東京から南へ約1000km、父島・母島を中心に30もの島々からなる小笠原諸島。世界自然遺産の島の代表的な特産品がレモンです。「小笠原レモン」ならではのさわやかな味と香りを運んでくれるアイテムをご紹介します。
亜熱帯の動植物が魅力、世界遺産の島小笠原
竹芝桟橋から船で丸1日、東京から1000km離れた小笠原村(小笠原諸島)です。360°の海と固有の動植物が息づく生態系。大陸と陸続きになったことがない海洋島の景観は訪れる人を魅了し、亜熱帯の森でのトレッキングやクジラ&イルカウォッチング、無人島のガイドツアーなどここでしかできない体験が満載です。
自然環境の保全と持続的な利用によるエコツーリズムが軸の観光振興に早くから取り組み、2011年には国内4番目の世界自然遺産に登録。SDGsの時代にあって小笠原の存在感はますます高まっています。
1年をとおして暖かく、気温差が少ない気候をいかした特産品にも注目です。パッションフルーツやマンゴー、パパイヤといった南国フルーツ、レモン、コーヒーが代表で、なかでも「小笠原レモン」の名前で知られる丸い形のグリーンレモンは、観光パンフレットなどで目にしたことがある人は多いのでは。
小笠原レモンは、昭和初期にミクロネシアから八丈島に導入した苗に来歴をもち、昭和40年代から小笠原で栽培されるようになったそう。皮が青いうちから食べられることから、主に流通されるのはイエローレモンではなく、グリーンレモンというのが特長です。通常のレモンの約1.5 倍の大きさで、やわらかな酸味とまろやかな甘味、さわやかな香り。輸入レモンや瀬戸内など他の国産レモンとは異なる個性と魅力をもつのが小笠原レモンなのです。
小笠原レモン目線の楽しい動画を公開
小笠原レモンは主に母島で栽培され、9月~11月に出荷されます。フレッシュレモンを味わえるのは地元ならでは。一般的なレモンより甘味があるため、そのままいただくこともできます。もちろんドリンクや料理に用いるのもおすすめで、とりわけ焼酎の水割りに小笠原レモンを絞ったドリンクが愛飲されているそう。
加工品も豊富で、ジャムやゼリー、サイダー、レモンチューハイなどは小笠原土産としても親しまれているほか、伊豆諸島・小笠原諸島など東京の島々の特産品を扱うアンテナショップ「東京愛らんど」などでも購入できます。
「東京愛らんど」を運営する公益財団法人東京都島しょ振興公社では、小笠原レモンが小笠原村・母島で収穫されてから加工され、アンテナショップの店頭に並ぶまでをレモンの目線で追った動画を制作。YouTube公式チャンネルにて公開しています。
「さまざまな人たちの手を介して2000kmもの旅をする小笠原レモン。動画により、小さな商品に込められた思いやストーリーを感じていただき、アンテナショップで扱う特産品を通じて小笠原諸島に興味をもっていただく機会になれば、と思っています」(公益財団法人東京都島しょ振興公社・藤井さん)
抜けるような青空の下でたわわに実ったレモンが収穫され、丁寧に選果されてから船に積まれて、本土へ。果汁はレモンチューハイに。皮はペーストやピールに。加工の過程で捨てられることが多い皮も味わいのよさから活用できるのが小笠原レモンの魅力。食糧のロスをなくし、SDGsに貢献しています。
グリーンレモンのさわやかな酸味と香りのチューハイ
動画で取りあげている小笠原レモンのチューハイ「小笠原島レモンクラフトチューハイ」(330ml/330円税込)は、小笠原レモンならではの甘味を含んだ心地よい酸味と、さわやかな果汁がこたえられない味わい。レモンチューハイブームでスーパーやコンビニにはさまざまなブランドが並びますが、オンリーワンの味をぜひ楽しんでみて。
レモンの皮を砂糖漬けにした「小笠原島レモンピール」(250円税込)は、そのままおやつにいただくほか、刻んでヨーグルトやアイスクリームに添えても。プレーン生地に甘ずっぱいレモンが風味を添える「レモンベーグル」250円(税込)もおすすめです。
手つかずの自然に囲まれた小笠原は夕日や星空の美しさでも有名です。また、日没後や日の出前には、空がアッシュピンクのグラデーションに染まる「ビーナスベルト」という現象が見られることも。移り変わる空を眺めながらレモン味のお酒をいただく。想像するだけで、体中が解放感に満たされるよう。グリーンレモンの恵みを味わいながら小笠原でのバカンスを計画してみてはいかがでしょう。
■東京愛らんど
住所:東京都港区海岸1-12-2 竹芝客船ターミナル内
TEL:03-5472-6559
営業時間:10:00~18:00(年中無休)
取材協力:公益財団法人東京都島しょ振興公社、東京都小笠原支庁産業課 亜熱帯農業センター
<取材・文>土倉朋子