フキ、ツワブキ、カメノテが旬。大分の離島、深島の春の恵みを味わう

大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民11人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、深島で過ごす春について。

節分が過ぎた頃にやってくる深島の春

節分が過ぎた頃にやってくる深島の春

 2月に入り、深島では「ホーホケキョ」とウグイスがさえずりを始めました。2月3日の節分には、子どもたちは定期船の船員さんと豆まきをし、巻き寿司をつくりました。節分が過ぎると、もう春です。

 まだ寒さが残る2月。さえずりはじめるウグイスたち、ひょっこり芽を出すフキノトウ、ツワブキの新芽、ちょっととろんとする海面など、毎日見ている深島の風景に春の訪れを感じるようになります。
 春先は風が強い日も多いですが、3月~4月は風も落ち着き、ぽかぽか暖かくとても過ごしやすい季節。暖かくてのんびりしていそうな雰囲気とは裏腹に、深島の春は忙しいです。

深島の春の味「ツワブキ」を収穫

ツワブキ
秋に黄色い花を咲かせるツワブキ

 春になるとばあちゃんたちはツワブキを収穫に出かけます。フキよりも光沢のある葉っぱで秋に黄色のかわいい花を咲かせるツワブキは、深島の風物詩のひとつ。

 ツワブキは秋に花が咲き、冬に綿毛になり、2月ごろに新しい芽を出します。
 島では新芽を根本からつみ取り、丁寧に皮をはき、水にさらした後ゆがいて調理します。ばあちゃんたちはこの季節になると、雨の日以外は毎日のようにツワ仕事をしています。島のほかの人たちも、定期船からの帰り道や散歩ついでにツワブキをつんできたり、坂が急でばあちゃんたちが行けない場所のツワブキを取りに行ったりします。

ツワ仕事

ツワブキの甘煮
ツワブキの甘煮

 ばあちゃんがつくるツワブキの甘煮。甘煮と呼んでいるけど、佃煮の薄いやつみたいな感じで、ばあちゃんたちは「ツワの炊いたの」と呼んでいます。
 ツワブキはフキのようにきゃらぶきなどにはせず、薄味で楽しみます。甘煮のほか、ゆがいた後に天ぷらにしたり、炒めて食べたりも。

 また、春は磯もの(カメノテやトコブシなど)、貝掘りの季節。夫やじーじ(夫の父)は潮が引くと磯に行き、磯ものをとってきます。ばあちゃんたちは浜に降りて、貝掘りをします。深島の海にはアサリやニイナ(スガイ)、そのほかいろんな貝がいます。
 貝掘りや磯に出かけられるのは大潮前後の数日間、そのうち潮が引いた数時間です。その数時間で、たくさんの貝などをとってきます。

亀の手
カメノテ
磯もの
カニつかまえたよ

 いつもは「腰が痛い、足が痛い」というばあちゃんたちも、春になると心なしか元気になり、草むらにどんどんツワを取りに突き進んで行ったり、知らない間に山に行っていたり、磯や浜をずんずん歩きます。
 子どもたちも一緒に、山や磯へ。長女と次女はツワブキの皮むきもとても上手。ばあちゃんたちと日向ぼっこしながら、小さい頃からお手伝いしています。

 だれかとお話しながら、笑いながら、自分たちの食べ物を取りに行って、料理をして、季節を感じながらみんなで食べる。島の恵みは元気の秘訣です。

島の恵みは元気の秘訣
でぃーぷまりんのinnえびすねこ、「島の暮らし体験プラン」でご宿泊の方は、ぜひ一緒にツワ仕事や磯あそびをしましょう♪

島のあちこちで花が咲きにぎやかに

春はネコものんびり

 春はネコたちとのんびりするのもおすすめの季節。まだ冬毛が残りもふもふなネコたち、暖かい日は島のあちこちで日向ぼっこをしたり、日陰でのんびりお昼寝をしたり、ウロウロすることが増えてきます。
 お花とネコのかわいい写真も撮れる季節。朝と夕方はとくに、柔らかい日差しやふわふわなネコたちの毛がキラキラしてとてもきれいです。

 海に囲まれた深島では、毎日海の様子を見ます。定期船に行く途中やからみそ生産施設に行く間に、海が必ず見えるのです。冬は風が強く海面を風が走るように波打ったり、ぱちゃぱちゃと波がたっていたりすることが多いのですが、春になると海面が少しとろんとしたように(個人の見解です)。また、パキーっときれいに澄んだ海から、少しモヤモヤしたような海になります。

春の海
春になると海面が少しとろんとしたように感じる

 島ではいろんなところで色鮮やかな花が咲き、緑が鮮やかになり、にぎやかな印象に。島の数か所に花壇をつくって子どもたちと一緒にお手入れしたり、花を植えたりしているのですが、春がいちばんきれいになります。花壇だけでなく、野の花もたくさんきれいな花を咲かせてくれます。

 島の人も、島の生き物たちもせわしなく動いている深島の春。だけど、どこかのほほんとしていて、心穏やかに過ごせる季節です。

4月はいよいよ小学校に入学

 わが家は3月に次女の卒園式、そして4月はいよいよ小学校に入学。4月からは長女と次女2人で小学校へ通います。新学期に向けた準備もこれから、あたたかな深島でのんびりやっていこうと思います。

<写真・文/あべあづみ>

【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。ふかしまにゃんこ(@fukashima_cats)、深島活性化組織Deepblue