都心から1時間「ほどよい田舎」東京・青梅市で「いいとこどり」移住が増加中

東京都の西端に位置する青梅市は、豊かな自然と歴史ある街並み、利便性をあわせもつまちです。青梅での暮らしについて青梅市の移住・定住プロモーションを担当する白鳥美樹子さんにうかがいました。

コロナ禍をきっかけに移住・定住プロモーションをスタート

散歩
東京都内だから移住のハードルが低い。青梅暮らしを楽しむ移住者が増加中

 新型コロナ禍によるテレワークの普及をきっかけに、広い住まいや豊かな自然環境を求めて移り住む人が増えています。そうした移住先として注目される自治体のひとつが東京都青梅市。東京北西部、埼玉県との県境に位置し、秩父多摩甲斐国立公園の玄関口でありながら新宿駅から電車で最短約60分、東京駅からは最短約75分。ちょうどよい距離感も候補になる理由のひとつです。

 そうしたなか、青梅市では2022年度より移住・定住プロモーションをスタート、近距離での移住を考える人たちへの取り組みを行っています。その背景には、東京都にありながら青梅市の人口は2005年をピークに減少している事情も。

「地域の担い手となる方々が少なくなり、かつて宿場町として栄えた青梅の『まちの活力』が少しずつ減少していました。東京都にある青梅市では、『地方移住』と比べてお手軽に自然に囲まれた生活を始められます。コロナ禍のピンチをチャンスに変えられるかもしれない。そう考えて取り組みを開始しました」(青梅市都市整備部住宅課住宅政策係・係長の白鳥美樹子さん)

 移住・定住のポータルサイトの開設をはじめ、動画コンテンツやデジタルアートコンテストなどSNSと連動した取り組みも実施。この1年で青梅市の魅力を知ることができる機会がぐんと増えています。

市街地、旧宿場町、里山の3つのエリアにそれぞれの魅力

渓谷
多摩川のせせらぎと四季折々の里山がすぐそこに。「ほどよい田舎暮らし」が楽しめる

 都内39市町村の中でも5番目に広い面積を有する青梅市は、市街地、旧宿場町、里山の3つのエリアからなります。多くの人がまず思い浮かべるのが自然に囲まれた里山エリア。日本名水百選に選定される御岳渓谷や人気登山スポットの御岳山(みたけさん)など都心から約1時間とは思えない豊かな自然が広がります。全国で唯一市の名前に梅の字がつくことからわかるように梅の名所としても有名。なかでも「梅の公園」は、早春になると可憐な梅の花を眺めに多くの人が訪れます。

 JR東青梅駅、河辺駅を中心とする市街地エリアは行政や医療サービス、買い物などの機能が充実。江戸時代に青梅街道の宿場町として栄えたJR青梅駅周辺では街道沿いに空き店舗を活用したカフェや家具工房、アトリエが立ち並び、アートやマルシェイベントなども開催されます。

中心地
東青梅駅エリアの市街地の光景。ゆったりとした街並みと広い空でのびやかな気持ちに

「伝統あるイベントや宿場町から積み重なってきた歴史があり、加えて地元の野菜もおいしい。自然が近いので散歩をしても季節ごとの魅力が感じられてリラックスできます。そして、青梅には元気で地元が大好きな方が各地にいて、地域を盛り上げてくれています。そんな青梅の『ひと・もの・こと』をあますところなく知ってもらいたい。自分が理想とするライフスタイルを青梅でかなえてもらいたいという思いで事業を進めています」

青梅の魅力を形づくる「ひと・こと・もの」とは?

子どもたち
子育て関連施設の充実度などが評価され、「共働き子育てしやすい街ランキング2022」で青梅市は3年連続全国20位以内にランキング

 青梅の魅力を形づくる「ひと・こと・もの」。そのなかでも、白鳥さんが事業を通してさまざまな人と触れ合い気づいた青梅市の最大の魅力は、そこに暮らす「ひと」だそう。

「青梅には個性的で魅力的な人たちがたくさん。地元で働く人や市外に通勤する人、職業もさまざまで、それぞれが自分らしく思い思いの暮らしを送っています。地域との関わり方も人それぞれですが、だからこそ自由に楽しみ、ゆるやかなつながりがまちに活力をもたらしてくれています」

 移住者や移住希望者の多くが評価する青梅は「ほどよい田舎」。自然と市街地の距離感が絶妙で、子どもの高校進学でも自宅から通える距離で選択肢があり、都心勤めの仕事を変えずに移住することも可能。ワークライフバランスのいい、「いいとこどり」のライフスタイルも実現できます。

 そうした青梅の魅力にいち早く気づき、移住した人たちはたくさん。子育てに最適な環境を求めて移住した一家や、リノベーションした古民家でテレワークをするカップル、青梅の自然の中で制作活動に没頭するアーティストなど自分らしい暮らしを満喫する先輩移住者へのインタビューは移住・定住ポータルで読むことができます。

川遊び
豊かな自然は子どもたちのコミュニケーションの場に

 白鳥さんが市民と触れ合うなかで、生まれも育ちも青梅市の人から「青梅はいい意味で変わってきているね」という声を聞くことが増えているそう。懐の深い青梅の土地柄が感じられると同時に、移り住んできた人たちが新しい風をもたらし、相乗効果で青梅の魅力が高まっていることがわかります。

「青梅市は色とりどりの『ひと、もの、こと』にあふれ、長く住む方も新しく移り住んできた方も思い思いのライフスタイルを送ることができる場所です。移住を希望する方に対するサポートもこれからもっと充実させていきます。『青梅っていいかも』と思われた方は、ぜひ一度青梅に遊びにいらしてください」

<文>土倉朋子