北アルプスの懐に抱かれた、露天風呂の里と名高い奥飛騨温泉郷。今回は、趣の異なる5つの温泉地で、冬季に行われるライトアップイベント「奥飛騨冬物語」をご紹介。奥飛騨の幻想的な景観に包まれながら、名湯にゆっくり浸かって。
冬ならではの景色を露天風呂天国で満喫
東京方面からは長野県の松本駅から特急バスに乗り、1時間30分ほどで到着する岐阜県の奥飛騨温泉郷。北アルプスの3000m級の山々を背景に広がる湯の里は、冬になると白一色の雪景色に。立ち上る温泉の湯煙と素朴な里山の温もりが日頃の疲れを癒してくれます。平湯、福地、新平湯、新穂高、栃尾の5つの温泉地で形成される露天風呂天国で、2021年12月下旬から2022年3月下旬まで開催されるのが「奥飛騨冬物語」。温泉や人情とともに、雪や氷の幻想的な芸術作品に触れられるイベントです。
静かな夜の闇に浮かび上がるたるまの滝の氷と、色鮮やかなオブジェのコラボレーションが楽しめる、新平湯温泉の「タルマかねこおりライトアップ」。巨大な氷のカーテンや、写真スポットとしても人気のハートのオブジェが、奥飛騨の冬の厳しさを和らげてくれます。
また、数万個のLED電球に彩られた光のトンネルも神秘的。インスタ映えする新たなスポットとして注目に。新平湯温泉は旅館や民宿も多いので、鑑賞後は宿でのんびり過ごして。ライトアップは、2021年12月28日～2022年2月末までの各日17時～21時30分、たるまの滝・親水公園一帯で展開。
迫力満点！平湯温泉の「平湯大滝 結氷まつり」へ
落差64m、幅6mを誇る飛騨三大名瀑のひとつ、平湯大滝の名所が平湯温泉。ここで行われる「平湯大滝 結氷まつり」では、冬の寒さで巨大な氷柱に姿を変える大滝を、青や緑の光のライトアップで神秘的な景観に。また大滝川に架かるつり橋も、イルミネーションが施されロマンティックな風景を醸し出します。「平湯大滝は、昼間も青白く輝く壮大な氷柱と雪のコントラストに大自然の美しさを実感することができますよ」（奥飛騨温泉郷観光協会・中西紀子さん）
ライトアップは、2022年2月15日～25日の各日18時～21時、平湯温泉・平湯大滝及び平湯温泉地内で展開。イベント期間中に打ち上げ花火も実施予定。
平湯温泉で名湯につかり、ご当地グルメを満喫
戦国時代、武田家の家臣が飛騨へ攻め込んだとき、老猿が湯だまりで傷を癒していたことが発見の由来といわれる平湯温泉。平湯大滝に訪れたあとに立ち寄りたいのが、「平湯民俗館」に併設された日帰り入浴施設「平湯の湯」です。茶褐色の湯が特徴のぬくとまり湯（温まる湯という意味）。湯上り後は合掌づくりの畳の上でゆっくりと。入浴時間は6時～21時（冬期は8時～21時）で不定休、入浴料は300円程度。
奥飛騨名物・飛騨牛を堪能するなら、平湯大滝の入り口、平湯温泉スキー場に隣接する吹き抜け合掌造りの「お食事処 あんき屋」へ。おすすめは、肩バラ肉とバラ肉を使用した「飛騨牛朴葉みそ焼」。エゴマを使った自家製みそとバラ肉を絡めていただきます。また、少しスパイシーな自家製のルーと飛騨牛をたっぷりのせた「飛騨牛カレー」（要予約）も見逃せない。広々とした店内は、テーブル席と座敷席があり居心地抜群です。
福地温泉で「青だる」と香り高いコーヒーでパワーチャージ
「青だる」とは福地の山奥の絶壁に出現する巨大な氷の柱のこと。岩壁を伝って落ちる水が凍って氷柱となり、青く垂れ下がったように見えることから名付けられたそう。山奥でしか見られない「青だる」を温泉街に再現したのが、「福地温泉・青だるライトアップ」。昼間の青白く輝く青だると、夜幻想的にライトアップされた青だる、どちらも必見です。ライトアップは、2021年12月24日～2022年3月下旬の各日17時～22時、「福地温泉」バス停付近で展開。
福地温泉で心もおなかも満たしてくれるのが、2021年11月にオープンした「古民家カフェ 木花木花（もっかもっか）」。古民家をリノベーションした店内中央には囲炉裏があり、窓際のカウンター席からはやわらかな陽光が射し込みます。飛騨産コシヒカリのお米や、飛騨サーモン、飛騨ポークなど、地産地消の旬の食材を使ったワンプレートランチをぜひ。温泉湯洗いした豆を自家焙煎し、標高1000mで味わうドリップコーヒーの味わいもまた格別です。
■奥飛騨温泉郷観光協会
TEL：0578-89-2614
■平湯民俗館・平湯の湯
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯29番地
TEL: 0578-89-3339
■お食事処 あんき屋
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯平湯768-36
TEL：0578-89-2755
■古民家カフェ 木花木花
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地834
TEL： 050-3561-8898
取材協力／一般社団法人 奥飛騨温泉郷観光協会
※期間中、気候により積雪量などは写真と異なる場合があります。
＜取材・文＞寺川尚美
