広島県安芸高田(あきたかた)市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して5年目、愛犬てんちゃんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は里山の春の過ごし方についてです。
里山が芽吹くと人間も忙しくなる
3月に入ると里山はすっかり春の空気になって、てんの散歩中にもオオイヌノフグリが咲いているのを見かけるようになりました。
そこからはもう次々に、目まぐるしい変化がおこります。冬の間シンと静まり返っていたのがうそのようにあらゆるものが芽吹いて、目覚めています。菜の花、スミレ、ミツマタ、レンゲ、スイセンなどなど…。さらに植物だけでなくヘビやカエルも、アリやハチなどの虫たちも、急に姿を現し始めます。キジやウグイス、シジュウカラの鳴き声も! 毎年のことではありますが、新たな春を見つけるたびに本当にわくわくします。
こうなっては人間もじっとはしていられません。
家の中で布団にくるまっていたい私でも、自然と外に出たくなるので不思議です。水戸家では、父は薪づくり、木工、山仕事やキノコのお世話。母は自然農の畑や保存食。おばあちゃんは自分の畑が家の周りに3か所あります。私は庭の花のお世話など。みんななんとなく担当があって、思い思いに好きなことをして過ごします。
冬の間、退屈そうだったおばあちゃんは生き生きと畑仕事をはじめました。小さな手(ツル)が出てきたエンドウ豆に支柱を立てたり、ジャガイモを植えたりと、これからは仕事がたくさんあるのでやる気に満ちています。
自生するフキノトウやワサビは春の味覚
てんはというと、ドッグランとして使っている畑で毎日穴掘りにはげんでいます。雪の上では汚れることのなかった手脚や鼻は散歩のたびに真っ黒。急に暖かくなったので走り回ると暑いようで、川に浸かって休憩しながらお散歩を楽しんでいます。
フキノトウも続々と出てきました。フキノトウはぱっと明るい黄緑色で、遠くから見ても顔を出しているのがよくわかります。家のそばを流れる小さな川では川岸にワサビも自生していて、この時季はきれいな葉が出て白い小さな花が咲きます。フキノトウは自家製のみそでフキみそに。ワサビの葉と花はツーンと辛いしょうゆ漬けに。どちらもご飯によく合う春の味覚です。
シイタケの植菌をして、桜の開花を待つ
この時季にはシイタケの植菌も行います。父が原木にドリルでたくさん穴を開けて、母や姉、私はその穴に種駒(シイタケ菌)を埋め込んでいきます。金槌でしっかり打ち込むので、山のなかにコンコンといい音が響きます。同じように去年や一昨年に植菌をした原木からはちょうど今、シイタケがたくさん生えてきています。
3月も終わりが近づいてきました。梅は散って、まわりの桜は一気に咲き始めています。水戸家の、家の近くにある桜の木は山桜なので咲く時期が少し遅いのが特徴。いつも見上げては開花を楽しみに待っているところです。つぼみがだんだん膨らんできて今年もきれいに咲いてくれそうです。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して5年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。