一番驚いたのは空!? 昼夜逆転の女性が青森に移住して変わったこと

2020/09/22

移住・求人

52年間、ずっと東京で暮らしてきた女性が、岩木山のふもと、青森県藤崎町に移住。繁華街の真ん中で昼夜逆転生活を送っていた彼女には、田舎暮らしはとても新鮮だったそう。笠原綾子さんが津軽平野の美しい写真とともにレポートしてくれました。

移住して最初に魅了されたのは、雄大な岩木山

　青森県ふじさきまち地域おこし協力隊の「かさこ」こと笠原綾子です。2020年6月1日、52年間住み慣れた東京下町を離れて、青森県南津軽郡藤崎町へ地域おこし協力隊として移住してきました。

　青森県藤崎町は、青森県津軽平野のほぼ中央にある町です。青森といえばリンゴが有名ですが、リンゴの「ふじ」は藤崎町が発祥の地。また、藤崎町は青森の東西南北どっちの方向に行くにも便利な立地です。そして何よりも素晴らしいのは、津軽平野の向こうに見える岩木山の姿。私は移住して最初に魅了されたのは、大きな空と岩木山と津軽平野の大地という景色でした。

　その景色は、晴れの日も曇りの日も、毎日毎瞬が感動でした。朝は朝焼けの東の空は眩しいオレンジ色がなんとも神々しく感じます。そしてその朝日を浴びる岩木山は、淡いピンクに染まりなんともメルヘンな姿を見せてくれます。
　

　満月が水田に映り幻想的な風景や、明け方地平線に沈んでいく月を見ることもできました。月のない夜には満天の星と流れ星が見えたこともあります。

　東京では滅多に見ることができない珍しい自然現象「幻日」という現象を見ることもできました。朝、目が覚めて窓を開けたら、朝焼けの中に霧がかかった岩木山に虹がかかっていたことも。その景色は本当に感動的で、何枚も何枚も写真を撮ってしまいました。

東京での生活とは180度変わった生活環境

　私は、生まれも育ちも東京下町。東京以外に住んだことがなかったのです。青森に移住してくる前の4年間は、都内の駅から徒歩3分、コンビニ、スーパー、郵便局、図書館、病院、なんでも徒歩5分以内にはある、という非常にいい条件の物件に住んでいました。

　ですが便利なのはいいのですが、繁華街なので飲み屋やダーツバーが一晩中うるさい！　朝の5時まで飲んで騒いでカラオケの音が聞こえてくる！　窓を開ければ怪しげエステの看板と電線しか見えません。アパートの上の階の住人の足音も夜中まで響いている最悪の環境でした。

　そんな環境だったので、その4年間は朝の5時に寝て昼頃起床。昼間は用事をすませ、夜中から制作作業の仕事をする、という生活リズムでした。食生活も、スーパーが近かったこともあり、閉店の2時間前くらいに買い物に行き、値引き品の総菜を買ってすませていました。自炊もほぼしない4年間だったのです。

　ですが、青森に移住してからは180度生活が変わりました。夜は23時頃には寝て、朝は日の出と共に目覚めます。青森には6月に移住したので、その頃の日の出は午前4時過ぎ！　もう空が明るくなっていて、その時間に起きて景色に感動して写真を撮り、SNSで発信。そのまま起きて洗濯掃除などすませ、一息ついてコーヒーを飲みながら時間をみると、まだ7時前という感じで、午前中が長く充実しすぎてビックリしました。

　食生活もスーパーのお惣菜生活から一変！　青森の野菜中心の生活になりました。青森の野菜は、スーパーでは買わず、道の駅や直売所という無人の野菜売り場が道端にあって、そこで買います。その野菜はどれも採れたて新鮮！　しかも安くておいしいのです！

移住早々町長に迎えられ、新聞の取材も

　東京での生活と180度変わった青森での生活ですが、人間環境にもさまざまな変化が。私は「青森県ふじさきまち地域起こし協力隊」として藤崎町に移住していて、引っ越ししてすぐその週には、藤崎町の町長さんから「委嘱状」を受け取るために、町役場に行きました。そしてなんと！役場の正面玄関に「地域おこし協力隊歓迎！笠原綾子様」という大きなポスターがあったのです。そして町長さんとお会いして委嘱状の受け取り式には、なんと新聞社が3社も来ていました。いやもうびっくりです。

　私は52年間東京葛飾区に住んでいましたが、区長さんと直接お会いしたことはありません。もちろん新聞社に取材されたこともありません。本当にすべてが大きく変化していくのを感じています。移住してまだ3か月ですが、1年分くらいの経験をしている感じです。