大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民11人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、夏の深島の楽しみ方について。
夏の深島の見どころは「深島ブルー」の海
深島は小さな島ですが、毎年夏になると島民の何倍もの人が島を訪れます。その目的は海。深島の海は「深島ブルー」と表現する人もいるほど、大分とは思えない透明度と豊かな生態系です。県外からダイビングに訪れる人、夏休みの帰省に合わせて訪れる人、1年に何回も泳ぎに来る人とさまざま。深島の海では豊後水道の魚たちと熱帯魚がともに暮らし、独特の風景を見ることができます。
夏の深島では、海水浴はもちろん、シュノーケリングの体験もできます。島育ちの夫がガイドをするのですが、サンゴや魚たちを見ることができるポイントを案内したり、ナマコやウニなど島の生き物を紹介したり、大人から子どもまでみんなで一緒に楽しむことができます。お子さんは6歳からツアーに参加可能。
ツアーには「泳げないんです」「海で泳ぐのはじめてです」という人もご参加しています。ライフジャケットを着用するので、泳げなくても水が怖くなければ大丈夫。最初は「怖い!」といっていた人も、慣れてしまえばへっちゃらになったり。わが家には3人の子どもがいるので、夫も子どもたちへの対応はお手のもの。ちょっと不安だな、と思う人は予約の際にその旨を伝えてもらえれば、1グループだけでペースを合わせてしっかり練習したあとで、ご案内します。
海水浴以外にも、潮が引く日を狙ってくると、浅瀬やタイドプール(しおだまり)での生き物観察や磯遊びが楽しめます。まだ泳げない小さな子どもたちの遊びかと思っていたら、大人のほうがハマっちゃった、なんてことも多々あるので、磯遊びはあなどれません。小さなウミウシやヤドカリ、エビ、カニたちが見られるほか、海に入らなくてもサンゴの観察もできますよ。
また、釣りざおのレンタルもあります。本気の釣りは暑すぎるのでおすすめできませんが、港で小魚を釣るのは小さなお子さんでも楽しめるのでおすすめ。海で遊んだら、cafeでジュースやアイスをどうぞ。ランチには手ぶらでOKのBBQプランもおすすめです。
島ネコたちには朝と夕方で会える
深島には日陰があまりないので、日中のんびり過ごすにはちょっと暑すぎるかもしれません。ネコたちも昼間は物陰に隠れて全然出てきません。本当にネコがたくさんいるの、と思うほど閑散としたにゃんにゃんロード。「ネコはどこにいますか?」と聞かれることもしばしばです。
夏のネコたちの活動時間は朝と夕方、そして夜。夕方の定期船が帰ったあと、日が沈む前くらいがネコたちとの時間の始まりです。どこからともなくわらわらと歩いてくるネコたち。夜も電灯の下などで元気に遊んでいることも。朝方には防波堤を散歩するネコたちが。朝日をネコたちと眺め、朝のお散歩をして過ごすのがなんとも言えない幸せな時間です。
のんびり過ごしたいなら泊まるのがおすすめ。夏の深島といえば海ですが、私は日が沈む頃や朝の静かな時間が大好きです。夕方の定期船が帰った後は貸し切り状態なので、海で遊ぶもよし、ネコたちとのんびり過ごすもよし、明るいうちからビール片手にデッキでただただぼーっとするもよし。
花火をしたり、星空を眺めたり、夜のお散歩してみたり、私たちにとっての日常を味わってもらえたらうれしいです。ちなみに2024年は7月と8月に流星群が見られるそうなので、その前後に宿泊すれば流れ星も見ることができますよ。
島の滞在を安全に楽しむために
楽しい夏休み、海遊びに行くときや深島に来ていただくときに気をつけてほしいことがあります。それは、その地域で暮らしている人のことを忘れないこと、そして命を守ることです。
どこの地域にも、そこで暮らしている人がいます。深島も大切な暮らしの場。島の人や島に来ている人の迷惑になること(大声を出したり、ベンチを占領したり、危ない行為をしたりなど)は絶対にしないでください。
そして命を守ること。お子さんと水辺で遊ぶときはライフジャケットの着用をお願いします。海には危険な生き物も住んでいますので、気をつけてくださいね。
夏は島がにぎやかになり、私たちにとっても楽しみな季節です。また、深島での暮らしが日常である私たち、子どもたちの夏の過ごし方や深島の夏のイベントなどもご紹介したいなあと思っています。ぜひ、深島に遊びに来てくださいね。
<写真提供・文/あべあづみ>
【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。ふかしまにゃんこ(@fukashima_cats)、深島活性化組織Deepblue