―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第29回:多賀祐子アナ(石川県)]―
全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は石川県在住の多賀祐子アナが一風変わった宿泊施設をリポートします。
小学校跡地の宿泊体験施設「キンシューレ」
石川県津幡町(つばたまち)の山あいにある河合谷地区(かわいだにちく)。その唯一の学校、河合谷小学校は、過疎化により2008年に廃校となりましたが、今年7月、小学校跡地が宿泊体験交流施設『河愛の里Kinschule(キンシューレ)』として生まれ変わり、新たなスタートをきりました。立地を生かし、農山村の自然や伝統、文化などを五感で味わってもらう『学校』を目指しています。
施設名の『キンシューレ』には、地域の歴史を表「禁酒」と、ドイツ語で学校を意味する「schule(シューレ)」が組み合わされています。禁酒の学校? 一体どういうことなんでしょうか?
村民が禁酒して校舎の改修費用を貯めた「禁酒村」
じつは河合谷小学校は、かつて河合谷村全体で禁酒をして捻出した費用で建て替えられたのです。津幡町によりますと、大正15年、老朽化した校舎の改修費約45000円(現在では3000万円相当)を賄うため、当時の村長が禁酒を提唱し、禁酒の碑を建立。
5年間、酒・ビール・ブドウ酒などを村内で飲むことを禁止し、村民は酒を飲んだつもりで5銭以上貯金することで、予定どおり改修費用を工面できたんだとか。校舎の完成後も、禁酒は20年間にわたって続けられたそうです。強い思いを持ち、村一丸となって建て替えられた校舎は、村の子どもたちにとって自慢の学び舎となったことでしょう。
禁酒村当時の木造校舎をイメージ。囲炉裏の間も
キンシューレの外観は、禁酒して建てた大正時代の木造校舎をイメージしています。県産材を使った木のぬくもりあふれる館内は、合宿に対応できるよう2段ベッドが設置された宿泊棟をはじめ、子どもたちがめいっぱい走り回れるプレイルームも。
最大の魅力は、村の古民家の一部を移設した囲炉裏つきの和室! 囲炉裏になじみのない子どもたちは「これ、なあに?」と興味津々。希望すれば、朝食をこちらの囲炉裏の間でいただくことができますよ。外にはバーベキュー場やナイターつきグラウンドもあるので、家族でも団体でも楽しむことができます。
地元名産食材の夕食に、里山体験プログラムも
そして、魅力的なのは河合谷産の食材をふんだんに使った夕食です。津幡ブランドに認定されている倶利伽羅米のご飯に、囲炉裏で焼いた岩魚や自家農園の有機野菜など、里山の自然のめぐみをいただけます。
なかでも注目なのが、ホンモロコというひと口サイズの小さな魚。関西では高級淡水魚として料亭で出されるそうです。河合谷地区では、豊かな沢水を利用して旧小学校跡地のプールでホンモロコの養殖に取り組んでおり、産地化を目指しているのです。
ホンモロコは骨がやわらかく、くせがなくとても食べやすい魚でした。キンシューレの夕食ではフライや佃煮、マリネのほか、ランチタイムにはホンモロコバーガーが登場するなど、河合谷の新名物として存在感を示しています。施設の近くにある河合谷の郷即売所では、ホンモロコを使った惣菜も販売しているので、合わせて立ち寄ってもらいたいスポットです。
また、里山ならではの体験プログラムも用意されています。山菜とりやシイタケ栽培、米や野菜づくりといった農業体験や、施設の前で川遊び、炭焼きなどに挑戦できます。冬は雪が多く積もる地区なので、雪遊びのアクティビティも考えたいと施設の方がおっしゃっていました。
禁酒村・河合谷の新たなスポットとして誕生した『河愛の里Kinschule』。県内外から多くの方が訪れ、かつて小学校から聞こえたように、元気な声が里山いっぱいに響き渡り、この地で暮らす方々の活力につながることを願います。
【河愛の里Kinschule(キンシューレ)】
石川県河北郡津幡町字下河合チ55番地
電話:076-287-1086
<取材・文・写真/多賀祐子(地方創生女子アナ47)>
多賀祐子アナ
石川県在住。大学を卒業後、金沢ケーブルで9年間アナウンサーを務めフリーに。これまでに100本以上のCMナレーションを担当。アナウンス業のほか、アイシングクッキー講師として県内各地で体験教室を開催。マザーズコーチングスクール認定マザーズティーチャーとしても活動し、親子のコミュニケーション力アップのサポートも行う。2児の母。
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地方創生女子アナ47
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