広島県安芸高田(あきたかた)市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家に移住して6年目、愛犬てんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は、水戸家の恒例行事であるおもちづくりと、里山に訪れた春について。
豆もちづくりは寒の内の恒例行事
安芸高田市の里山にある水戸家では、米麹とみそづくりに続く「寒の内(1月初め~節分まで)」の恒例行事で、豆もちをつくります。
今回は白とヨモギの丸いおもち、それから豆もちと呼んでいる黒豆入りと青のり入りのおもちをつくりました。豆もちはもろぶた(長方形の木の容器)に仕切りをつけてつきたてのおもちを流し込み、一晩置いて固まったら1cmくらいの幅に切ってできあがりです。
家によって味が違うようですが、水戸家では砂糖と少しの塩を入れたほんのり甘い味つけ。こげ目がつくくらいにこんがり焼くとおいしくて、子どもの頃からの欠かせない味。
春めいてきて、人間も庭や畑に出るように
この冬は雪が少なく、代わりに雨がよく降りました。今までは2月の終わり頃にやっと雪解けの地面からオオイヌノフグリが咲きはじめて、見つけるたびに喜んでいたのですが、この冬は12月頃からすでにいろんな雑草の小花が咲いています。冬らしさが年々減っているようで、少し心配になりました。
昼間は日差しがぽかぽかと暖かく、ニワトリたちも今月から本格的に卵を産み始めました。唯一の雄鶏であるガルスくんにも変化が出てきて、ご飯は雌鶏にゆずり、卵を産む間は必ず近くで見守ります。朝もきちんとコケコッコーと鳴いて、周りの様子もしっかり見て警戒してくれるようになりました。
休産期の間は雌鶏たちを押しのけてご飯を食べていたので心配していましたが、卵を産む時期になるとちゃんと紳士に戻るようです(笑)。 ニワトリはまだ飼い始めたばかりなのでおもしろい発見ばかり。最近ではますます人間に慣れてきたようで、ガルスくん以外にも何羽か(ちょっと嫌そうですが)抱っこができるようになりました。
2月の中旬を過ぎると、例年より早くクロッカスや菜の花が咲き始めました。水仙やチューリップの芽も伸びてきて、小鳥の鳴き声も聞こえます。地面にはまずクモがたくさん現れて、だんだんとほかの小さな虫も目にするようになりました。
こうして一気に春めいてくると、なんだか人間もそわそわしてなにかしなければ、という気持ちになるので不思議です。暖かい日には少しずつ庭や畑に出るようになりました。おばあちゃんも家の中で裁縫をする毎日に飽きているようで、畑仕事や草とりができる日を楽しみにしています。
生薬としても使われるオウレン
2月の終わり、近くの山に少し上がったところにオウレンの花が咲いていました。とても小さな白い花で昨年は見逃してしまったのですが、今年は美しい姿を見ることができました。ここにあるオウレンはたまに周りをきれいにすることで年々株が増えてきた気がしますが、それでも生えているのはわずかです。
おばあちゃんから聞いた話では、昔は根っこを生薬として使うためにとりにくる方もいるくらいあちこちに群生していたんだとか。目立たないのでほかにもひっそりと生えているところがあるのかもしれませんが、また昔のように増えてくれたらいいなと思っています。
静かな季節はもう終わり。周りではなにもかもが春に向かって動き始めていて、これから賑やかになりそうです。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して6年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。