―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(43)】―
女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、島根県のアンテナショップ「日比谷しまね館」で見つけた、「赤てん」を使ったおいしいレシピをご紹介します。
地元で愛されている島根県のソウルフード「赤てん」
魚のすり身の揚げたものを関東では「さつま揚げ」のように「〇〇揚げ」、西のほうでは「天ぷら」といいます。学生時代、江戸っ子の私は初めて九州に遊びに行ったときに「ジャコの天ぷらが揚げたてでおいしいお店があるからお土産にどう?」と地元の友人にすすめられ、お土産にかき揚げ?? を想像して訪ねたお店は、料理の天ぷらではなく、さつま揚げ専門店で、びっくりしたことがありました。
そんな魚のすり身揚げは各地に名物がいろいろあります。今回は、島根県のアンテナショップ「日比谷しまね館」の冷蔵コーナーでその色と形で一段と目を引いた「赤てん」(5枚入 648 円/江木蒲鉾店)をご紹介します。
日本海に面した山陰でも水産地として知られる島根県浜田市で、創業明治45年という江木蒲鉾店の「赤てん」。スケソウダラのすり身にタマネギや塩、砂糖などの調味料、そして赤唐辛子とコショウを入れています。パン粉をつけて揚げているので、店頭で揚げたてをいただくとサクサクとした食感を楽しめると、地元で愛され続けているようです。
オーブントースターで温めるとその食感も少しよみがえり、ショウガじょうゆなどでいただくと、ふんわりしたうま味のあるすり身にピリッとした辛さがきいて、お酒のおつまみやご飯のおかずによく合います。
にゅう麺やうどん、ラーメンの具にもおすすめです。色がかわいいので、型で抜いても映えます!
炒めたり煮たり、料理にもおいしい「赤てん」レシピ!
かまぼこと魚肉ソーセージのよさをもった「赤てん」なので、きんぴらやおでんに入れてもよく合います。すぐに使いきれない分は1枚ずつラップに包んで冷凍保存にしておくと便利です。今回は、炒めものとチャーハンにしてみました。
●アレンジレシピ「赤てんとピーマン、キノコ炒め」
ハムやベーコンの感覚で使えるので、さっとつくる炒めものに向いています。色も食欲をそそりますよね! 仕上げにトロトロ卵をかけると、ごちそう感が増します。あと1品ほしいときに、また朝食のおかずに。
【材料】つくりやすい分量
「赤てん」…1枚
シメジ…1/20パック
ピーマン…3個
卵…2個
みりん…小さじ1
サラダ油…適量
塩・コショウ…各適量
【つくり方】
①「赤てん」は7mm幅の拍子木切りにする。ピーマンは種をとって7mm幅の細切りに、シメジは小房に分ける。
② 卵は割りほぐして、塩少々、みりんで調味する。
③ フライパンにサラダ油大さじ1/2を熱し、赤てん、シメジ、ピーマンの順に加えて炒め、塩とコショウで味を調えて器に盛る。
④ フライパンにサラダ油大さじ1/2をたし、②の卵を入れて少し混ぜ、そのまま半熟状に火が通ったら、③の器にのせる。
●アレンジレシピ「赤てんチャーハン」
ピリリとした味はチャーハンにも! 魚なのでヘルシー、しかもボリューム感もプラスされてチャーハンの具にはぴったりです。ネギは、長ネギの白い部分と万能ネギの2種類を使用、味と食感、彩りがよくなります。
【材料】1~2人分
「赤てん」…1枚
ネギ(白部分)…1/3本
万能ネギ…3茎分
卵…2個
ご飯…200g
サラダ油…大さじ1/2
塩・コショウ・酒…各適量
しょうゆ…小さじ1
ゴマ油…小さじ1/2
【つくり方】
①「赤てん」は小角切り、ネギはみじん切り、万能ネギは小口切りにする。
② 卵は割りほぐして、塩、コショウ、酒少々でを加え混ぜる。
③ ご飯は冷めていたら、電子レンジで温めておく。
④ フライパンにサラダ油を熱し、②の卵を入れて、大きく混ぜながら火をとおす。半熟になったらご飯を加えてさっと混ぜる。「赤てん」とネギを加え混ぜ、全体に温まったら、塩・コショウで味を調え、周りからしょうゆ、ゴマ油を回しかけて混ぜる。
⑤ 最後に万能ネギを加え混ぜたら、器に盛る。
島根県のアンテナショップ「日比谷しまね館」で見つけた、名物「赤てん」は、ピリッとした辛さとふんわりプリッとした魚のすり身の食感と味、そして料理に映える色が特徴。料理にはとっても使いやすい天ぷらでした。
「日比谷しまね館」は、地下鉄・日比谷駅はもちろん、JR有楽町駅からもほど近い日比谷シャンテの地下にあり、特産の食品やお菓子などが豊富に揃っています。
<撮影・文・料理制作>坂口明子
―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案】―
坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。