新潟県十日町市を中心とした越後妻有・「大地の芸術祭の里」では、冬のアートをさまざまに発信する「『大地の芸術祭』の里 越後妻有2022冬 SNOWART(スノワート)」を開催中。豪雪地帯の風土を生かしたプログラムの見どころを紹介します。
雪国の暮らしを体感する現代美術館
里山×アートのさきがけ「大地の芸術祭」で20年以上の歴史をもつ越後妻有(えちごつまり)では、年間を通じてアートを発信。現在は2022年3月13日(日)まで冬プログラム「 SNOWART(スノワート)」を開催し、日本有数の豪雪地帯である越後妻有ならではのアート×冬を体感することができます。
十日町市の中心エリアに位置する「越後妻有里山現代美術館MonET」では、冬プログラム期間に合わせて企画展「北越雪譜アドベンチャー」を開催。豪雪地の暮らしや文化を紹介した江戸時代のベストセラー『北越雪譜』の世界をモチーフに、4人のアーティストが参加して雪国の暮らしをアートで表現する意欲的な内容です。
こたつを車に見立てた「こたつカー北越雪譜サーキット」や、みのをかぶった人形を操作できる巨大テーブルサッカー「AC-snow field2」などアトラクション型の展示が見どころで、雪国の暮らしの道具+アートを体感することができます。
期間中の土曜・日曜・祝日は夜間も開館し、光のアーティスト・髙橋匡太氏によるライトアップで幻想的に変身したナイトミュージアムを体験可能。
美術館は2021年に改修し、館内には数々の新作品が展開されています。名称も「キナーレ」から「 MonET(モネ)」に改称しました。過去に訪れたことがある人も新しい出会いをぜひ楽しんで。
十日町から世界にメッセージを発するモニュメント
土地の大半を山が占め、世界でも有数の降雪量を誇る十日町市松代(まつだい)。地域の人たちが守り続けてきた里山や棚田と呼応する松代エリアのアートは「大地の芸術祭」の里の最大の見どころです。冬季は野外展示が休止となり、雪国の農耕文化を発信する総綜合文化施設「まつだい農舞台」を中心に、豪雪地帯の景観を生かしたアートと食を堪能することができます。
なかでも注目は、松代のフィールドアートを代表する作品彫刻「棚田」で知られるイリヤ&エミリア・カバコフの新作「手をたずさえる塔」。コロナ禍の世界で人々のつながりを表現するモニュメントを雪景色の中で公開。油彩の複製が展示された塔の内部は、期間中の土曜・日曜・祝日に鑑賞できます。
新潟のアーティストによる雪という素材をアートに取り入れた作品群も見どころ。雪道を散策しながら冬の越後妻有ならではのフィールドミュージアムを楽しめます。
また、たっぷり降り積もった雪を楽しむそり遊びやかまくら体験、もち焼き体験なども。アート空間でまつだいの郷土料理や家庭料理をベースにした惣菜を楽しめる「越後まつだい里山食堂」では、土日祝日に提供している「里山ビュッフェ」にチーズフォンデュが期間限定(3月27日日曜まで)で登場。地元の温野菜やウインナー、自家製パンをとろりと熱々のチーズでいただける冬にうれしいメニューです。
「『越後妻有 2022 冬 SNOWART』は、週末になると小さなお子さんから大人までたくさんの方にご来場いただいています。子どもたちは『農舞台』のそり滑りや、MonETの体験型作品で思い切り遊び、楽しそうな声が聞えます。
MonETで週末開催しているナイトミュージアムでは、光のアーティスト髙橋匡太さんによる『天空の花畑』が幻想的な世界を演出し、コミュニティースペースで販売している期間限定あったかスープ『妻有ポークと冬野菜の甘酒クリーム豚汁』も人気です」(大地の芸術祭の里 広報 天野季子さん)
アート×雪を通し、雪国・十日市の文化と暮らしに親しめる冬の大地の芸術祭の里へぜひ足を運んでみてください。
取材・写真協力/大地の芸術祭の里
取材・文/土倉朋子