錦絵のような峡谷をトロッコ列車で。秋は紅葉狩りと湯めぐりがおすすめ

日本有数のV字峡谷に沿って縫うよう走る、黒部峡谷のトロッコ電車。10月下旬から11月中旬は紅葉が見頃で、峡谷全体がまるで錦絵のように染まります。途中下車して立ち寄りたいスポットとともに、紅葉の時季ならではの美しい列車旅をご案内。

トロッコ電車乗って黒部峡谷の紅葉を見に行く

新山彦橋
新山彦橋を渡ってトロッコ列車の旅をスタート

 黒部峡谷トロッコ電車の出発点は、富山県黒部市の宇奈月(うなづき)駅。ここから終点欅平(けやきだいら)駅まで20.1kmの距離を約80分かけて走ります。途中下車駅は、黒薙(くろなぎ)駅と鐘釣(かねつり)駅。どの駅からも紅葉が満喫できます。トロッコ電車は、普通客車(オープン型)、リラックス客車(窓付)、特別客車(窓付)の3種の車両があり、晴れた日は窓のない普通客車で、大パノラマの紅葉・絶景を楽しむのがおすすめ。

宇奈月駅近くの展望台で気分を高めて

やまびこ展望台
宇奈月駅近くにある、やまびこ展望台

 出発点となる駅近くにあるのが「やまびこ展望台」で、新山彦橋を真下に望む絶好の撮影スポット。宇奈月温泉街の全景や黒部川の壮大な流れ、橋を渡るトロッコ電車の姿が一望できます。そして、宇奈月駅を出発してすぐに渡るのが高さ40mの「新山彦橋」。166mと沿線で最も長く、傾斜のついた珍しい橋。橋を渡る音がやまびこになって温泉街に響くことから、この名前がついたそうです。

車窓から望む峡谷の紅葉は迫力満点

サンナビキ山
車窓から楽しめるサンナビキ山の紅葉

 沿線で最も峡険な谷に架かる「後曳橋(あとびきばし)」を渡り、鐘釣駅が近づくと右手に見えてくるのが、標高1949mの「サンナビキ山」です。秋には山頂は雪の白、山腹上部は落葉した紫、山腹下部の紅葉、裾野の緑が重なり合い、「黒部峡谷の五段染め」と呼ばれています。車窓展望のみ楽しめる格別な景観。切り立った峰々が、出し平ダムの湖畔に切り立つ岩山「出し六峰」の紅葉も必見。

紅葉と川の色のコントラストに魅了されて

鐘釣河原
鐘釣河原(河原露天風呂)

 3つ目の駅・鐘釣駅周辺は見どころがいっぱい。夏の水遊びの場として人気の「鐘釣河原」も美しい紅葉に包まれます。河原から温泉が湧き出ているので、石で囲って自分だけの露天風呂をつくって入浴するのもOK。対岸の百貫山に振った雪が落ちて蓄積した「黒部万年雪」は、対岸の展望台から紅葉とともに眺めるのもすてきです。
※異常気象や河川の増水により河原への通行が規制される場合があるため、事前に確認を。

終点の欅平駅周辺で紅葉狩りと湯めぐり

奥鐘橋
黒部川本流に架かる奥鐘橋

 終点の欅平駅周辺は、景勝地や湯めぐりできるスポットが点在。黒部川本流に架かる朱塗りの「奥鐘橋」は、高さ34mからの絶景が楽しめます。川幅が狭く、昔猿が飛び越えたことから命名された「猿飛峡」や、岩壁が大きく口を開き、人を飲み込むように見える歩道「人喰岩」など見どころが多数あります。

終点地では、絶景を望む足湯でリフレッシュ

欅平~宇奈月
旅の疲れを癒やす、河原展望台・足湯

 奥鐘山や名剣山、奥鐘橋が見渡せる「河原展望台」で、紅葉を眺めながらのんびりと。「15時まで利用可能な足湯に浸かれば至福の時間が過ごせます。時間に余裕があれば、ぜひ徒歩約60分の秘境にある祖母谷温泉へ。大自然の中の露天風呂は格別です」(黒部峡谷鉄道 西田義宏さん)。

 また食事は、始発駅の宇奈月エリア周辺以外の駅周辺には食事処がないため、宇奈月駅売店での駅弁購入がおすすめ。また、終点の欅平駅構内には、「白えびかき揚げうどん」などが味えるレストランも。詳細は黒部峡谷鉄道のHPでご確認ください。

■黒部峡谷鉄道
TEL:0765-62-1011

取材協力/黒部峡谷鉄道

<取材・文>寺川尚美