広島県安芸高田(あきたかた)市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して5年目、愛犬てんちゃんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は水戸家のお誕生日のお祝いと、寒仕込みのみそづくりについてです。
家族の誕生日を祝う1月。愛犬てんもおめかし
年が明けて、普段の生活が戻ってきました。水戸家の1月は誕生日ラッシュです。おばあちゃん、私、それから愛犬「てん」も1月生まれ。おばあちゃんは今年で96歳になりました。だんだんとできないことも増えてきたかと思いきや、雪ですっぽり覆われた畑を掘りかえして白菜や大根を採ってきたりとまだまだ元気です。部屋でじっとしているほうが調子が悪くなるようで、よほどの雨や雪でないかぎり家の周りの道を何周も歩いて運動しています。
この地域では、お正月のしめ飾りや門松、書き初めなどを持ち寄って焼き、1年の無病息災、家内安全などを祈願する「とんど」という行事があります。今年のとんどでは、おばあちゃんもほかの卯年生まれの人たちと一緒に点火を行いました。火をつける役目はさすがに今回で最後(この次は108歳!)と思われるので、参加できてとてもうれしそうでした。
てんも、早いものでもう4歳です。誕生日には毎年、犬用レシピのハンバーグをつくってお祝いしています。つくっているときから台所に何度も様子を見にきてそわそわ。自分だけのごちそうを前にして目がくぎづけです。普段なら嫌がるであろうおめかしも平気! おいしそうに食べて、満足してくれたようです。
寒仕込みのみそは米麹づくりから
1月の中旬頃からは、米麹(こめこうじ)づくりとみそづくりです。寒くてなかなかやる気の出ない季節ではありますが、空気中の雑菌が少ない寒の時季の仕事です。
米麹づくりはまず、お米を一晩水に浸してから蒸します。蒸し上がったらほぐして適温になるまで冷まし、種麹(麹菌)をまんべんなく振りかけます。それをひとつにまとめて上から電気毛布などで覆い、後はひたすら温度管理。(父が夜中にも起きて温度計をチェックします)
途中で何度かほぐしたりしながら、40℃前後を保つように毛布をかけたり外したりして見守っていると、2日目くらいから甘い香りが漂いはじめ、そのうち麹自体がどんどん熱を発して温度が上がってきます。3日目になってようやくでき上がり。被せていた布をとると、ふわふわの米麹があらわれました。
板状になった米麹をほぐしてバラバラにするのですが、甘い香りに包まれながら湯気の上がる温かい麹をほろほろと崩していくのは、とても楽しい作業です。普通のお米がこんなふうに変化するなんて、、何度見ても不思議で、麹菌が確かに生きていることを実感します。でき上がった米麹は、そのまま食べてみてもかみ締めるごとに甘味が出て、優しい味がします。
大鍋で煮た大豆と米麹をあわせて半年寝かせる
米麹ができたら次はいよいよみそづくり。材料は畑でとれた大豆と、米麹と、塩だけ。一晩水に浸けた大豆を大鍋で煮ます。柔らかくなったら手回しのみそすり機で大豆をすり潰して、そこに米麹と塩を混ぜた「塩切り麹」を混ぜ込みます。
均等に混ざったら、空気を抜きながらボールのように丸めて大きな容器に投げ込んでいきます。このときも空気が入らないようにしっかりおさえながら詰めていって、最後、一番上にふたをするように昨年のみそを塗って完了です。昨年つくったみそは熟成されて香りもよく、濃い色をしています。つくりたてのまだ淡い色のみそがおいしく食べられるようになるのは半年後くらいから。水戸家の朝にみそ汁は欠かせません。どうか今回も、おいしいみそになりますように!
大寒は暦のとおり一段と寒くなり、年末に降った雪がやっとなくなった矢先にまた一面の雪景色となりました。雪が多いと大変な面もありますが、今年は井戸水や山の水が枯れる心配は少ないかもしれません。てんは散歩のたびにうれしそうに雪の中を駆け回っています。また溶けるまでしばらくの間は雪あそびが楽しめそうです。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して5年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。