広島県安芸高田(あきたかた)市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して7年目、愛犬てんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は、自然豊かな里山で収穫できるさまざまな「実」について。
安芸高田に移住して感激した、自然の恵み
安芸高田市に移住してから、田舎暮らしってすごい!と感激したことは、自然から得られるものがたくさんあること。とくに果実類は、たまに下草を刈ったり年に一度剪定するくらいで基本的にほったらかしですが、年間を通してたくさんの果実を収穫することができます。
今回は、もともと自生している植物や、昔から植えられている木、移住後に苗を買って植えたものなど、水戸家の周りでとれるさまざまな「実」をご紹介します。
春夏は梅の実やベリー、イチゴを収穫
田んぼや畑の側に昔からある梅の木。青梅は6月上旬、完熟梅だと6月下旬に収穫します。今年は裏年で実が少なかったので砂糖とスパイスで漬け込んで、ジュースにして飲んでいます。たくさんとれる年にはがんばって梅干し、梅みそ、ジャム、梅肉エキスなどをつくったりしています。
ジューンベリーは苗木を植えたらとても大きくなって、ほとんど小鳥たちのご飯になっています。冷凍して食べるとおいしい。
ビロードイチゴは木イチゴの仲間で、山ぎわに自生しています。熟した実はすぐ落ちるのでトゲに注意しながらそっと摘み取ります。
甘酸っぱくておいしいラズベリー。どんどん株が増えて広がります。犬のてんも小さい頃はよく食べていました。
ブルーベリーは苗木を買ったり、知り合いの方にいただいたりして3種類くらい実っています。ニワトリたちはブルーベリーが大好き!
6月~7月はベリーの季節で、水やりも一切していないのですが次々に実をつけてくれます。このほかに、カシスや桑の実(マルベリー)も同じ時期。収穫した実をジャムにしたり冷凍したりして姉がお菓子づくりに使っています。
秋冬は栗、山椒、柿、銀杏などを収穫
栗の木も昔からあちこちにあり、9月~10月にかけて実を落とします。塩ゆでしてもおいしいし、栗ご飯にも欠かせません。もちろんお菓子にも。今年は花がとてもきれいに咲きました。今は青いイガが枝いっぱいについていて豊作になりそうです。
9月頃、赤くなってきた山椒の実をとって天日に干すと、皮が割れて中から真っ黒でつやつやの種が出てきます。その皮の部分をミルでひくと、粉山椒のできあがり。熟れる前の青い実も色々と活用できます。
銀杏(ぎんなん)は臭いで敬遠されがちですが、樹に実がついている姿はとてもきれい。ヒガンバナの咲く9月の中頃から実が落ちはじめます。拾った銀杏は袋に入れて放置しておき、外皮が柔らかくなったら洗いながら中身を取り出します。それから干してしっかり乾燥させるので、食べられるようになるまでは結構手間がかかります。
11月頃に収穫するユズ。ユズは使い道が豊富で、ユズみそ、ゆべし(ユズをくり抜いてみそなどを詰めて蒸し、つるしておく)、ユズゴショウ、ポン酢しょうゆ、ジャムなど。果汁も冷凍して使います。お風呂に入れてユズ湯にも。
10月~11月頃に熟す柿。そのまま食べられるものと、干し柿にするための渋い柿があります。うまく発酵がすすめば柿酢もできて、熟す前の青柿では塗料になる柿渋(かきしぶ)がつくれます。
山の近くのいろんなところに自生して、冬場にとれるのがうれしいフユイチゴ。11月の半ば頃から見かけます。収穫したら薪ストーブの上で乾燥させてドライにしたり、ジャムをつくったりしています。
こんなふうに、里山でとれる実だけをみても、とてもバリエーションが豊富です。周りのおうちにもそれぞれいろんな果樹があって、おすそ分けをいただくこともあります。里山の暮らしでは、「ブルーベリーがたくさんできたからジャムをつくろう」「そろそろ梅をとらなくちゃ」と、自然の流れで次にやるべきことが決まっていきます。
もちろんうまく収穫できるものばかりではありません。イチジクは熟すとスズメバチが寄ってきて危険だし、ブドウは野生動物に何度もとられて諦めました。キウイは実をつけてもあまりおいしくならなくて伸び放題になっていたりと、試行錯誤しながらやっています。
今後はリンゴやサクランボ、クルミの木などが植えてあるので、いつか収穫ができるかなと期待しています。自然の恵みに感謝しながら、収穫できたら次はなにをつくろうかと考えるのも楽しい時間です。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して7年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。