WEBライターを経たのち、現在は富山県滑川市の地域おこし協力隊として活動する田中啓悟さん。今回は、市民ランナーが奮闘する一大イベント「滑川ほたるいかマラソン2024」をレポートします。
参加者2500人超えの滑川ほたるいかマラソン
2024年10月13日(日)、滑川市で毎年行われている「ほたるいかマラソン」が開催されました。雄大な立山連峰を仰ぎ見ながら富山湾の潮風を感じて走るこのマラソンは、2.1kmのエンジョイランニング、3km、10km、ハーフマラソンの4種目。
当日は青空が広がり、10月とは思えないほどの暑さに見舞われました。会場には朝早くから大勢のランナーの姿が。年1回のイベントに懸ける思いが、ひしひしと伝わってきます。
スタート前、最後の調整用にと特設された接骨院は、列ができるほどの人気ぶり。日頃あまり運動をしない人も参加するこのマラソンでは、ありがたい存在です。ほかには日よけグッズなどの販売ブースも。最後まで走りきれるよう、会場全体でランナーをサポートします。
水野達夫滑川市長が開会のあいさつで、出場者たちの健闘を祈ります。そんな市長の服にも、名前の入ったゼッケンが。どうやら、ランナーとしてもエントリーしているようです。
そして午前9時。合図と同時に、最初にスタートを切るハーフマラソンのランナーたちが一斉に飛び出していきます。最終ゴールはお昼の12時。全員が時間内にゴールできるよう願いつつ、出発を見届けました。
会場にはホタルイカをモチーフにした滑川市イメージアップキャラクター、キラリンが。私も実物を見るのは初めてでしたが、子どもたちに大人気で、写真撮影待ちの列が途切れません。弟のピッカも人気のようでした。
五輪金メダリストの野口みずきさんも沿道でランナーを応援
私も市内を動き回って、ランナーの皆さんを追います。道中で出会った人が「だれかわからんけど応援しとる」と話すように、市が一丸となってこのマラソンに挑む雰囲気が心強かったです。
まだまだ元気そうなランナーたちが、折り返し地点を通過していきます。たまに、とてもマラソンを走るとは思えない服装の人も見かけましたが、これも楽しみながら参加できるイベントの醍醐味でしょう。
ゴール目前に設けられた給水所では、ランナーたちが立ち止まって水分補給。テレビのマラソン中継で見るように、走りながら飲んでボトルを投げ捨てるものと思っていましたが、違いました。落ち着いて飲めるのはたしかにいいですが、一度止まったらもう足が動かなさそう。もし自分だったら、迷っている間に通り過ぎてしまうかもしれません。
ゴールまであと数kmというところで、今回のゲストランナー、アテネオリンピック金メダリスト、野口みずきさんが全力応援。20km近い距離を走ってクタクタのランナーたちにエールを贈ります。私も心のなかで一緒に応援しました。
ハーフマラソン最後のランナーと一緒に野口さんがゴールイン。ほたるいかマラソン2024の全プログラムが終了し、会場は拍手に包まれました。
そして、市長もやはり走っていました。沿道で走る姿を撮影しようと探したのですが、気づいたときには通過していたようです。市長の隣には野口さん。走った直後だというのにまったく疲れを感じさせない姿は、さすがとしかいいようがありません。
今回は表彰式がなかったのですが、台座が準備されており、参加者の皆さんは思い思いに撮影したようでした。自分が報道陣のフラッシュを浴びている姿を想像すると、思わず表情が緩みます。
これにて「滑川ほたるいかマラソン2024」は終了です。降り注ぐ日差しのなか、ランナーに帯同しながらの撮影はなかなかハードで、このあと39℃超えの熱を出してしまったのですが、皆さんの勇姿を見届けることができてよかったです。
参加賞は滑川の名産品ホタルイカの素干し
と、忘れてはいけないのが、この大会の名前にもなっている、参加賞の「ほたるいか素干し」。私はランナーとして出場していないのでいただくことはできず、同じものを自分で購入しました。市内の業者、カネツル砂子商店さんの商品です。
干されたホタルイカは、15cmほどの細長い形状。30尾入りで1080円と、なかなかリーズナブル。口に入れた瞬間は薄味のスルメのような風味と思いきや、かめばかむほど塩味が広がり、ワタが持つ苦味が口の中で一気に広がります。なんともお酒がすすみそうな一品でした。
マラソンの話から最後は食レポになってしまいましたが、この記事を見た皆さんが富山まで足を伸ばしていただけるとうれしいです。来年は県外からも参加者が殺到し、「ほたるいかマラソン」の参加者が3000人の大台を突破してくれるかも、という期待を抱きながら、来年こそは体調を万全に整えて、さらにいい素材が撮れるようがんばります。
<取材・文・撮影/田中啓悟>
【田中啓悟さん】
大阪府大阪市出身。大阪の専門学校を卒業後、WEBライターとしてデジタルゲーム関連の記事を執筆。その後、「訪れたことがない」という理由で富山県に移住し、地域おこし協力隊として、空き家バンクの運用・空き家の利活用をメインに、地域の魅力発信やイベントの企画に携わっている。