富山県滑川市「ふるさと龍宮まつり」県内最大の花火が上がる夏の風物詩

WEBライターを経たのち、現在は富山県滑川市の地域おこし協力隊として活動する田中啓悟さん。今回は、夏の一大イベント「ふるさと龍宮まつり」の様子をレポートします。

祭りの雰囲気を盛り上げるキッチンカーや屋台

お祭り会場に並ぶキッチンカー
祭りを彩るキッチンカー

 毎年7月に行われる滑川市の一大イベント「ふるさと龍宮まつり」。2024年は7月13日、14日の2日間で開催されました。会場となる富山湾沿いのほたるいかミュージアム周辺にはお昼前から多くのキッチンカーや屋台が並び、これぞお祭りという雰囲気が会場全体を覆います。

 県内一の大きさを誇る「正三尺玉」の打ち上げ花火が上がる海上花火大会は、お祭りのフィナーレを飾るメインイベント。そのほかにも見どころあるプログラムが目白押しで、始まる前からワクワクします。

ブルーハワイ味のかき氷
誘惑に負けて買ったブルーハワイ味のかき氷

 会場に着くと早速、焼き鳥片手にビールを飲む人や、かき氷やリンゴあめをうれしそうにほおばる子どもたちの姿が。私もつい、かき氷を購入してしまいました。口の中に広がるブルーハワイのさわやかさたるや。夏の訪れを教えてくれたような気がします。

子どもたちの踊りや「新川古代神松明踊り」も

踊りながら行進する園児たち
一歩一歩、動きを確認しながら踊る園児たち

 1日目のメインイベントは「龍宮パレード」。市内の園児や中学生が中心となって踊りを披露しました。元気な声を出して行進する園児たちの頭には、滑川市のゆるキャラ「キラリン」のお面がつけられ、かわいらしさに思わず笑みがこぼれます。本物のキラリンには会えなかったのが少し残念でした。

新川古代神松明踊りを披露する保存会の人々
伝統芸能「新川古代神松明踊り」を披露する保存会の皆さん

 龍宮パレードのあとは、滑川市に古くから伝わる民謡「新川古代神(にいかわこだいじん)」の保存会による「新川古代神松明踊り」が披露されました。松明を持って勇ましく踊る「男踊り」と、扇子や盃といった小道具を持って優美に踊る「女踊り」の2つがあり、豪胆さとしとやかさの対比が美しさを醸し出します。

 踊ったあとは皆さん汗だくで、この民謡にかける思いがすごく伝わってきました。はるか昔から伝えられてきた踊りの火を絶やさぬようにとする姿を前に、会場全体でこの熱い踊りを見守りました。

さまざまなゲストが登場するステージイベント

ステージ上で話す乙姫さま
龍宮城からやってきた乙姫さま

 2日目はあいにくの雨模様でしたが、水野達夫滑川市長や、ふるさと龍宮まつり実行委員会のあいさつで会場に熱が入ります。オープニングセレモニーが終わると、この祭りのシンボルである龍宮城の乙姫さまがサプライスで登場! 祭りの開催を大いに喜び、雨のなか会場を盛り上げてくれました。個人的には龍宮城から滑川市まではいかほどの距離なのか、気になるところです。

傘を差している大勢の観客
お笑いライブを一目見ようと押し寄せる大勢の観客

 イベント盛りだくさん2二日目はテレビにも多数出演されているハリウッドザコシショウさんやSAKURAIさんのお笑いライブが開催され、会場は大盛り上がり。SAKURAIさんの歌ネタとハリウッドザコシショウさんの「誇張ものまね」で笑いの渦が生まれました。

 残念ながらお笑いライブは撮影禁止でしたが、イベントが進むにつれて人の数も増え、私も雨が降っていることなど忘れて大笑い。来年もどんなゲストがやってくるのか、今から楽しみです。

ステージ上で玉入れをする参加者
さまざまな受け皿で玉入れをする参加者

 市民参加型イベントの「龍宮オリンピア」では球入れや竹馬リレーといった競技で競い合い、金一封を目指して戦う参加者の姿がありました。3人1組で戦い抜くだけならまだしも、この日は朝から夜まで雨模様だったため、皆さんかなりの苦戦を強いられていたようです。

表彰式のステージ
マッスルエンターテイメント「N-MEN」表彰式の様子

 2日目最後のステージイベントは、ほとばしる夏の熱さを加速させるマッスルエンターテイメント「N-MEN」(Nは「滑川」の頭文字)。県内外から筋肉自慢が集まって己の肉体美をアピールする姿に黄色い声援が飛び交い、雨で冷たくなった会場の空気が一変しました。選手にパワーを分けてもらったことで、思わずまだ見ぬ自分の底力を想像してしまいました。

 優勝者には称号と金一封に加え、なんとプロテイン一年分の贈呈が。これは体を鍛えて出場するしかありません。女性の参加も可能なこのイベントは毎年開催しているので、筋肉自慢の方はぜひご応募ください。

思わず見ほれる、光のフィナーレ

海上花火大会の打ち上げ花火
左/海上から打ち上げられる色鮮やかな花火 右/水面に向かって落ちていく「正三尺玉」の火花

 祭りもいよいよフィナーレ。最後は夏の風物詩でもある花火が数多く打ち上げられ、来場客の視線と心を奪います。近くで打ち上げられる色とりどりの花火玉は、大きな音を立てながら夜空を、そして私たちの見る世界を照らしました。

 高さ、直径ともに600mほどにもなる「正三尺玉」は、散り際も美しい姿を見せてくれました。空高くからゆっくり落ちる火花のひとつひとつが水面にかえっていく様は夢を見ているようで、天候など関係なしにうっとりしてしまいます。すべての花火が打ち上がったあとはそこかしこで拍手が起こり、「2024ふるさと龍宮まつり」は無事に終わりを告げました。

 夏祭りという楽しくも幻想的な光景が、色々な人を繋げ、ひとつにする。来年もまた無事に開催できるよう、そして自分も参加できるようにこの1年をがんばろうと思えた2日間でした。

<取材・文・撮影/田中啓悟>

田中啓悟さん】
大阪府大阪市出身。大阪の専門学校を卒業後、WEBライターとしてデジタルゲーム関連の記事を執筆。その後、「訪れたことがない」という理由で富山県に移住し、地域おこし協力隊として、空き家バンクの運用・空き家の利活用をメインに、地域の魅力発信やイベントの企画に携わっている。