住民12人の島から東京へ。離島の交流イベントに参加しました

大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民12人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、先日池袋で開催された全国の島々が集まるイベント「アイランダー2023」の参加レポートです。

全国150以上の離島が参加した「アイランダー2023」

アイランダー2023
甑島(こしきしま)の山下さん、スタッフ渓太くんと

 日本全国には6000以上の島があり、そのうち416の島に人が住んでいます。大きな島では、佐渡島や屋久島、奄美大島、小豆島など数万人が暮らしている島もある一方で、住民一桁の離島もあり、大小も歴史もなりたちもさまざま。私たちが暮らす深島は、大分県の最南端に位置する島民12人の小さな島で、学術的な位置づけでは「極小離島」に分類されます。

 そんなさまざまな離島が一斉に集まる「アイランダー」というイベントが毎年東京で開かれています。2023年の11月18日19日に東京・池袋サンシャインシティにて開催されたアイランダーに息子と私、国土交通省の地方交流体験プログラム(※)がきっかけで深島にスタッフとしてきてくれていた渓太くんの3人で参加してきました。

(※地方交流体験プログラムは、国交省が行っている大都市圏の若者に地方でのインターンシップへ参加してもらうもの。市町村が用意している体験プログラムをとおして、若者に地方の魅力を知ってもらうことを目的とする)

アイランダー2023

「アイランダーとは日本全国150を超える離島が参加する、『島と都市』、『島と島』をつなぐ交流イベントです。今年で31回目を迎え、島の魅力を体験できる年に一度の「島の祭典」として親しまれています。島の人・文化・食といった、島の魅力を感じられるイベントです。」(一部アイランダーサイトより引用)
 毎年11月の土日に開催されており、台風の心配が少なく気候も安定しやすい、島に寄り添う季節での開催なのかなあと勝手に思っています。

 コロナ禍前までは、佐伯市の職員さんや大分県離島振興協議会のみなさんがメインとなり、それぞれの島の特産品を持っていき販売してくれていました。昨年はオンラインで初めて深島として参加し、島からライブ配信。今年参加することは昨年のアイランダーのときから決めていて、おとなり「屋形島」の後藤さんと一緒に行こうね!!と話していたのでした。これまでと違い、大分県のそれぞれの離島での参加となり、より責任ある出展に。準備はとても大変でしたが、その準備も楽しみのうち。どこの島が来るんだろう、どんな人に出会えるんだろう、おみそのお客さんに会えるかなあとわくわくしながら過ごしました。

茨城県笠間市で深島みそのイベントを開催

東京出張スケジュール
東京出張スケジュール

 今回は深島を11月17日に出て、20日に深島に戻ってくるスケジュールでした。
 本当は家族5人で行きたかったのですが、島の仕事もあるため夫と上の子2人は島でお留守番。わたしといちばん下の息子、スタッフの渓太くんだけで行ってきました。息子は初めての飛行機。初めての電車。島暮らしだと船に乗ることは多くても、バスや電車に乗ることはほとんどありませんし、たくさんの人が行き交う場所も滅多に訪れることはなく、新鮮さでいっぱいでした。

 出発の日は朝のスクール便に乗って島を出て、二女をこども園へ送り、それから大分空港を目指しました。飛行機でおよそ1時間半。羽田空港からは電車を乗り継ぎ茨城県へ。

 じつはこの日、茨城県の笠間市にあるまぜそばやさんで「深島みそオフ会」を開催しました。会場は、まぜそばやラーメンなどに深島みそを使ってくださっている「麺飯熊猫」さん。いつもSNSでみる深島みそのまぜそばがおいしそうで(通販でも購入できます)マスターのお人柄がとても優しくて、いつか行くぞ!と意気込んでいました。お店の常連さんも深島みそを購入してくださったり、SNSで交流したりと、会ったことはないけれど深島を支えてくれる大切な方々です。せっかく関東に行くのだから、会いたい人に会いたい、と思いマスターのご協力を得て開催がかない、たくさんの深島みそファンの方にお会いすることができました。

 島に来たことがなくても、会ったことがなくても、島を、私たちを、深島みそを思ってくださる方がいることをとても心強く感じました。

イベントでは島の特産品販売や移住相談も

深島のブース

 翌日からの2日間はアイランダー。スマホの地図を頼りに池袋サンシャインシティへ。息子の大好きな重機や消防車を見学しながら歩きました。
 アイランダーの会場にはたくさんのブースが並び、北は北海道、南は沖縄の島々のみなさんがすでにたくさん来ていて、イベント開始前にもかかわらずとてもにぎわっていました。

深島のブースの様子
深島のブースの様子

 ブースは島ごとに分けられ、特産品の販売や移住相談、求人、ワークショップ、観光案内など島ごとに内容はさまざまです。私たちはお隣の屋形島と一緒に出展し、「研修プログラム」の案内とそれぞれの島のポストカードやカレンダーの販売を行いました。
 大きな島から小さな島まで、本当にいろんな島があって、それぞれの島の特徴ある特産品や地域資源があって、歴史があって、暮らしている人がいる、ということをあらためて実感。ちなみに、おそらく参加した島で一番小さい島が屋形島、深島だったと思います。

お隣の屋形島と一緒に出展
お隣の屋形島と

 たくさんの島の方とお話ができて、深島みそを愛用してくださっている方や島に遊びに来てくださったことのある方と久しぶりの再会もできて、勉強にもなり本当に楽しい2日間でした。

 行ってみたい島もたくさんありました。こんなこともやれるなぁ、これもつくれそうだなぁ、と思うこともしばしば。東北の方々には震災のお話も聞けて、災害時の見直しもやらねばなぁと思いました。

 島あるあるで笑い合ったり、悩んでいることが一緒だったり、問題の解決策を教えてもらったり、距離は遠くてもこうして年に一度顔を合わせて情報共有をすることができるって、ありがたいなぁと思いました。来年は家族みんなで参加できたらいいなぁと思っています。ぜひみなさん、遊びに来てください。

深島の夜空
深島の夜空

 余談になりますが、アイランダーの帰り道、移動や慣れない土地に疲れ果て、ビルや電車や看板の情報に目を奪われながら歩いていたとき、スタッフ渓太くんの「あ、あれ木星だ」という言葉にとてもホッとしました。きっと、深島でいつもみている空が見えたからだと思います。よくわからないけれど、あぁ一緒だ、と思いました。そして、やっぱり家族や島の人と、海と空と自然に囲まれた深島が大好きだなぁ、ずっと深島で暮らしたいなぁとあらためて思いました。

 離島に遊びに行く機会があったら、ぜひその土地の人とお話をして、海や空を眺めて、歴史や島の人の思いに触れてみてください。

<写真・文/あべあづみ>

【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。