30歳を目前に「海沿いに住みたい!」「一軒家でのんびり暮らしたい!」と考え、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住した女性が、日々の暮らしや岡山県の魅力をご紹介。今回は、移住して借りた古民家についてレポート。
移住して半年、突然訪れた古民家との出会い
岡山県の西南部に位置し隣は広島県という笠岡市。2022年9月、地域おこし協力隊着任を期に、大阪から縁もゆかりもないこの地へ移住しました。
初めは、笠岡市の土地勘がまったくなかったため、市街地にあり笠岡駅へのアクセスもいい賃貸マンションに住みました。しかし、大阪時代にヴィンテージショップで働いていて古い歴史のある建造物が好きなことや、せっかく移住したなら広い一軒家に住みたい、という思いもあり、いつかは理想の古民家に!と考えていました。
移住して半年近く経った2023年4月中旬、知り合いの方(現在住むの古民家のある地域の方)に「いい古民家があったらいつでも引っ越したい」とお話したところ、「6月から空き家になる家があるみたいだよ」という情報をゲット。なんでも、賃貸で住んでいるご夫婦が新居を建て娘さんと一緒に住むため、5月いっぱいで退去されるとのこと。そこで早速、4月末に内見をさせていただくことに。
古民家に足を踏み入れた瞬間に一目惚れ! 広い庭と畑、南向きの長い縁側があり、大きな梁をふんだんに使用した築100年の重厚感を感じる空間。まさに思い描いていた理想の古民家。
「住みたい!」と思ったのと同時に、「このすてきな古民家が空き家になるのはもったいない! 有効活用せねば!」といった謎の使命感も感じたのです。
立地的には駅から車で15分ほど、コンビニもスーパーも徒歩圏内にはなく、当時住んでいた賃貸マンションよりは不便になるものの、それ以上に魅力にあふれている物件。また、私が入居する直前までご夫婦が賃貸で借りられていたので、水回りの改修などもすまされており、大きな工事や修繕などはする必要はない、という安心感もあり。
以前、笠岡市の「空き家バンク」などのサイトで古民家を検索しましたが、古い物件は工事費用などがかかることも多かったので、すぐにでも住めるような状態だったのもうれしい点でした。
笠岡には「空き家はあふれるほどある!」とおっしゃる方が多くいます。しかし、賃貸や売買に出されている物件は少ないようです。地元の方に直接聞き、繋げていただくルートがいい古民家に出会えるポイントなのかもしれません。
「引っ越したい」と言葉にしてから実際に入居が決定するまでわずか1週間でしたが、不安などは一切なし。ご夫婦が退去されるのと同じタイミングで入居。5月から古民家生活がスタートしました。
理想の部屋を追い求めインテリアを楽しむ
運命的に出会った古民家、その魅力の1つは広い間取りです。わが家は和室が5部屋あり、ひとり暮らしには十分すぎる部屋の多さ。広さゆえに掃除が追いつかず、気づけばいつの間にか蜘蛛の巣が張っていたり…といった大変さもあります。
ですが、インテリア好きの私にとって、広い部屋は趣味のコレクションを存分に飾ることができるうれしいポイント! 最近知り合いからいただいた、アメリカンサイズのソファセットも楽々置くことができました。
部屋に加えて、広い土間があることが古民家のよさでもあります。玄関から奥の部屋(わが家では台所)に向かって風通しがよく、夏場でも涼しく過ごすことができる土間は、私の日々の作業スペース。真夏の猛暑日でも、扇風機1つで快適、ソファに座ってパソコン作業をしたりしています。
快適な暮らしを目指してDIYに挑戦
DIYは古民家を借りた人あるあるかもしれません。この家では、もともと古民家に置いてあった食器棚やテレビボードなどのペンキ塗りをしたり、キッチンの作業台を製作したり、障子の張り替えなどを行いました。
それまでは、職場の壁や什器にペンキを塗ったり程度のもので特別なDIY経験はなく…。そこで、同じく笠岡市で古民家を改修して住んでいる友人にDIYのノウハウを教えてもらったり、電動ノコギリなどの工具も貸してもらったり。また、ホームセンターで木材を購入し、追加料金で好きな大きさに切ってくれるカッティングサービスを利用したりもしました。
DIYなどを行う際も土間で行います。広さがあるので作業がしやすいのに加え、コンクリートでできている床面は掃除が簡単。ペンキを落としてしまったり、汚してしまっても水で洗い流せるので心置きなく作業ができます。
築100年なので、多少のゆがみや床の凹みがあったり、隙間風、水回りの汚さなどは否めません。深夜になると2階からネズミが駆けずり回る音が聞こえたり、引っ越し初日はダニに刺されまくり体中が真っ赤になりました…。
そして最近、ついにネズミが出現…(今までは足音だけでした)。とれたてのキュウリと愛でていた観葉植物をガブリとやられていました。翌日、ホームセンターにダッシュし、ネズミ駆逐の三種の神器を購入したのは、言うまでもありません。
そんな古民家ならではの洗礼を受けながらも、「ここもきれいにしたい」「あそこも修繕したい」と手につかない箇所はまだまだたくさん。完成にいつ近づくのか果てが見えない疲労もありますが、徐々に部屋がきれいになっていく過程も楽しみのひとつになっています。
<取材・文> mamiko
mamiko
栃木県茂木町出身。大学時代は京都で暮らした後、大阪の老舗ヴィンテージショップにて販売員に。30歳を目前に、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住。ブログやSNS等で笠岡市の情報発信をしたり、地域交流イベントを開いたりなど、さまざまな活動を行っている。