ご近所さんと土間で飲み会。幸せを感じる笠岡市の古民家暮らし

30歳を目前に「海沿いに住みたい!」「一軒家でのんびり暮らしたい!」と考え、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住した女性が日々の暮らしや岡山県の魅力をご紹介。今回は、野菜づくりやご近所づき合いをレポート。

畑仕事で新鮮な朝どれ野菜を味わう幸せ

収穫

 古民家に住みはじめた際に、大家さんから「家以外に、こことあそこの土地も使っていいよ」と言われ、畑仕事がスタートしました。

 地域おこし協力隊の活動の一環として行った農家さんのお手伝いなどをとおして、畑作業に興味をもち、ついに念願のMy畑をゲット! とはいえ使用するのは今まで手つかずだった荒れ果てた農地。近所の方に手伝ってもらいながら、まずはひたすら草刈り。刈った草は集めて野焼きにし、すべて焼却し終わってから、知り合いの農家さんに借りた耕運機で畑を耕していきます。

 何年も使用されていなかった土地なので、土がかなり固まっている状態。耕運機を1周かけただけでは耕しきれず。トータル3時間、4周ほど機械をかけてようやく畑のベースとなる土ができたのです。

畝づくり

 次はくわを使用して土を山型に盛り、うねをつくります。普段パソコン作業が多く、腕の筋肉を使う機会が少ないため、この作業が地味に大変。1つのうねが完成した時点で腕全体がパンパンに…。休憩をはさみながらようやく5つのうねが完成。やはり、農業は甘くないですね。

 その後、マルチ(黒いビニール)の張り方などを教えていただき、オクラ、ゴーヤ、シシトウなどの夏野菜を5月に植えました。

 そして、2か月後の7月。これでもか! という量の野菜を毎日収穫することに。畑デビューの私は、1苗からどれほどの実が成るのか収穫量がわからず、欲ばって畑いっぱいに育てた結果、1人暮らしでは消費しきれないほどの量になったのです。

 また、夏になると野菜以上にぐんぐん育つのが雑草。さんさんと照りつける太陽の元、エンドレスに感じる草刈りはかなり苦痛です…。

新鮮野菜

 しかし、とれたての野菜のおいしさたるや。青臭さや甘味が、スーパーで買う野菜とは格段に異なります。朝とった野菜を調理して、土間や縁側でランチをするのが至福の時です。

パスタ

 食べきれない野菜は近所の方におすそ分けしたり、逆にもらったり。畑をとおしてさまざまな方との出会いが広がり、交流が深まっています。

日が暮れると地域交流の場に変身する土間

土間で飲み会

 私は普段、地域の方との交流イベントとしてお酒を提供する場を定期的に設けています。普段は笠岡駅近くにあるレンタルスペースを利用し、SNSなどを通して集客しているのですが、そこで親しくなった地元の方や自宅近所の方々などを呼び、古民家でも小さな交流会を開いています。

トウモロコシ

 農家さんがとれたて野菜を持ってきてくれたり、持ち寄りでおつまみをつくってきてくれたり、私はビールサーバーで生ビールを振る舞ったり。多いときは8人ほど人が集まることがあるのですが、そんな日は広く涼しい土間が大活躍。

 また、ご近所との家の距離もほどよく離れているので、深夜(私の住む地区では19時ごろになるとみなさん就寝されるので周りは真っ暗)の時間でも声のボリュームを気にせず過ごせるのです。

 古民家があるのは笠岡駅から距離があり、周囲に飲み屋さんなどの飲食店もほとんどない地域。地元の方々とお酒を交わし交流できる空間をつくることで、地域の問題や課題を地元の方々から聞くことができます。

 また、どうしたらより地域を盛り上げることができるか、などの前向きな話で交流を深めることで、一体感も生まれているような気がします。実際に、わが家での交流会に参加したメンバーを中心に、7月に「もろこしフェスタ」という地域の方々に向けたイベントを地元で開催したり。

「若い人が地域を盛り上げてくれてうれしい」というお声をいただくことも多く、これは地域おこし協力隊の活動のはげみにもなっています。

花火

 熱い話やたわいもない話で楽しい時間を過ごし、ほろ酔いになった後は、星空を眺めながら花火をすることも。人工的な音のない、自然の音だけのゆったりと流れる時間のなかで、大好きな人たちと過ごす時間はとても幸せです。

 笠岡市は海や山、島もあり、海の幸、山の幸など食べ物もおいしい。四季ならではの味わい方を見つけたり、まだ見ぬ楽しみ方を見つけていく予定です。

<取材・文> mamiko

mamiko
栃木県茂木町出身。大学時代は京都で暮らした後、大阪の老舗ヴィンテージショップにて販売員に。30歳を目前に、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住。ブログやSNS等で笠岡市の情報発信をしたり、地域交流イベントを開いたりなど、さまざまな活動を行っている。