春は島ネコと触れ合うベストシーズン。70匹が暮らす大分深島の楽しみ方

大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民11人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、春の深島の楽しみ方について。

サンゴや熱帯魚を見ながら散歩できる

深島の過ごし方を紹介します

 少しずつ春らしい日が増えてきました。もうすぐ春休み。お客さんも少しずつ増えてくる季節です。深島には行ってみたいけど、なにもない深島に行って、みんななにしてるの? なにをしたらいいの? と思われる方も多いのではないでしょうか。そこで今日は深島の過ごし方を紹介します。

 まずひとつ目は散歩。旅先でのお散歩は、深島でなくてもおすすめの過ごし方です。その地域の暮らしや歴史、文化の違いがなんとなく感じ取れます。とくに深島の春はお散歩がとても気持ちよく、春の海風を浴びながら新緑や春の海を眺め小鳥たちの声に耳を澄ますと、非日常を味わえます。
 海沿いの道からはサンゴや熱帯魚が見られるし、空を見上げれば青空にいろんな雲。途中、ところどころにあるベンチでのんびりしながら歩いてみてください。

春は島ネコと触れ合えるおすすめシーズン

島のネコたちとのたわむれ

 次に、島のネコたちとのたわむれ。深島に来る人は、ほとんど皆さんネコ好きさんではないでしょうか。冬は寒くて人間が外にいるのに耐えられず、夏はネコたちも暑くてまったく出てこないため、ネコたちと触れ合うのは春と秋がおすすめ。春は冬毛の残るもふもふネコたちが、すりすり寄ってきてくれます。みそ施設前のベンチなどに腰かけていると、どこからともなく「にゃーん」。深島ではお客さんのえさやりはご遠慮いただいてますが、えさをあげなくても人が好きなネコたちは「なでてくれぇ~」と近寄ってきてくれますよ。

 触りたい! 抱っこしたい! と欲望にまみれてしまうと、ネコたちも殺気を感じてサササーっと離れていってしまうので、一緒にゆっくりしませんか? と、ゆったりした気持ちで接してあげてください。

 読書が好きな方は、好きな本を持ってきて好きな場所で本を読むのもおすすめです。島のベンチやカフェのデッキ、浜や防波堤など、じつはのんびり過ごせる場所がたくさんあります。
 波の音や鳥の声をBGMに、海風を浴びながらの読書はとてもぜいたくな気持ちになれると思います。読書だけでなく、意外とお仕事なんかもはかどるかもしれません。

島の方とおしゃべり

 また、深島にきたら、ぜひ島の人とお話ししてみてください。まずは「こんにちは」の挨拶から。暑いですね、いいお天気ですね、はもちろん、島で不思議に思ったこと、これってどうしてるの? 昔はどんな感じだったの? このネコの名前は? など、なんでも聞いてみてください。深島の人たち(とくにばあちゃんたち)はお話しが大好き。島外の人とのお話で元気をもらっています。

オーシャンビューのカフェでのんびり

オーシャンビューのカウンター席

 深島にきたら、ぜひcafeへもどうぞ。オーシャンビューのカウンター席やデッキでのんびり過ごすのがおすすめです。パズルや離島の雑誌、子どもたちが遊べるオモチャもあります。深島みそをはじめとしたお土産もそろっています。
 カウンター越しに見えるのは、四国方面の大海原。四国が見えたり、船が行き交ったり、よーく見るとウミガメが顔を出すことも。雲が流れていくのを眺めているだけでも癒されますよ(カフェの営業は不定休ですので、お問い合わせが確実です。ランチはご予約ください)。

深島のcafe

 そのほかにも、灯台や学校跡までお散歩したり、海岸でシーグラスや貝殻を拾ったりもおすすめです。
 4月には深島散策のお供にぴったりのスマホで聴ける音声ガイド、「おともたび」をリリースする予定。おともたびは、灯台までの道のりや島内をお散歩しながら、島の歴史や豆知識を知ることができるツールです。お楽しみに!

 3月の終わりから4月にかけては、島で過ごすのに暑くもなく寒くもなくポカポカしてとても気持ちいい季節です。もうすでに、島内のお花もきれいに咲いて、カメラを手にお散歩する人も増えてきました。ぜひ遊びにきてくださいね。

ネコを撮影

<写真提供・文/あべあづみ>

【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。ふかしまにゃんこ(@fukashima_cats)、深島活性化組織Deepblue