地元の風景をガラスにデザイン。涼やかな音色が町を彩る「かも風鈴」

[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第26回:大下佳菜アナ(静岡県)]

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、NHK静岡放送局でキャスターを務めていた大下佳菜アナが静岡県の「かも風鈴」に関する情報をリポートします。

ガラスの町、西伊豆町で生まれた「かも風鈴」

かも風鈴

 チリン、チリンと涼やかな音で暑さを和らげてくれる風鈴。静岡県西伊豆町には、地域で親しまれている風鈴があります。町の北部に位置する賀茂地区でガラスの原料となる珪石がとれることから、ガラスで町を盛り上げようと2004年に生まれたものです。その名も「かも風鈴」。地域の名前をとって名づけられました。

ユニークなデザインのかも風鈴

 西伊豆町で楽しめる風景などをデザインしていて、富士山、夏ミカン、浮き玉、そしてところてんやサザエなんてユニークなものもあるんです。

ずっと大切にしているかも風鈴

 かも風鈴をつくっているのは、町内に住む3つの工房のガラス作家。1350℃以上に熱した炉の中で溶かしたガラスを吹き竿に巻きつけ、粉のガラスで色づけや装飾を施し、回転させながら形成していきます。

 工房の中は熱がこもり、真夏には50℃を超えるそう。以前、取材でお邪魔したことがありますが、製作の様子をただじっと見学しているだけだったにもかかわらず、汗がだらだらと流れてきてとてもとても暑かった思い出があります。

 ひとつひとつ手づくりされているため、大きさはもちろん、音も違うものができあがります。心地よく感じる音を求めて購入される方も多いんだとか。

風鈴の音が町に響く引き売り

引き売りに使われるリヤカー

 かも風鈴の魅力は、ユニークなデザイン、音色だけではありません。リヤカーにつりさげて町のあちらこちらを回る「引き売り」も人気を集める理由のひとつです。漁港や細い路地をリヤカーが通る様子はとても風情があり、西伊豆町の夏の風物詩となっています。残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年に続き今年も中止になってしまいましたが、ガラスをテーマに黄金崎クリスタルパークでリヤカーが展示されています。

新たな風鈴のデザインを募集中

マーブル風鈴

 かき氷の形をした風鈴は見ているだけで涼しそう。「スイカが風鈴になったらいいのに」そんな願いがかなうかもしれません。かも風鈴を多くの人に知ってもらいたいと、黄金崎クリスタルパークは風鈴デザインを募集していて、ガラス作家が選考し、デザインのアイデアをもとに製作した風鈴を販売しています。

 毎年、全国から800をこえる応募があり、そのなかから採用されたデザインが実際に製作され、販売されています。じつは、私も応募したことがあります。風鈴にはなりませんでしたが、デザインを考えている時間はワクワクしてとても楽しく、夢がふくらみますよね。2021年は9月12日まで黄金崎クリスタルパークで受けつけているということです。

 この先続く猛暑を想像するだけで気が滅入ってしまいますが、暑さを和らげてくれるような風鈴の音をゆったりと聞きながら過ごす時間もいいものです。

<取材・文・撮影/大下佳菜(地方創生女子アナ47)>

大下佳菜アナ
静岡県磐田市出身。NHK長野放送局、NHK静岡放送局でキャスターを9年務める。各地を訪ね歩き魅力を探して伝えるコーナーを担当。旅・グルメ・体験リポートが得意で「恋をするように取材をする」がモットー。現在は1歳児の育児に奮闘しながらイベント司会やリポーターとして活動している

[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第26回:大下佳菜(静岡県)]

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト