新鮮な魚介と温泉が自慢。気軽に行ける三重県鳥羽の離島への旅

三重県東端部に位置し、志摩半島の北部を市域とする鳥羽市。のんびり、ゆったりの休日を過ごすなら、鳥羽湾からショートクルーズで気軽に行ける有人島へ。今回は、伊勢湾最大の面積がある「答志島(とうしじま)」と、迫力満点のカルスト地形が見どころの「神島(かみしま)」をご紹介します。

離島ならではの景観とグルメを満喫

カルスト地形
神島のカルスト地形は迫力満点!

 大小の島々が浮かぶ鳥羽湾。箱庭のような島が見渡せる鳥羽マリンターミナルから、市営定期船を利用すると、答志島へは約20分、神島へは約40分で到着することができます。

「各島へは、点在する島々を眺めたり、さわやかな潮風を感じながら、ゆったりとしたショートクルーズが楽しめます。答志島では、プリッとしていて、甘味が強く濃厚な味わいのブランドカキ・桃こまちもおすすめ。神島では、市指定天然記念物の景勝、カルスト地形に魅了されるはず。非日常の体験とおいしい食事も満喫してくださいね」(鳥羽市観光課 勢力正太さん)

ビーチも歴史探訪も楽しめる答志島

和具サンシャインビーチ
港から徒歩5分の和具サンシャインビーチ

 総面積6.98km²、島の80%が森林という自然豊かな答志島。神島の眺望が絶景の大答志海水浴場(白浜海水浴場)など、7月からは海水浴もできるビーチが点在。なかでも、和具サンシャインビーチは、水質のよさと黄褐色の砂浜が特徴で、家族連れにも人気のスポットです。

天望山レイフィールド
木製の見晴し台がある天望山レイフィールド

 高台からの絶景を楽しむなら、天望山レイフィールドへ。答志町と桃取町を結ぶ、通称「答志島スカイライン」の途中の入口から170mほど登った天望山の先にあります。レイフィールドからは、目の前に広がる青い海、行き交う船を眺めながらしばしのんびりと。夕焼けも素敵です。

路地を散策すると島文化に触れ合える

ご神木
龍の頭に見える神秘的なご神木

 3つの集落があり、島民の多くが漁業に従事している答志島。迷路のような路地を散策すると、戦国時代に水軍を率いていた九鬼嘉隆(くきよしたか)にまつわる史跡に出会えます。ぜひ訪れたいのが、美多羅志神社(みたらしじんじゃ)。境内には、島民に「龍神(りゅうじん)さん」と呼ばれる椎の木(しいのき)のご神木が。龍の頭に見えると言われて納得です。

 また、海女が漁のために暖をとる「海女小屋」があり、小屋の火場(囲炉裏)を囲んで、気さくな海女さんとおしゃべりしながら新鮮な魚介を食べるツアーなどもあるのでぜひチェックを。

新鮮な魚介と癒しの温泉で至福の時間を

夕食の一例
旬の地魚がたっぷり楽しめる夕食の一例

 宿泊は、家族で切り盛りするアットホームな雰囲気がリピーターに支持される「波音の宿 中村屋」へ。イセエビやアワビ、サザエなど、島で獲れたぜいたくな魚介が夜の宴を彩ります。イセエビのみそ汁をはじめ、島どれ食材満載の朝食は、180°パノラマビューの展望ラウンジで。

 客室は、全室オーシャンビュー。島の守り神である水神様から湧き出る神秘の湯「水神の湯」は、展望露天風呂も用意。島の風情や風習などを案内してくれるおもてなしがうれしい宿です。

小説『潮騒』の舞台で知られる神島

カルスト地形
市指定天然記念物の景勝、カルスト地形

「神が宿る島」といわれ、古くから太陽の信仰と美しい自然が息づく神秘の島・神島。三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台で、「ここに本当の生活がある」と記された小さな島です。八代神社には、古墳時代から室町時代にわたる総数百余点の神宝が秘蔵されているそう。

 見どころのひとつが、石灰岩が風化してできた独特の景観のカルスト地形。白い塔のようにそびえ立つ岩々と、海の青さのコントラストは神秘的。白い奇岩が、赤土と樹木の緑に美しく映える、絶好の写真スポット。

神島灯台
日本の灯台50選のひとつ、神島灯台

 ロマンチックなプロポーズに相応しい「恋人の聖地」としても知られる神島。そのプレートが設置されているのが、映画『潮騒』で印象的なシーンのロケ地となった「神島灯台」。島内随一のビュースポットで、天気がいいと知多半島まで見渡すことができます。

潮騒の音を聞きながら新鮮な魚介をいただく

夕食一例
島近郊で獲れた魚介が味わえる

 島時間に身を委ねて過ごすなら、「潮騒の宿 山海荘」に宿泊を。「神島近海で獲れたもの以外はお客様に出さない」と語るように、神島で毎日あがるとれたて新鮮な海の幸を豪快に振る舞ってくれます。

 窓から大海原が広がる客室。心地良い潮騒の音に耳を傾けながら、行き交う船を眺めるのも至福の時。気さくであったかい島民と触れ合いながら、2~3泊滞在するのもよさそうです。

鳥羽市観光協会公式サイト

取材協力・写真提供/鳥羽市観光課

<取材・文>寺川尚美