下諏訪でやりたいこと発見。空き家を通して人と人をつなぎます

―[しもすわで小商いヤッテミレバ]―

 地域おこし協力隊を卒業し、長野県下諏訪町でまちづくり会社を設立した今野由香里さんと綿引遥可さん。地域おこし協力隊任期中に宅建の資格を取得した綿引さん。下諏訪町の空き家を活用することに力を入れているそうです。

縁もゆかりもない下諏訪町に移住!

作業着姿の綿引さん

 合同会社chiokoの綿引遥可は、なりたい自分に近づくためにアクションを起こし続けてきました。現在は合同会社chiokoのメンバーでもありながら、「あいまにいるひと」という個人事業主でもあります。「あいまにいるひと」とはその名前の通り、人と人の間にいる人という意味。大家さんと移住者をつないだり、出会いやご縁をつないだり、協力隊時代から人と人をつなげてきたその役割を仕事にして行こうとする綿引のアクションを紹介します。

 今では電動工具を使うのは慣れたものですが、初めて下諏訪に来た時はDIY初心者でした。東京で住宅メーカーに就職し家を新しく生み出すという考え方があってもいいけど、あるものを生かすという考え方を大切にしたいと感じ、4年前に退社。

「自分で空間をつくり出すこと」そして「古いものを活用すること」に興味や共感があり、下諏訪町主催で空き店舗のリノベーションをするツアーに参加。そのツアーでは壁塗りを教えてもらうことが目的の1つでしたが、下諏訪町を巡って地域の人と交流することができました。作業中にも町の人が見学や応援にきていて「自分の住んでいる町に関心を持っている人が、たくさんいる町はいい町に違いない。」と思っていたところ、タイミングよく地域おこし協力隊の募集があり、「わたしもこの町の一員になりたい!」と移住することを決めました。

やりたいこと発見!任期中に「宅建」の資格を取得

打ち合わせの様子

 協力隊では移住促進業務を担当し、移住希望者に町の情報の1つとして既存の不動産サイトや町の「空き家バンク」の物件も紹介していました。しかし、町を歩くと「空き家」はたくさんあるけれど、不動産サイトには掲載されてない。空き家を使いたい人はいるのに、使える空き家がないという課題がありました。「いつか町の空き家や空き店舗を使ってもらえるようにしたい。それで町の活気をつくりたい!」と思うようになり、任期中に「宅建」の資格を取得しました! 今は以前からお誘いをいただいていた不動産会社で働かせてもらいながら、知識と経験を蓄えています。

情報がないなら集める!物件探しのチラシを自作

自作のチラシ

 自分が住むための物件探しを4年で2回経験していますが、協力隊任期が終わるタイミングでの物件探しはとても大変でした。やはり不動産サイトにはなかなか条件が合う物件がない…。そこで自分でチラシをつくり、情報を募ることにしました。

 知り合いに配ったり、商店にお願いして貸してくれそうなお客さんにチラシを案内してもらったり。その結果いくつか物件を紹介してもらうことができ、やっと条件に合った物件に出会えました。あらためて物件探しの苦労を実感したのでした。

まずはできることから。プロジェクトの立ち上げ!

空き家案内の様子

「空き家は増えるのに使いたい人に届かないというもどかしさを何とかできないか」と思いからはじめたプロジェクトが「しもすわイエミチなから発掘隊」です。「なから」とは方言で「およそ、ある程度、だいたい、程よく」という意味。空き家も使いたい人も「なから」見つけてストックを増やしマッチングして使ってもらう。それだけではなく、空き家巡りイベントや情報を集め発信をすることで、空き家の活用などに対する地域の人の意識を少しずつ高め、地域の活気づくりにつなげたいという目的を持って活動しています。

 町内の設計士さん、移住や観光担当の地域おこし協力隊と一緒に町を歩き、「この空き家いい!」と思うと、お隣に大家さんの情報をたずねるという活動をしています。地道だけど確実な情報を得ることができ、取り組みを知ってもらえています。協力隊の時から人と人をつなげて紹介することが多く、各地の地域おこし協力隊や同世代で活躍している人とつながり、町の案内をすることがよくありましたが、「あいまにいるひと」として今までお世話になった下諏訪の人や新しく訪れてくれる人に良い出会いをつないでいこうと思います。

●今月のコアキナイビト その10 ronronさん (ロンロン) 

ronronのケーキ

 ronronさんは3年前に東京から下諏訪に家族3人で移住されました。元ケーキ屋さんだった空き店舗を借り、おいしいケーキや焼き菓子、コーヒーを提供するお店を開店。開店するための手続きやお店の改装も、3歳になる娘さんを保育園にあずけながら、先輩方のつながりと力も借りつつ、1人で成し遂げるというパワフルさもお持ち! 

 もちろん開店後も仕入れ仕込み販売すべて1人で行います。昨年末に2人目のお子さんを出産。2人の子育てをしながらお店はできないけれど、おいしいお菓子を届けたい! とできることを考え、オンラインストアを開設。季節ごとにかわるお菓子を予約制でつくっています。

 今の時期は大人気のリンゴとクルミが入ったアップルクランブルケーキ。ずっしりとしているけれど、食べるとやめられなくなるおいしさでリピーターさんも多いそう。子育ても仕事も自分らしくたのしむronronさん。大変なこともあるけれど、大好きなものに囲まれた生活はそれを上回る自分らしいすてきな暮らしです。

―[しもすわで小商いヤッテミレバ]―

今野由香里さん 綿引遥可さん
長野県下諏訪町の地域おこし協力隊として、2017年から在住。2020年、合同会社 chiokoを設立し、下諏訪を「小商い=自分らしい暮らし方・働き方の育つ場所にしたい!」と奮闘中。