IT系企業でバリバリ働く夫婦が、ひょんなことから2拠点生活を始めました。都会と農村の2拠点とはいえ、同じ千葉県内、クルマで1時間半の近距離。田舎の家は古民家のシェアハウスです。仕事と子育てで慌ただしい日々を送る松宮恵さんが、週末田舎暮らしの魅力をつづります。
ルンバ、アレクサに頼りきりの私が週末は田舎暮らし
はじめまして!わたくし、松宮恵と申します。毎日バタバタ大忙しな30代ワーキングマザーをやっております。夫と3歳、1歳の子どもたちと千葉県、浦安市に住んでいます。
月曜から金曜は、まさに分刻みの日々!子ども2人を急がせながら保育園へ駆け込み、預けたら先生に敬礼して駅へダッシュ!片道約1時間の通勤を経て、都内のIT企業へ通っています。
朝から夕方までパソコンに向かい、会議をし、ランチは大抵オフィス内でチャチャッとすませ、退勤と同時に今度は保育園へダッシュ。フルスロットルの毎日を送っています。
そして、私も夫(エンジニアです)も新しいテクノロジーが大好き。自分たちを楽にしてくれる「時短家電」に目がありません。わが家ではお掃除ロボットルンバが、私たちが留守の間に家の中をきれいにし、レシピが内蔵されている調理家電が半自動でご飯をつくりあげてくれています。話し相手はスマートスピーカーのアレクサです。まさに21世紀!
そんなわが家ですが、週末になると様変わりします。週末、田舎暮らしをしているのです。
土曜の早朝、明日の着替えだけを持って、子ども達をクルマに乗せて、さあ出発!行き先は、千葉県南東部に位置するいすみ市です。高速道路に乗って、約1時間ほど走ると、どんどん広くなる空、のどかな田園風景が広がって行くと自分の心もふわっと広がって行くのを感じます。田舎が大好きな娘も「いすみきたね~」とニコニコ。
そうしてたどり着くのは築80年、元農家の古民家。ここが私たちの「週末のおうち」です。
敷地内には古民家のほかに、農具が入っていた大きな納屋、広い元畑、竹林の生える竹山が広がっています。私たちも敷地内に小さな畑を耕して、サツマイモやゴーヤや小豆などを収穫しています。
春は竹やぶに入ってタケノコをとってタケノコご飯、初夏には梅を収穫し梅酒を漬け、秋には栗をとっています。四季折々の豊かさを、この場所では愉しんでいます。
田舎の家は古民家で、しかもシェアハウス
さて、「週末田舎暮らし」といえば、中高年の人生の楽園的なイメージでしょうか。別荘的な。
でも、私たち家、買ってません。ここは別荘ではありません。なんならほかの人も一緒に住んでいます。
そう、わが家が借りているのは賃貸のシェアハウスなんです。シェア古民家、といえばよいでしょうか。
キッチンやリビング、お風呂などが共有で、いくつか個室があります。私たち以外にも住民の方がいます。縁側など、昔ながらの日本家屋の面影を残しつつ、リノベーションされているという掘り出し物物件。この1部屋を借りています。
平日は共働きで家事、育児、仕事と分刻みのスケジュールに追われてせわしなく過ごしていると心の余裕もなくなってきます。でも週末にクルマを1時間30分程走らせると青々しい田んぼや森林が広がる風景に身を置ける。里山の風景を見る度にホッとして、肩の力が抜けていくのを感じます。
子どもたちにもいつもよりゆったり接することができるし、「平日、夫にめっちゃ腹が立って怒ったけど、あれは些細なことだったな…」と気がつけて夫に謝ることもできます。
そして、都会と田舎で一番違いがあるのは「夜」かもしれません。田舎の夜は真っ暗!とにかく何も見えません。3歳の娘は「くらいー!」と最初は号泣していました。
でも、夜空には満天の星空。これは本当に美しい。しかし、静寂な夜かといえば大間違い!夏は蛙の大合唱、秋には鈴虫のコンサートを聴きながら眠りについています。
近くには蛍が生息する清流が流れているので、初夏には蛍が飛び交います。家の中に迷い蛍が入ってきて、壁に止まって小さな灯りを灯してくれたこともありました。都会では考えられない光景です…。
子ども達も普段は出会えないような生き物を観察したり、捕まえたり、だれにも怒られることもなく大きい声を出したりして伸び伸びと楽しそうにしています。
身近な自然と触れ会うことができる里山は、大人にとっては生きていく力を思い出させてくれる場所、子どもにとっては生きる力を育んでくれる場所なのかもしれませんね!
さて、次回からはこの古民家を見つけたきっかけ、いすみに週末移住を決めた経緯をお話します。
松宮恵さん
30代のワーキングマザー。エンジニアの夫、3歳、1歳の子どもと千葉県浦安市で暮らす。近所で家庭菜園を探しているうちに、ひょうんなことから県内のいすみ市の古民家をシェアすることに。2019年4月から2拠点暮らしを開始