大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民11人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、ゴールデンウイークのにぎやかな深島について。
写真展に島ネコツアーを開催。にぎやかな深島
2024年ゴールデンウイークの連休は、初の試みとしてInstagramで大人気の島ネコ写真家のsimabossnekoさん、ぺにゃんこさんが深島で写真展を開催してくれました。
場所は私たちが運営する「でぃーぷまりん」のシェアハウス「わんち」。深島のネコたちの写真を展示したほか、特別ネコツアーも開催。島ネコ写真家さんのネコたちと仲よくなる方法や写真を撮るコツ、島の人も知らない深島のネコたちの特徴、性格、見どころなどをお話してくれるツアーは大盛況。
県内はもちろん、関東などからもおいでいただき、私たちもsimabossnekoさんたちもとても楽しい時間を過ごすことができました。
そして、うれしい再会も。昨年の夏、数週間深島に滞在してくれた人が会いにきてくれました。
それだけでなく、今年の冬に泊まりにきてくれた方が今度はお手伝いにきてくれて、数日間とーっても助かったし、楽しく過ごすことができました。
近年のゴールデンウイークはあまり天候がすぐれませんでしたが、今年も例外でなく、雨の多い連休となりました。それでもたくさんの方が島を訪れてくださり、たくさんの方と出会うことができました。この時季はネコたちに会いに来る方が多く、ネコ図鑑を購入してくれたり絶賛挑戦中のクラウドファンディングをしてくださる方がいたり、普段あまりお話ししない深島のネコたちの取り組みについてお話ししたり、応援してもらえたことがとてもうれしかったです。
連休後半の5月3日、4日の2日間は天候にも恵まれ夏のような気候に。宿泊にきてくれたご家族と遊んだり、カヤックツアーをしたり、夕方には子どもたちと海で遊んだり。
8年ぶりに遊びにきて下さったご家族もいらっしゃいました。当時はまだ長女がおなかの中。そのご家族の子どもさんたちも未就学の子たちだったのに、もう高校生になっていて、子どもの成長は早いなあーと思うとともに、そうしてずっと深島に思いを寄せてくださる方がいることを心強く思いました。
5月5日と6日は天候が悪く定期船は欠航となりました。たくさんのご予約をいただいていても、離島のためどうしても渡れずお会いできない方も多くいます。これから梅雨に入り、夏が来て台風シーズンがやってきます。もしも、深島へ渡る計画を立てていて天候が悪くなって渡れなくても、また次の年や数年後にきてもらえたらとってもうれしく思います。
島の内外から子どもたちの健やかな成長を願う
深島のゴールデンウィークは、久しぶりににぎやかでした。写真は2年前に初めて出したこいのぼりです。わが家の末っ子長男、凪紡(なつむ)のこいのぼり。昔は島のあちこちの家でこいのぼりが上がっていたそうですが、そんな光景も見られなくなってもう数十年。久しぶりに深島の空を泳いだこいのぼりたち。
子どもが島にいるということは、子どもたちの声がすることはもちろん、こういった子どものお祝いごとや、お正月にしたおもちつきなど子どもたちが喜ぶからと、みんなで集まる季節の行事が行われ、それだけでにぎやかになります。子どもって本当に地域の宝物。
このこいのぼりたち、私が買ったものや私たちの両親がプレゼントしてくれたもののほかに、深島にくるお客さんやSNSで繋がりのある方が息子の誕生祝いに贈ってくれたものもあります。
じつは私自身が5月5日生まれということもあり、昔からこいのぼりが好きだったのですが、うちは2人姉妹。家でこいのぼりを出すことはなく、小さなタペストリーや置物を集めていました。SNSで「昔からこいのぼりをたくさんあげるのが夢だった」というと、贈ってくださる方がいて感激しました。
家族や島の人だけでなく、こうしてたくさんの方が、しかも会ったことのない方まで私たち家族の出来ごとを喜んでくれて、一緒にお祝いしてくれて、本当にうれしいです。
今年も深島の空を泳いだこいのぼりたち。息子もこんなに大きくなりました。
<写真提供・文/あべあづみ>
【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。ふかしまにゃんこ(@fukashima_cats)、深島活性化組織Deepblue