すし職人も同乗。城端線・氷見線の観光列車で富山湾の絶景を楽しむ

北東側に富山湾、西側には山間が広がる富山県高岡市。その自然豊かな車窓を楽しめるのが、城端線・氷見線観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」です。季節や時間によって刻々と変化する美しい車窓をアート感覚で眺める列車の旅を紹介します。

車窓から雄大な富山湾をひとり占め

ベル・モンターニュ・エ・メール
車窓からの景観が楽しめる「べるもんた」

 フランス語で「美しい山と海」を意味する、城端線・氷見線観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」、通称「べるもんた」。氷見線の車窓から見える富山湾と、城端線の車窓から望む立山連峰や南砺市の山々の景色から名づけられました。モスグリーンの塗色にゴールドの帯を巻いたシックなデザインも印象的。

 今回は、富山湾や立山連峰を望む、毎週日曜日のみ運行の氷見線で、片道約1時間の観光列車旅を満喫。新高岡駅を出発し、高岡駅、伏木駅、雨晴(あまはらし)駅、氷見(ひみ)駅に停車します。全席指定の「べるもんた」は事前予約が必須で、乗車券と座席指定席(大人530円)の購入を。事前に駅のみどりの窓口か主な旅行会社、またはインターネット(e5489)で購入が可能です。

車内はギャラリーのような空間演出

開放感抜群の車内
大きな窓を配した開放感抜群の車内

 カウンター席と4人掛けのボックス席が配置された車内。最大幅2.52mの額縁風にデザインした海側の窓枠からは、ダイナミックな自然美が楽しめます。また、南砺(なんと)市の伝統工芸品「井波彫刻」が8作品展示されているほか、吊り革の持ち手は高岡銅器をイメージした銅箔と、沿線4市を代表する図柄で装飾。車窓の景色が絵画のように見え、まるでギャラリーにいるように感じられるのも魅力です。

すし職人が乗車。すしでおもてなし

「ぷり富山湾鮨セット」
旬の魚が楽しめる「ぷり富山湾鮨セット」

 列車内で職人が握った富山湾の味覚を堪能できる車内販売サービスも「べるもんた」の目玉。おすすめは、富山湾の旬のネタを使ったすし5貫と、氷見市特産はとむぎ茶がセットの「ぷち富山湾鮨セット」(2100円税込)。「白エビと紅ズワイ蟹のお造り」や沿線の地酒3種が味わえる「飲み比べセット」なども用意されています。

「3~4月は、ヒラメ、クルマダイ、メダイ、メジマグロ、カワハギ、サワラ、ヤリイカ、ホタルイカ、甘エビ、白エビなど旬の魚介が日替わりで登場します。天然のいけすといわれる富山湾の味覚を、美しい景色とともにお楽しみください」(西日本旅客鉄道 観光推進G 杉井典子さん)。

景勝地・雨晴海岸の朝日は絶景

雨晴海岸の夕日
夕日に染まる立山連峰にうっとり

 日本海沿岸有数の海水浴場として知られ、能登半島国定公園に位置する雨晴海岸。景色や撮影が楽しめるよう、観光列車は雨晴駅手前のビュースポットで一時停車します。景色をじっくり眺めるなら途中下車して、歩いて5分ほどの雨晴海岸へ。絶景スポットとして知られ、浜辺の波打ち際から女岩(めいわ)と、富山湾越しの立山連峰が撮影のベストショット。海越しに3000m級の山々を眺めることができる希少な場所です。

露天風呂のある海沿いの宿に宿泊

磯はなびの露天風呂
露天風呂付大浴場「ゆらく」は開放感抜群

 宿泊するなら、海を望む温泉宿「雨晴温泉 磯はなび」がおすすめ。日本海はもちろん、立山連峰まで見渡すことができる大パノラマの露天風呂つき大浴場で、旅の疲れを癒して。

磯はなびの客室
海風が心地よいの客室でのんびりと

「海と対話し空に抱かれる」をコンセプトにした洋室や、落ち着いた和モダンの部屋、2方向が海に面した角部屋など、客室はバラエティ豊か。そのほか、富山湾の自然の恵みを堪能できるダイニング・レストランや、大海原を見渡せるロビー・ラウンジなど施設も充実。雨晴海岸まで車で5分ほどと、好立地も魅力のひとつ。

高岡古城公園の水面の桜も必見!

高岡古城公園
桜の名所「高岡古城公園」

 観光列車を楽しんだあと、ぜひ立ち寄りたいのが、高岡市街地のほぼ中央に位置する「高岡古城公園」。公園面積の約3割が水濠で、水面に映える桜も美しく風情がある。桜は、例年4月上旬から中旬が見頃です。

■高岡市観光ポータルサイト「たかおか道しるべ

取材協力/西日本旅客鉄道株式会社 金沢支社地域共生室営業課
<取材・文>寺川尚美