移住先の宮崎でフェムテック事業を展開。QOLを上げながら社会課題の解決にチャレンジ

宮崎県宮崎市の鈴木幸菜さんは、女性向けの吸水ショーツを考案するなどフェムテック事業を手がけ、「第1回 ニッポン移住者アワード」で「選考委員特別賞」を受賞。宮崎の人とのつながりに力を得て夢を実現させた、中島陽さんとともにご紹介します。

地域の人と公的支援に支えられて吸水ショーツを製品化

砂浜で微笑む女性
鈴木幸菜さん

 宮崎県の県庁所在地であり、温暖な気候と観光資源に恵まれた宮崎市。夫婦共通の趣味のサーフィンで訪れたことをきっかけに、2021年に名古屋から宮崎に移住し、フェムテック事業を立ち上げた鈴木幸菜さん。移住によってQOLを向上させるとともに、女性の社会課題の解決へ寄与したことが評価され、「選考委員特別賞」を受賞しました。

 宮崎市では定住促進を目的に、移住者と地元の人とのコミュニティー形成のための交流会を開催。また、県外から移住し、就業または起業をした人などが対象の移住支援給付金制度も実施しています。そのほか、宮崎市移住センターのコンシェルジュが、ワンストップで移住相談に対応。民間企業などが登録する「宮崎市移住アンバサダー」と連携した取り組みも。

 名古屋時代のアパレル分野での経験を生かし、日本人女性に合う吸水ショーツの開発を考えていましたが、一歩を踏みだせなかったそう。「宮崎に来て、先輩移住者や地域の人たちにポジティブな影響を受けたことが力に。起業に際しては、市や県の創業支援窓口や支援拠点に協力いただきました」(鈴木さん)

 地域コミュニティーやママ友ネットワークでの交流を楽しみながら、普及イベントやセミナーの活動する日々。「月の4分の1を占める生理期間。まずは宮崎で仕事や子育てをがんばっている女性が少しでも快適な日々が送れるよう製品を広めたい」と奮闘します。

鋭敏な感覚を生かし、高校生で焼き菓子店をオープン

庭で花を植えている女性
中島 陽さん

 16歳の高校生にして、焼き菓子店を営む中島陽さん。「感覚過敏という特性から不登校だった自分がチャレンジできたのは、宮崎の自然と温かい人たちのおかげ」と語ります。

 2018年に千葉県の実家を離れ、祖父母が住む宮崎に移住。自然や人とのふれあいや地元の豊かな食材で元気を取り戻すと食への関心が高まり、持ち前の繊細な感覚が味や⾹り、⾷感に鋭敏に反応できることに気づきます。

「食べにくいと思われがちなヴィーガンやグルテンフリーでおいしいお菓子をつくりたい」と研究と試作を重ね、開業を決意。自身で資⾦集めから取り組み、宮崎市と県の創業補助⾦の採択者となったほか、クラウドファンディングでも多くの支援を獲得。2024年12月、焼き菓子店「okinu to oyatsu」をオープンしました。「お菓子を通じて、自分を元気にしてくれた宮崎に恩返しをしていきたいです」(中島さん)

移住で自分らしい暮らしを実現した人を表彰する「ニッポン移住者アワード」

壇上に並ぶ受賞者たち
「第1回 ニッポン移住者アワード」受賞者

 全国の自治体などからの推薦によって候補者を募集し、移住で理想的な暮らしを実現した人たちを表彰する「ニッポン移住者アワード」。2024年12月に第1回目が行われ、12自治体18組の移住者がエントリーしました。

 自己実現・家族の幸せ・地域貢献・コミュニティー活性化・事業立ち上げ・伝統継承・次世代育成など、さまざまな視点で審査され、大賞ほか各部門賞を選考。

 同時に各自治体などの取り組みも審査し、移住者や地域の人たちにとって魅力的な移住促進施策を行っている自治体が表彰されました。

<取材・文/カラふる編集部>