広島県安芸高田（あきたかた）市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して6年目、愛犬てんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は、水戸家にやってきたニワトリについてと、里山の夏の過ごし方についてです。
夏本番、夏野菜をたくさん収穫しています
7月に入った途端、ちゃんとわかっていたかのように周りではヒグラシが鳴きはじめました。夕方と朝方にもの悲しいようなきれいな鳴き声が響いて、夏がきたのを実感します。
畑ではいつの間にかキュウリやトマト、ピーマン、ナスビ、トウモロコシなどの夏野菜が次々と実っています。畑の主であるおばあちゃんは入院していて不在ですが、母のお世話で野菜たちは順調に育っているようです。
父手製の鶏小屋が完成。ニワトリを迎えました
そんななか、水戸家では大きな変化がありました。父がつくっていた鶏小屋が完成して、ついにニワトリたちが仲間入りしたのです。卵から孵化させるのも憧れでしたが、ニワトリを飼うのは初めてということもあって今回は卵を産みはじめたばかりのメス5羽と、オス1羽を迎え入れました。
ニワトリがやって来た次の日の朝、日の出前の4時すぎ頃から「コケコッコー」という鳴き声が！ 見に行くとオスのガルス君が止まり木の上でかっこよく鳴いていました。
初めはみんな近寄ると逃げていましたが、2週間たった今では小屋に近づくと走って出てきて、手からもご飯を食べてくれるようになりました。ご飯は古米や米ぬかなどでつくった発酵飼料と野菜くずなど。ニワトリたちがおいしく食べてくれるので、畑で虫食いの野菜を見つけてもうれしく思えるようになりました。
昔からいつか飼いたいとは思っていましたが、慣れてきたニワトリたちがこんなにもかわいいとは！
ただ、かわいいほどに心配も増します。イタチやハクビシン、キツネ、クマなど周りには天敵になる生き物がたくさん。父が小屋をつくる際、穴を掘って侵入されないように地面にもトタンなどを埋めて対策していますが野生の動物たちも生きるために必死です。
最近もツバメの巣が何者かに落とされたり、さらにその後生まれたヒナたちまでヘビに食べられてしまって、家族みんな悲しい思いをしたばかりです。家の石垣には茶色と黒のシマヘビがいて、たまに顔をのぞかせる姿は結構かわいいのですが…今年のツバメの巣立ちが見られなかったのはとても残念でした。
自然の中で生き物に囲まれて暮らすのはおもしろくもありますが、困ることも多くあります。田舎で暮らす以上、上手につきあっていかなければいけません。新しく家族が増えると心配ごとも増えますが、毎朝、元気なコケコッコー！の声で目が覚める楽しい日々になりました。
梅干し用のシソを準備。にぎやかな里山の夏
7月も終わりごろ、赤シソが大きくなったので梅干し用のもみシソをつくりました。
赤シソと青シソは毎年植えなくても、こぼれ種で畑や庭のあちこちにたくさん生えてきます。とくに赤シソは、赤紫と緑が混ざったような不思議な色合いと光沢でとてもきれい。
葉っぱをつみとって洗い、乾かしてから塩でしっかりもむと、濃い青紫色の汁が出てきます。そのアクをギュッと絞って捨ててから、もう一度塩もみをして汁を出し、絞ります。そこに先月漬けた梅から出た白梅酢を加えると、青紫からパッときれいな赤色に変化します。青く染まっていた両手まで一気に赤色になって、不思議な実験のようです。赤くなったシソは、漬けた梅の上にフタをするようにのせておきます。これで白梅干しは赤い梅干しになってくれるはず。あとは土用干しを待つばかりです。
梅雨が明けてからは、ギラギラした強い日差しが照りつけて一気に夏本番となりました。
情緒のあったヒグラシの声も、今ではうるさく感じるくらいの大音量。朝、夕はヒグラシで、昼間はほかのセミたち。夜にはカエル。里山の夏は、暑いなかでもみんな元気でにぎやかです。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して6年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。
