30歳を目前に「海沿いに住みたい!」「一軒家でのんびり暮らしたい!」と考え、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住した女性が日々の暮らしや岡山県の魅力をご紹介。今回は、サツマイモ掘りとクリスマスについてレポート。
警官に不審がられながらサツマイモを収穫
古民家に住み始めた5月に、家の隣の畑に植えたサツマイモ。半年間でぐんぐん育ち、10月中旬に収穫の時を迎えました!
サツマイモ掘りをするのは小学校以来。知り合いの農家さんに掘り方を教えてもらい、イモが傷つかないように注意しながら、スコップを使って掘り起こしていきます。収穫したイモは、丸い形だったり、極端に大きすぎるものもたくさん。農家さんいわく、栄養がうまく回らなかったりすると、このような形になるのだそう。ですが、初めてにしては上出来だとほめてもらえました。
11月初旬には、大阪から友人がサツマイモ掘り体験をしに駆けつけてくれました。というのも「みんなでにぎやか農業体験をしたい!」と思い立ち、現在住んでいる古民家の大家さんの土地をお借りし、この日のためにもう1つ畑をつくっていたのです。
長く耕作放棄地だったこの土地は土が固く、さつまいもを掘り起こすのにかなり力が必要でした。30代の女子5人で畑作業をする姿が珍しかったのか、野荒らしと勘違いされ警察に声をかけられるハプニングもありつつ、100本ほど苗を植えたこの畑も1時間ほどで収穫完了!
洋服が土まみれになったり、ミミズなどを発見しキャーキャー言ったり、いびつな形のサツマイモを見つけて笑い合ったり。都心ではなかなか体験することのできない畑作業を、皆楽しんでくれました。
取れたてのイモを焼きイモにして楽しむ
重量感たっぷりの掘りたてのサツマイモを自宅に持ち帰り、自宅の土間へ。土まみれの格好でも気にせず入れ、掃除も簡単なのが土間のいいところだとつくづく感じます!
近所の農家さんに借りたコンロと焼き石をセッティング。40分ほど火にかけていると、土間に焼きイモの甘い香りが充満してきました。ふたを開けると、ホックホクの焼きイモの完成!
蜜がジュワーっと流れる甘い焼きイモ! 取れたてでも十分おいしかったのですが、3か月ほど寝かせるとさらに糖度が増して甘くなるのだそう。寒空の下、収穫して冷え切った体が一気に暖かくなり、自分で栽培し友人たちと楽しく収穫したことでさらにおいしく感じました。
友人たちには、カバンがはち切れるほどのサツマイモを持ち帰ってもらいました。残りは土間に置いていたのですが、ここで古民家には避けては通れない「ネズミ問題」。朝見るとネズミがかじった後がたくさん。ネズミ捕りを置いたりイモの保管場所を変えたりなど、現在も試行錯誤中です。
広い土間でクリスマスインテリアを満喫
サツマイモを置いていた土間ですが、12月はクリスマス仕様にインテリアを変え楽しみました。
夏場はクーラーいらずで涼しく快適だった古民家。「冬の古民家は隙間風があって寒いよ」と地元の方から聞いており、覚悟はしていたのですが、これが想像以上の寒さ! 部屋の中より外の方が暖かく感じるほどです。
これは1日中こたつから動けないなと思っていたのですが、驚いたのが「じつはわが家は土間がいちばん暖かい」ということ。
部屋の中でももっとも南に位置し、窓も大きいため、陽の光が差し込みいちばん暖かい。ですので、インテリアとして置いたソファーとテーブルを使って日中ここで仕事をしたり、ご飯を食べたりと、大活躍の空間になりました。
仕事をしながらツリーを眺めるのが癒しの時間。「古民家に住んだら大きなクリスマスツリーを飾る」のが夢だったので、思いきって180cmのツリーを新調。大きすぎたかな?と初めは思いましたが、古民家は天上が高く、ぴったりのサイズでした。
移住する前に働いていた、大阪のヴィンテージショップで購入した1950年代の壁かけや、笠岡市で11月に行われた「農と暮らしの市」という農家さんのイベントで購入した松ぼっくりもツリーとの相性抜群! 夜にはライトを点滅させ、自分だけの特別な空間を満喫していました。
笠岡産の野菜や魚で、ご近所さんたちとパーティー
普段は笠岡駅前で地域の方との交流イベントを開催しているのですが、そこで親しくなった方々と、定期的にわが家でご飯会を開いています。
この日は、参加者のお誕生日と結婚祝いを兼ねた豪華なパーティーを開きました。笠岡市地域おこし協力隊に所属しているシェフの方をお呼びし、お鍋から揚げ物、サラダやデザートまで、10品目ものコースをつくってもらいました。
近所の農家さんが育てた野菜や笠岡産親鳥。この日の目玉は、シェフが数日前に笠岡の海で釣ったタイを使った「魚ロッケ(ぎょろっけ)」! ふわふわの身と衣のサクッとした食感がとてもおいしかったです。海の幸も、山の幸も楽しめるのが笠岡のいいところだなあとあらためて感じました。
古民家に住み始めて早くも半年。隙間風をふさぐために隙間テープを貼ったり、断熱シートを大量に窓という窓に貼ったり、広い部屋を温めるためストーブを2つ新調したりなど、お金も時間もかかることも多いです。
しかし、入居と同時に始めた畑作業を遠くの友人と共有できたり、季節ならではのインテリアを楽しめたり、一軒家だからこそ盛大なパーティーを開けたり。
新たな経験を得ることができる古民家暮らし。手間がかかるからこそ愛おしい、この古民家を育てていくのがこれからも楽しみです。
<取材・文> mamiko
mamiko
栃木県茂木町出身。大学時代は京都で暮らした後、大阪の老舗ヴィンテージショップにて販売員に。30歳を目前に、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住。ブログやSNS等で笠岡市の情報発信をしたり、地域交流イベントを開いたりなど、さまざまな活動を行っている。