広島県安芸高田(あきたかた)市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家に移住して6年目、愛犬てんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は、安芸高田市で迎えるお正月と1年でいちばん寒い時季の過ごし方についてです。
「とんど」で1年の無病息災を願う
年が明けると、水戸家では朝にお雑煮を食べて近くのお宮とお寺に初詣に行きます。こうしていつものように迎えた新年でしたが、その矢先に飛び込んできたのが衝撃的な地震のニュース。だんだんと分かる被害の大きさに胸が痛みます。変わりなく過ごせる毎日がどんなにありがたいか、あらためて身につまされるお正月となりました。
めずらしく雪の降らない年始でしたが、帰省した弟家族はクリスマスに積もっていた雪で少し遊ぶことができました。私は巨大な雪の犬を、めいは南天やムラサキシキブの実と菊の花で飾ったかわいい雪だるまをつくり、ソリ滑りも楽しみました。
1月生まれの多い水戸家は、私、おばあちゃん、犬のてん、と誕生日が続きます。昨年7月にやって来たニワトリたちも、生後6か月だったのできっと1月生まれです。おばあちゃんは今年で97歳。冬の間はミシンで巾着袋をたくさんつくって周りの人に配っています。小さな切れ端でも捨てられないようで、おばあちゃんの部屋の缶の中にはハギレがぎっしり。それらをパッチワークのように組み合わせた袋にも挑戦しています。愛犬てんは5歳です。恒例のハンバーグケーキでお祝いして大満足の様子でした。
1月の半ばには地域の「とんど」も行われます。竹を組んでしめ飾りや書き初めと一緒に燃やし、1年の無病息災などを願う行事です。竹が焼けて弾ける音は迫力満点。最後にはみんなで持ち寄ったおもちを焼いていただきます。久しぶりに地域の方と顔を合わせて楽しい時間を過ごしました。
大寒が近づけば始まるみそづくり
とんども終わり、気温が1年でもっとも低くなるといわれる大寒が近づくと、米麹(こめこうじ)づくりが始まります。お米を蒸して、種麹(たねこうじ)を振りかけたら3日目に完成するまで温度管理をしながらお世話をします。麹菌の力で自発的に温度が上がり始めるまでは、電気毛布やタオルで覆って暖めながら調節するのですが、気がついたら温度が変わっていることもあり目が離せません。2日目くらいから甘い香りが漂い始めると、順調に進んでいることがわかってホッとします。3日目の朝には家の中が麹のいい香りに包まれて、ふわふわの白い雪のような米麹ができあがりました。
今回は2回に分けて、約26kgの米麹(こめこうじ)ができました。この米麹をもとに、次はみそづくりに入ります。
大豆を大釜でゆでて、手回しのみそすり機ですり潰します。すり潰されてモンブランのようになった大豆と、米麹に塩を混ぜた「塩切り麹(しおきりこうじ)」を混ぜ合わせたら丸めて、空気が入らないように容器に詰めていきます。意外と体力のいる作業ですが、今回は近所の方が手伝ってくださったので、あっという間に終えることができました。大事に封をして、半年後食べ頃になるまで置いておきます。暖かい日が多いこの冬ですが、米麹やみそを仕込むときには雪も降ってしっかり冷え込んだのでおいしくでき上がりそうな気がします。(寒い方が雑菌が少なくて仕込みにいいそうです)
今回の反省点は家で栽培した大豆がたりなかったこと。できれば自家製のものを使いたいのですが、市販の大豆を買いたしました。来年のみそのため今年はたくさん大豆をつくりたいと思います。
ニワトリも愛犬てんも元気。愛犬は5歳に
この雪で水戸家の周りでは40~50cmくらい積もりました。人間は雪かきで大変ですが、てんはうれしそうです。ニワトリたちもみんな元気で、しばらくの間コケコッコーと鳴かなくなっていた雄鶏のガルス君も、1月の大寒(20日)の頃から朝に鳴くようになりました。それからは、しばらく卵を産んでいなかった雌鶏たちも思い出したようにぽつぽつと卵を産んでくれています。
1年でいちばん寒の時季(小寒~立春)の卵は寒卵(かんたまご)といって栄養価が高いんだとか。季節によってニワトリたちにどういった変化があるのか不思議ですが、自然にまかせています。寒さもあと少し。来月にはみんな大好きな豆もちづくりが待っています。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して6年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。