにも手間がかかりますが、自分たちのところで育ったものがおいしいととてもうれしくて、達成感があります。
風はますます冷たくなってきて、イチョウの木も高いところがだいぶ黄色く色づいてきました。そろそろ霜が降りそうな予感です。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して5年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。