築80年の古民家が劇的リノベで、シェアハウスに生まれ変わった

[週末古民家暮らし始めました!]

 IT系企業でバリバリ働く夫婦が、ひょんなことから2拠点生活を始めました。都会と農村の2拠点とはいえ、同じ千葉県内、クルマで1時間半の近距離。田舎の家は古民家のシェアハウスです。仕事と子育てで慌ただしい日々を送る松宮恵さんが、週末田舎暮らしの魅力をつづります。

冬の古民家はめちゃくちゃ寒いです!

ストーブとシチュー
ストーブの上でシチューを温めています

 千葉の里山にも冬がやってきました。

 古民家で過ごす初めての冬は…めちゃくちゃ寒いです!! 家の中で吐く息が白い!!
「昔の日本家屋は寒い」と話に聞いていたものの、ここまでとは…。平日マンション暮らしでなまっている私には、なかなかハードです…ブルブル。。

 しかし、新たな愉しみも始まりました。それは薪ストーブ。田舎暮らしで火起こし系スキルが爆上がり中の夫が、手際よく薪に火をつけてくれます。パチパチと薪が燃え、オレンジ色の炎がゆらめく様子はロマンチック…というより、切実に暖かい!! じんわりと身体が温まり、生きていることを実感できます。
 古民家のこうしたある種の不便さは、かつて人の暮らしは自然と一体だったことを感じさせてくれますね。寒いけど。

ストーブと子ども
娘も薪ストーブに興味津々。火が起こせるようになる日も近い!?

空き家だった古民家を、地域おこし協力隊が1年かけてリノベーション

古民家外観
左側の古民家が住居。右側の建物は農具などを入れていた納屋

 さて、前回はどうやってこの暮らしにたどり着いたかをお話しました。今回はこの古民家シェアハウス自体をご紹介しようと思います。
 古民家シェアハウスがあるのは、千葉県南東部のいすみ市。周囲は田んぼが広がり、まさに日本の原風景といったエリアにあります。古民家は構造としては「木造かわらぶきの平屋建」というものらしく、築年数は約80年!

 敷地内には、古民家のほかに納屋、竹林が生い茂る裏山、畑、梅の木などの果樹がそろっており、この敷地が全部で約1700坪という広さ!千坪って桁がすごいですよね。古民家の間取りはいわゆる4LDKになるのでしょうか。玄関が2つ、居間も2つあり、台所にお風呂、トイレのほか、個室が合計4部屋。シェアハウスなので、居間や台所などはほかの住人の方と共有。個室は各入居者専用スペースになっていて、全体で最大4世帯まで入居できるようになっています。

 さあ、では古民家の中に入ってみましょう。玄関を開けると広々とした土間玄関が広がります。子供たちはこの土間玄関が大好き、段差をいつも遊び場にしています。

土間

 玄関からあがると広い居間が広がっています。

台所正面

 居間の奥には更にひろーーい台所が。現在シェアハウスには、うちを含めて全3世帯が住んでいるので、それぞれのキッチン用品や冷蔵庫が並んでいます。
 キッチンエリアは、元はこんな状態でした。

台所ビフォー

 アフターはこちら!キッチンや居間はすべて木材で床張りされています。

台所アフター

 そしてお風呂! 元々は昔懐かしいこんなお風呂でした。解体され、今は最新の設備を設置されています。
 ビフォアーがこちら。

風呂ビフォー

 アフターがこちら!

風呂アフター

 これは劇的アフターですよね! 水回りの美しさ、清潔感ってやっぱり気になります。

 さてさて、このシェア古民家。もともと10年ほど空き家になっていたところを、いすみ市の地域おこし協力隊のメンバーが空き家再生プロジェクトとして自分たちの手で改装したというとても珍しい物件です。
 当時、地域おこし協力隊としてこのプロジェクトをリードし、現在はこの古民家シェアハウスを運営する夢の里山株式会社の湯川伸也さんに当時のお話をお聞きしました。
「プロジェクトが始まったのは2016年。空き家を自分たちの足で探し始めるとこからスタートしました。空き家となっているお宅を見つけ、オーナーさんに手紙を送るということを繰り返していました。」

 なんと、この交渉に足がけ1年ほどかかったとか…。空き家はあるけれど、そのままになっているのはこうした部分にも理由がありそうです。そして、オーナーとの交渉を終え、市からも助成を得る形で始まった建物のリノベーションは2017年からスタートしました。

台所作業中

 見た目は普通の天井だったけど、解体すると立派な梁が現れて驚いたり、天井の釘打ちに苦労したり、さまざまなサプライズや大変さはあったものの楽しい現場だったようです。
「この家屋のリノベーションには市内外、合計100名以上が関わっています。ワークショップ形式で壁を塗ったり、床や天井を貼るイベントも沢山の人が参加してくれました。この地方へ興味があったり、移住したいという人のハブになるような場所を作りたい、という思いで運営しています。」と湯川さんは語ります。

 そして、古民家は2018年についに完成!里山のシェアハウスとしてオープンし、私たちが入居させてもらうに至りました。我が家にとってはこの古民家が、この地域の入り口です。昔ながらの暮らしと、現在の快適な生活が程よくミックスされているこの古民家は、たくさんの方の力で完成したのだと思うと、こうやって私たちが今住まわせてもらっていることをとてもありがたく感じます。

 しかし、この古民家リノベーションプロジェクトはまだ終わっていなかった!
そう敷地はまだまだ広いのです…。この続きはまた次回!

[週末古民家暮らし始めました!]

松宮恵さん
30代のワーキングマザー。エンジニアの夫、3歳、1歳の子どもと千葉県浦安市で暮らす。近所で家庭菜園を探しているうちに、ひょうんなことから県内のいすみ市の古民家をシェアすることに。2019年4月から2拠点暮らしを開始