列車やレストランで絶景を楽しむ。三原市の冬を満喫する旅へ

瀬戸内海の自然と城下町の歴史で知られる広島県三原市。今注目なのが、海岸線を走る列車の旅や冬だけの絶景、造船所跡地を活用したワイナリー&レストランなど海側のエリア。風光明媚な海を満喫できるプランをご紹介します。

シーサイドビューが広がる三原市海側エリアに注目!

三原市
3000もの島が点在する瀬戸内海。のどかでどこか懐かしい海の景観を堪能しよう

 広島県の南部に位置する三原市は、山陽新幹線や山陽本線の駅、広島空港、三原港がある交通の要所。瀬戸内海の観光拠点としても知られており、2020年に登場した呉線を走る観光列車「etSETOra(エトセトラ)」や観光型高速クルーザー「SEA SPICA(シースピカ)」などでその魅力がますます高まっています。

「三原駅と三原港は徒歩5分程度とアクセスも抜群で、新幹線で遠方から来られる方にもetSETOraやSEA SPICAは楽しんでいただける商品となっています。また、海沿いに面した須波エリアは、おしゃれなレストランやカフェ、陶芸工房などが点在しており、注目されていますが、今年の春に瀬戸内醸造所がオープンされ、ますます目が離せないエリアとなりました。観光スポットが隣接しているので周遊しやすいことも魅力のひとつです」(三原市観光課 藪祥太さん)

 たくさんの魅力的なスポットから、冬も快適な車内で瀬戸内海の景観を楽しめる「etSETOra」、須波エリアの絶景スポット「筆影山」、そして瀬戸内醸造所併設の「レストランmio」をご紹介します。

海岸沿いを走る列車で瀬戸内海の景観を満喫

観光列車
海側にカウンタ―席が設けられ、ひとり旅でも気軽に楽しめるのがうれしい

 2020年10月にデビューした「etSETOra(エトセトラ)」は広島駅と三原駅の隣・尾道駅の区間を1日1往復する観光列車。「その他」、「いろいろ」の意味をもつラテン語の「エトセトラ」に、広島弁で「たくさん」の意味をもつ「えっと」と「せと(瀬戸内)」を組み合わせたネーミングで、その名前のとおり瀬戸内海の魅力をたっぷりと感じることがでます。

「etSETOra」が走るのは、瀬⼾内海に沿った景勝地が続くJR呉線。当初は往路・復路で異なるルートを運行していましたが、多くの要望を受けて2021年10月2日より往復ともに呉線経由に変更され、より海を楽しめる列車旅になっています。

 車体は、瀬戸内海の海をイメージした青と、海岸線から見える波の白をコンセプトにしたクラシックなデザイン。2両編成の車内は1号車が宮島の千畳閣、2号車は尾道の石畳をイメージした床のデザインで、1両の定員は20人。特別感のあるゆったりとした空間で快適な旅が楽しめます。

エトセトラ
車窓の外はすぐ瀬戸内海! JR呉線でも随一の眺望を誇る忠海―安芸幸崎区間

 乗車時間は約3時間。沿線の一部は海辺を走り、列車が海の近くまで迫る区間も。きらめく水面、行き交う船、大小さまざまの島々。沿線一の絶景ビューといわれる三原―忠海区間や、線路に沿ってベイサイドビーチが続く呉―広島区間など、うつり変わる景観を満喫できます。

 もうひとつの楽しみが車内サービスです。往路(広島発)では特製スイーツを用意。御菓子処「旬月神楽」の和菓子と瀬戸内や広島産の素材を使った洋菓子からセレクトでき、ドリンクは宮島で人気のコーヒー店のコーヒーか無肥料・無農薬の一番煎茶。いずれも2000 円(税込)、予約が必要です。復路(尾道発)では特製スイーツに加え、車内バーカウンターにて酒どころ広島ならではのお酒とこだわりのおつまみが予約不要で楽しめます。

「etSETOra」は月・金・土・日曜、祝日に運行。料金は乗車券に普通列車の指定席グリーン券が必要になります。

展望台から見わたす大パノラマは必見。冬だけの「海霧」も

海霧
島々が霧の中に浮き沈みするかのような「海霧」は、冬の三原市だけで体験できる貴重な光景

 三原駅の隣駅・須波駅を中心とした須波地区は、海に面し、瀬戸内海の潮風を近くに感じられるエリア。ぜひ足をのばしてみたいのが瀬戸内海国立公園に指定されている筆影山(ふでかげやま)です。標高311mの展望スポットではしまなみ海道の大パノラマが眼下に広がり、澄んだ空気の中で多島美を満喫できます。

 晩秋から冬にかけての筆影山は、瀬戸内海で発生する「海霧」という現象のビュースポットとしても知られます。海上に発生した霧が海面を漂い、その間から島々や海面が見え隠れするのはここだけの絶景です。海霧は風がなく、よく晴れて冷え込んだ早朝に発生するので、遭遇にはハードルがありますが、それだけに出会えたときの感動はひとしお。一度は体験したい光景です。

ワイナリー併設レストランで地元食材と地元産ワインを堪能

醸造所内観
焼き杉を使ったスタイリッシュなレストラン。眼下に広がる海も魅力

 須波エリアは、海が見渡せるロケーションを生かしたグルメスポットも豊富。なかでも注目なのが2021年4月にオープンしたワイナリー併設レストラン「瀬戸内醸造所レストランmio」です。三原瀬戸を目の前に望む造船所跡地を利用した建物空間で、海の幸をはじめ地元の旬の食材を使用した「SETOUCHI料理」をワインとともに楽しむことができます。

 瀬戸内醸造所のワインは食材と一緒に楽しむことを想定してつくられており、ベリー種ならではの華やかな香りとドライな飲み口の「MIHARA ニューベリーA」には三原名物の「タコのカルパッチョ」というように、絶妙のペアリングを堪能できます。ランチは4400円(税込)から、ディナーは1万1000円(税込)からでいずれも予約制。予約なしでOKのアフタヌーンティー2500円(税込)からもあります。

 レストラン客を対象としたワイナリーの見学ツアーも設定されており、ワインの試飲またはソフトドリンク付きで1100円(税込)。こちらも事前予約が必要です。

醸造所外観
海沿いの造船所跡地に木造のレストランとワイナリーが建ち並ぶ

 冬の間は運休しますが、観光型高速クルーザー「SEA SPICA」で瀬戸内の特に風光明媚なエリアを巡る「瀬戸内しまたびライン」もおさえておきたいアクティビティ。三原港と広島港を結んで半日かけて就航し、「うさぎの楽園」と呼ばれる大久野島などの島に立ち寄ります。ゆったりと船旅が楽しめるソファのような座席、開放的なデッキ、Wi-FiやAC電源完備など最新の快適な船内も好評です。運行は2022年の4月より再開されます。

■瀬戸内醸造所レストランmio
広島県三原市須波西1-5-26 TEL050-3749-9902

<取材協力/写真協力:三原市観光課 取材・文/土倉朋子>