移住を考えている人の中には、「どこを選んだらいいのかわからない」という人も少なくありません。数ある自治体からどうやって、自分にあう土地を見つければいいのか? 岩手県西和賀町の地域おこし協力隊、門馬由佳さんが自らのケースを振り返ってくれました。
数ある地域の中から、移住先になる場所って?
東京生まれ、東京育ちの私。現在は岩手県の西和賀町に住んでいますが、「なんで、西和賀に移住してきたの?」といろんな人から聞かれます。たくさんの地域がある中で、移住先に選ぶ場所。きっと、移住に興味がある方の中には、「ここに住んでみたいな~!」と候補地がたくさんある方もいれば、「どこがいいかわからない…」と迷う方もいるかもしれません。私も正直、西和賀町を選ぶまで、だいぶ悩みました! そこで今回は、移住先を選ぶときに決め手となったポイントをお伝えしたいと思います。
ポイント1 地域で出会った人が好き
移住する前から、国内旅行が好きで、いろんなところに行っていました。その中でも、移住したいなと思った都道府県があります。それが、長野県、静岡県、岩手県でした。この3つの県には、年3回以上遊びに行っていた気がします。その3県の中から岩手県を選んだ理由は、「地域で出会った人が好きだから」だと思います。そもそも、静岡と長野は遊びに行くけど、景色をみたりご飯を食べたり、観光としていくことがほとんどでした。
けれど岩手には、「●●さんに会いに行く」みたいな感じで、イベントなどで知り合った人に会いに行くことがほとんどでした。中でも西和賀町は、東京から行くたびに「おかえり~、よく帰ってきたね!」「孫みたいなもんだよ~」と言って迎えてくれてる地域の人がたくさんいたのです。そして、一緒にご飯やお酒を囲みながら「みんなのそばにいたら、楽しいだろうな」と思っていました。何より、知っている人がいるというのはとても心強いです。
移住したら今でも、とてもお世話になっています。「生活大変じゃないかい?」「野菜あげる」と心配してくれたり。声をかけてもらうだけで、安心します。これまで何度、救われたことか…。
「地域の人が好き」というと、ちょっと大げさかもしれません。でも、話すのが楽しい、とか小さいことでもいいと思います。そんな出会いがあるといいですね。
ポイント2 地域で過ごした時間が楽しかった
先ほどちょこっと書いたのですが、岩手では観光というより、その土地の日常を体験するような時間の過ごし方をしていました。野菜収穫やイベントのお手伝い、産直巡りをして集めた食材でつくったご飯を食べながら星空を眺める、囲炉裏を囲んでひたすらじいちゃんたちとお酒を飲む…。
その土地に住む人が日常していることを、同じようにする。私にとって岩手の人の日常が、非日常的で楽しかったように思います。個人的な考えですが、観光地だけでは地域の本当のよさは、少ししか感じられない気がします。
移住したいなと思っている地域がいくつかあったら、『移住体験ツアー』などで知り合った地域の人に会いに行ったり、農作業のお手伝いに行ったり、何気ない地域の日常を何回か体験するのもいいかもしれません。
ポイント3 行ってみたい場所がたくさんあった
東京から岩手に通っているとき、知り合いから「ここ、すごくおすすめ」と、いろんな場所やイベントをおすすめされることが多くて、どんどん行きたいところが増えていったんです。
岩手は四国と同じくらいの面積があるから、というのもありますが、週末だけで全部行くのは難しい。「週末に東京から行くより、岩手に住んだ方がいろんな場所に行けるじゃん!」と思うようになりました。
移住してからは、「これ来てみない~?」と誘われたイベントにはすぐ行けるし、行ってみたいところにすぐ行けるので、大満足です! といっても、私は岩手の山の中に住んでいるので沿岸までは3時間かかかったりしますが(笑)。この間も移住仲間と沿岸に行ったのですが、海がとてもきれいで、「岩手来て、よかった~!」と、2人で何度も言っていました。
「行ってみたい場所がたくさんあった」とお伝えしましたが、「その土地でやってみたいことがある」や、「その土地の雰囲気が好き」に言い換えることができるなとも思います。
まずは、地域に通ってみて!
移住までを振り返って「移住はご縁だな」とあらためて思いました。あのとき、あの人に出会ったから。あのとき、あの風景を見たから。今、ここにいる。そう思います。まずは、五感をつかって地域を感じて、「いいな!」と思った場所に通ってみてください。地域とのすてきな出会いがありますように!
<取材・文/門馬由佳>
岩手県西和賀町の地域おこし協力隊で活動中。東京都出身。イベントで西和賀町を訪れ、豊かな自然と温かな人に魅力を感じて、同町の協力隊に参加している。